部門間コラボレーション: 完全ガイド
世界トップクラスの部門横断チームを構築するには何が必要でしょうか。また、構築に失敗するとどのようなリスクが生じるでしょうか。チーム間作業の世界を探り、コラボレーションを強化する方法を見つけましょう。
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部門間コラボレーションとは?
部門間コラボレーションとは、さまざまなスキルを持つ社員のグループが協力して1つのプロジェクトに取り組むことです。
マーケティングチームのスタッフだけで新商品を発売することを想像してみてください。次に、同じ商品を営業担当者や開発者と協力して発売することを想像してみましょう。部門間コラボレーションの方がより効率的である理由がよくわかります。
Workplaceで業務を簡素化
オフィス勤務再開の周知からハイブリッドワークの導入まで、Workplaceは業務を簡素化します。
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部門間コラボレーションが重要である理由
チーム間コラボレーションにおいて、縦割り構造の部署と部門横断チームは対極に位置します。役割や部署の異なる社員同士が孤立していると、その代償を多くの社員が支払うことになりがちです。
縦割り構造を解消する
おそらく、部門横断チームの最大の強みは、現状に異議を唱える力があることです。上司と同じ部署で働くスタッフや、上司と同じ方法で問題に対処するようトレーニングを受けたスタッフは、多くの場合、既存のプロセスを踏襲します。これでは、同じミスを繰り返したり、作業効率を改善する機会を見落としたりしかねません。
異なる経歴を持つ人とコラボレーションすると、ビジネスのより幅広い目的を受け入れることにもつながります。縦割り構造で仕事をしていると、視野が狭くなり、社員どころか時には部署全体が孤立しているように感じることがあります。このようなものの見方が、社員同士の不健全な競争を引き起こす場合があります。その一方で、組織やその中での自分の役割に対するエンゲージメントの低下につながる可能性もあります。
他者とうまく協力できないスタッフの作業には、ずれや重複が生じる傾向があります。同僚とコミュニケーションが取れていないと、情報に基づいた意思決定ができず、全社員に影響が及ぶ可能性もあります。
フロントラインワーカーも取り込む
デスクを持たない社員は、オフィスにいる同僚との接点を失うことが多いものです。2020年版Deskless not Voiceless (デスクがなくても、声は届く)レポートでは、この2つのグループの間でコミュニケーションの方法が大きく異なることが示されました。
例えば、新型コロナウイルスによるロックダウン期間中、本社の管理職の90%が同僚への連絡にメールを使用していたのに対し、フロントラインの管理職の中で同様にメールを使用していたのは全体のわずか4分の1でした。フロントラインの社員やデスクを持たない社員の半数以上は、代わりに自分のデバイスのアプリを使用していました。こうした曖昧で統一されていないアプローチでは、ビジネスリーダーがフロントラインのスタッフと会話することも、フロントラインの重要な役割を担うスタッフが応答することもほとんどできません。
パンデミックからの回復により、フロントラインワーカーを含む全社レベルで明確なメッセージを伝え、つながりを維持できる公式コミュニケーションツールを展開する機会が開けています。これにより、フロントラインスタッフとの部門を越えたコラボレーションが促進されます。こうしたコラボレーションは、チームスピリットの向上と価値観の強化につながります。また、デスクを持たないスタッフが新しいプロセスについてフィードバックを行うための対話のきっかけにもなります。このような双方向の会話によって、ビジネスはより優れた意思決定を行い、変わり続ける状況により迅速に適応することができます。
部門横断チームの構築
部門横断チームによって成果が向上することはわかりましたが、どうすれば完璧なチームを編成できるのでしょうか。リーダーは選挙で決めるべきでしょうか。グループのミーティングはどれくらいの頻度で行うべきでしょうか。社員を最も実践的に組み合わせるためには、考慮すべきことがたくさんあります。すべてのプロジェクトやビジネスにフィットする万能の答えはありませんが、複雑な事態や落とし穴がパフォーマンスに影響を及ぼす前に、それらについて考えておくことはきわめて重要です。
チーム間コラボレーションの特徴
所属するチームでコラボレーションすることに慣れている人にとって、部門横断チームを構築して一緒に作業する場合はどのような違いがあるのでしょうか。主に考慮すべき点は次の2つです。
チームの構築
