社内コミュニケーションのための7つのツール
ビジネスを健全で円滑、生産性の高い状態で運営するには、社内の効果的なコミュニケーション戦略が欠かせません。使用すべき主なツール、避けるべきよくある間違い、適切に対応する方法を解説します。


社内ビジネスコミュニケーションは、組織全体の情報の流れです。それがうまくいっていれば、世界中のどこであれ、国際的に配置されたオフィスや、遠隔地で作業するチームや個人をつなぐインテリジェンスの強力なネットワークが生まれます。ビジネスコミュニケーションによりだれもが、ビジネス目標に向けて効果的に作業することができます。
ビジネスコミュニケーションは社員のエンゲージメントの基礎となり、信頼と忠誠心、互いへの敬意を築き、皆が声を上げることができるようにもします。
過去において、社内コミュニケーションとは上意下達の手段でしかなく、主として紙が使われていました。今日では、独り語りのモノローグではなく、ダイアローグつまり対話を意味するようになっています。複数プラットフォームで発生する会話、危機管理や変更管理から週ごとの企業更新状況とチーム構築に至るまでのさまざまな目的のための会話において、印刷物はそのごく一部を構成するに過ぎません。
企業内の適切な会話によって組織に提供されるさまざまなチャンスを最大限活用するには、考え抜かれた社内コミュニケーション戦略が重要です。
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効果的な社内コミュニケーションはなぜそれほど重要か?
社内コミュニケーションがうまくいっていないと、時間もお金も無駄になり、へたすると顧客にも影響が及びます。
調査によれば、社員と幹部の86 %は、職場で発生する失敗の主な原因が効果的な協力とコミュニケーションの不足であると述べています。1 明確なコミュニケーションがないなら、目標や目的も不明瞭になります。それは誤った情報の発生を招くので、ミスや誤解が生じる可能性が高くなります。
断固としたアクションを取るように調整してみんなの団結をもたらす明確なコミュニケーションがないなら、変化が発生した際に、そこに可能性を見るよりもストレスや不安が生じ、危機的状況に至って悲惨なことになる可能性があります。
また、蚊帳の外にいることも、社員が放っておかれている、過小評価されている、惑わされていると感じる原因になります。それは生産性に影響するだけでなく、士気が下がって離職率が上がることにつながります。
米国人材マネジメント協会(The Society for Human Resource Management、SHRM)によれば、社員1人を別の人に替えるには、平均6~9か月分の給料に相当するコストがかかります。2 しかし問題はお金だけではありません。社員が離職した場合、それは崩壊の原因となります。ビジネス運用に関して他の人にとって肝要な人物が離職した場合、マイナスの影響をもたらすものとなります。
さらに、社内コミュニケーションがうまくいっていないと、顧客との関係にも影響することがあります。社員が「同じページにない」、つまり社員に重要なメッセージや企業価値が明確に伝えられていないとしましょう。そうなると、提供される顧客サービスには一貫性がなくなり、ブランドにとって有害なものとなることさえあります。