従来型の部署は、スタッフの経験に主眼を置いて構成するのが一般的です。下級、中級、上級、責任者などは、どれも役職名に付ける言葉ですが、その人の役職遂行能力を把握するのに役立ちます。一方、部門横断チームは、さまざまなスキルを網羅するためにさまざまな部署のメンバーを取り込んで有機的に形成されていくものです。
単一部門のチームには、さまざまな経験レベルのメンバーがいることが多いものの、ほとんどの人は通常同じレベルで仕事をしています。一方、部門横断チームでは、職位の低いメンバーが、より経験レベルの高いメンバーが含まれるグループのリーダーを務めることもあります。
チームとの共同作業
さまざまな部門の社員が一緒に働くと、従来のやり方に疑問が生じることがよくあります。新しい手法や既存の枠にとらわれない発想が、単一部署では成し得なかった成果を生み出し、新鮮な視点でより包括的な解決策を導き出します。
部門横断チームでは、タスクの承認に際し、通常の承認プロセスを回避して最上位者に成果を提示することが珍しくありません。非常に多くの部署がそれぞれの役割を果たすため、通常、問題解決はより着実であり、チームは作業プロセスの早い段階でミスに気づくことができます。
部門間コラボレーションの課題
一般的に、部門横断チームの失敗の理由は従来型のチームとほぼ同じです。部門間コラボレーションの課題の発生を食い止める方法の1つは、仕事を始める前に弱点を特定することです。2002年発行の『あなたのチームは、機能してますか?』で説明されている理論は、今でも通用する有益なフレームワークです。
信頼感の欠如
スーパーチームの編成に着手するまで、ハイブリッドワークの環境では特に、社員同士の関係が希薄である可能性があります。社員が同僚の能力にほとんど(あるいはまったく)期待していない場合、仲間意識や信頼を築くのは難しいかもしれません。
対立への恐れ
同僚がお互いのことをあまりよく知らない場合、状況は2つの方向のいずれかに進む可能性があります。対立を恐れるあまり、誤った協調性を保つためにアイデアを徹底的に話し合うことを避けて集団思考に陥るか、本当に運が悪い場合には、同僚同士が単純な誤解で衝突してしまうのです。
責任感の欠如
部門横断チームのほとんどのメンバーには、所属している部署で担当している仕事があります。こうしたメンバーは、新しい任務と日常業務の間で優先順位のバランスをとる方法を見つけなければなりません。新しいチームで、自分以外の人がどの程度作業に打ち込んでいるか確信が持てない場合、熱意や効果に影響する可能性があります。
説明責任の回避
チーム内で日常のビジネスコミュニケーションの問題が続くと、個々のメンバーが、仕事上の関係を持たないメンバーにパフォーマンス低下の責任を負わせようとする可能性が高くなります。チーム内で責任のなすり合いをしている間に、基準が低下していく傾向があります。
結果の軽視
部門横断チームでは、ものごとを大局的に考えることが不可欠です。個々のタスクを重視しすぎると必要なことに集中できなくなり、結果に影響が及ぶおそれがあります。
部門間コラボレーションのメリット
落とし穴を特定、回避、または対処できれば、部門横断チームでの仕事は大きな成果を生み出します。
進捗が速い
さまざまな部門が縦割りで仕事をしていると、進捗が遅れ、長引くことがあります。ある会社に問い合わせの電話をかけたものの、内線をたらい回しにされるところを想像してみてください。イライラするだけでなく、時間もかかります。次に、少数精鋭のチームがスピーカーフォンで応対してくれるところを想像してみましょう。適切な組織が相手であれば、はるかに短時間でより有益な答えにたどり着けるでしょう。
着実な成果
部署が違えば視点も違うものです。経理担当者は、ビジネス上の意思決定の財務要素に注目しがちですが、人事担当者であれば、同じ意思決定が社員の人間関係や福利にどのような影響を及ぼすかに注目するでしょう。第3の部署から参加しているチームメンバーは、他の人なら見落とすであろう落とし穴を両方のアプローチから特定することができます。知識を共有し、複数の手法を用いることで、より強固な解決策を構築できます。
創造性と革新性の向上
一般に部門横断チームは、部署を単位とするグループよりも創造性に優れています。選べるスキルの幅が広いため、1つのタスクに対して複数の対応を試すことや、併用されることの少ないスキルを組み合わせることさえできます。また、さまざまな部門にまたがってチーム間コラボレーションを行うことで、チームメンバーは現在の仕事の進め方に疑問を呈することもできます。最も優れた部門横断チームは、作業を始める前にアイデアをテストします。
エンゲージメントとチームスピリットの向上
普段はあまり付き合いのない同僚と協力することで、仕事上の人間関係が強化されます。より多くの同僚と関わることで、ビジネス全体とより強いつながりを感じられるようになります。その過程で新しいスキルを身につけられるチャンスもあります。社員が協力して問題解決スキルを高め、能力を開発し、社員同士の社会的つながりを構築すると、優れた人材を確保しやすくなります。
部門間コラボレーションのベストプラクティス
複数の部署を1つにまとめるために、以下のアイデアを試してみましょう。
上級管理者の賛同を得る
部署の責任者に支援を求めることで、確実にコラボレーションの影響力を強化できます。同じ部署の同僚を採用すると、上級役職者が下位のメンバーの進捗状況をトラッキングできるようになります。チームメンバーの採用は慎重に行い、日常業務が部門横断チームのプロジェクトよりも優先されないようにする必要があります。なにより承認について、会社の有力者の支援を得ることができます。
仕事に適したコラボレーションツールを使う
部門横断チームでは、リモートワーカー、デスクを持たないワーカー、オフィスにいるワーカーなど、あらゆる人が同じツールを使えるようにすることも成功のために欠かせません。既存のソフトウェアと統合できるコミュニケーションツールを探しましょう。コミュニケーションツールで会社全体をつなぐことで、社員がどこで働いていてもモバイルデバイスを使って社内の最新ニュースを入手したり、効率的にコラボレーションしたりできるようにします。
対面での交流を促進する
対面での交流は、チーム内の信頼を築く最も簡単な方法の1つです。ビデオ通話を行う際には、同僚にカメラをオンにするよう頼み、画面の共有を促します。
部門間コラボレーションを成功させるには: 専門家からの5つのアドバイス
Behnam Tabrizi氏の調査によると、部門横断チームの75%がうまく機能していません1。しかし、同じ調査では、強力なガバナンスサポートを受けたプロジェクトの成功率が76%である一方、標準的なガバナンスサポートしか受けていないチームの成功率はわずか19%であることが明らかになっています。
どうすればこのような事態を回避できるのでしょうか。企業が多様性のあるグループを活用するためには、将来に向けた計画が欠かせません。ここでは、チーム間コラボレーションの成功のために、専門家がおすすめするアドバイスをいくつかご紹介します。
チームは慎重に編成する
選抜チームを作るには、まず仕事に必要なスキルを見極めます。それが把握できたら、今度は望ましいスキルを持つ社員を特定します。複数の候補者がいる場合は、グループ作業への適性を検討する必要があります。実行者とまとめ役の画期的な組み合わせが必要になります。
部門横断チームには、必ずしもリーダーが必要なわけではありませんが、たいていの場合はリーダーを置く方が効果的です。部門横断チームが実施するプロジェクトでは、他のプロジェクトと異なり、上級職のメンバーが常にプロジェクトのリーダーを務めるわけではありません。経験豊富なメンバーにタスクを割り当てることに抵抗がない人を選ぶことを検討しましょう。
キックオフミーティングを行う
メンバーは、新しいチームでも普段所属しているチームと同じように自信を持ってコミュニケーションできる必要があります。誰もが気軽にアイデアを出し合い、質問し合えるようにするために、堅苦しくないキックオフミーティングを行いましょう。リモートワーカーとフロントラインワーカーが互いを訪問することは、オープンな対話のきっかけとなり、どこを拠点とする社員にとっても将来的なメリットにつながります。
進捗状況を継続的にトラッキングする
チームメンバー同士が進捗状況の最新情報を共有する方法とそのタイミングを決める必要があります。時間とタスクのどちらを基準にすべきか考えましょう。1週間または2週間ごとにミーティングを行うのがスケジュール上難しい場合は、タスクの状況確認に適したさまざまなオンラインツールがあります。
ミーティングを最大限に活用する
必要のないミーティングは時間の無駄です。ミーティングのスケジュールを決める際には、事前に議題を明確に設定し、全員が議論に備えられるようにしましょう。リモートワーカーが参加できる通話を計画し、異なる時間帯で働く人にとって無理のない時間を設定します。最適なツールを選べば、デスクを持たないワーカーがどこにいてもシームレスに会話に参加できるようになります。
透明性の高い意思決定プロセスを設ける
自分だけで決定できる事項をチームメンバーが認識している必要があります。セカンドオピニオンが必要な場合、誰に報告すべきかを全員が事前に知っている必要があります。チームリーダーが選択すべきか、複数のグループメンバーが選択すべきかを判断しかねる場合は、通常、グループに判断を委ねた方がよいでしょう。こうすると、チームの賛同を確実に得ることができ、説明責任の観点でも優れています。
最初の時点でガイドラインを設定し、グループが難しい意思決定をする際の指針となるようにしましょう。一例として、予算よりカスタマーエクスペリエンスを優先することをルールとして確立させると、チームメンバーが自信を持ってより良い選択をできるようになります。また、共通目標を全員に再認識してもらう絶好の機会にもなります。