上手な社内コミュニケーションでは複数のツールを活用している場合が少なくありません。
社内コミュニケーションを効果的なものにするのは何でしょうか?
適切なタイミングで正確かつ的確な情報をやり取りする社内コミュニケーションの価値が理解されていなければ、最新のツールやソフトウェアを揃えても意味がありません。
効果的な社内コミュニケーションを実現している企業には、以下の共通の特徴があります。
優れたコミュニケーションがどんなものかを認識しており、それを実現するために柔軟な目標を掲げている
インクルージョンを考慮した双方向会話の価値を認めている
同僚の間やマネージャと部下の間での垂直コミュニケーションと水平コミュニケーションを促進している
効果的な社内コミュニケーション実現のために時間、エネルギー、人材を投入している
戦略の効果性を測定するための指標を確立している
コミュニケーションが不足していないか検討し、変更を行っている
社内コミュニケーションでよくある間違い
コミュニケーションがまずいと、かえって物事が悪くなります。少なくとも時間やリソースの無駄です。緻密な社内コミュニケーション戦略を打ち立てるための第一歩は、何をするべきでないかを知ることです。
以下に、社内コミュニケーションでよくある落とし穴を5つ挙げます。
明瞭でない
最も効果的な社内メッセージは、多くの場合、率直、シンプル、簡潔なものです。込み入った大量の詳しい情報を人々に消化してもらうことを期待しても、興味を示さないか大切な点が忘れられてしまうのがオチです。
対象者が明確でない
利用できる社内コミュニケーションツールには、さまざまなものがあります。オーディエンスに最適なものを選び、メッセージの対象を絞るようにしてください。
次の点を自問してください。何を言う必要があるのか?それをいつ言うのか?そして誰に言うのか?人々は何を気にしていて、どういう形でのコミュニケーションを望んでいるのかを理解することが重要です。メールは、昼食時のウェビナーやQ&Aとは大いに異なっています。そして常にフィードバックについて考えてください。それは必要ですか?どうやって集めますか?集めた後どうしますか?
言うのは一度だけで更新しない
コミュニケーションは継続的なプロセスです。だれもが理解して自分のこととして受け止めるようにするため、重要なメッセージは繰り返してもいいはずです。新しい情報は複数の形式、また複数のタイミングでシェアします。また、何かをすると言った場合、(何も変わっていないと言うだけであっても)フォローアップを忘れないようにしてください。
フィードバックを活用しない
最前線の作業者から経営幹部に至るまで、それぞれの人が実際に何を考えているかを把握していますか?リモートワークとフィジカルディスタンスという課題のため、社員の声に耳を傾けること、そして適切な対応によって「フィードバックループを閉じる」ことはますます重要になっています。しかし、最近の調査によれば、話すのが90 %、聞くのか10 %で、話すことと聞くこととがまだ釣り合いの取れた比率になっていないとのことです。
トリクルダウン理論効果を想定する
これは、重要人物に伝えれば、やがて組織全体に伝わるだろうという想定です。必ずしもそうなるとは限りません。今の時代にあちらこちらに分散した職場に情報が伝わったか追跡することが困難であることはさておくとしても、この想定による方法はせいぜい信頼性に欠けるアプローチというところです。重要な情報を受け取り損ねる人がいるかもしれないだけでなく、情報が行き着いた先で個人的な解釈のために混乱を招いたり不正確なメッセージが伝わったりすることになりかねません。

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社内コミュニケーションのための7つのツール
リモート、デスクレス、前線の作業者を抱える多くの企業では、情報のシェアとフィードバック収集のためにデジタル化が必須です。しかし、社内コミュニケーション戦略を作るのは職人業です。
その1つの理由として、それには利用可能なさまざまなプラットフォームの長所と短所を理解していることが求められるからです。また、人々のエンゲージメントも必要です。それは、しっかりした高品質のコンテンツミックスを作ることを意味します。
では、利用可能なデジタルコミュニケーションツールを最大限活用するにはどうすればいいいでしょうか?最も一般的な7つの概略を以下に示します。
モバイルアプリ
人は、5分ごとにスマホをチェックしています。アラートに促されるのは、そのうちの11 %に過ぎません。そのため、個人用に設定した社内コミュニケーション用としては、企業ブランドのモバイルアプリが明確に選ばれるようになっています。
英国の運送会社Stagecoachにおいて、接客をする職場用のアプリを導入したところ、最初の1週間で84 %がそれを使用し、会社全体で社員満足度が32 %上昇しました。3
長所: プッシュ方式のメッセージングとアラートでは、重要な更新情報がほとんど即座に既読になります。それには企業メールや固定した仕事場を持たない前線作業者やリモート作業者も含まれます。またアプリは、フィードバックを集めたりソーシャルシェアへの招待をしたりするのにも使えます。それらは社員の帰属意識を高めます。
短所: ユーザー生成のコンテンツを特徴とするアプリやフィードバックを促すアプリでは、それをほどほどに抑制することが必要になりますし、データのプライバシーの問題も出てきます。さらに、アプリ操作から作業に戻るために時間が必要という点も忘れてはなりません。4 更新のスケジュールには注意深くあり、社員に情報が殺到しないようにしてください。そうしないなら、社員は通知をオフにしてしまうことでしょう。
オンラインアンケート
匿名アンケートは、社員が声を上げる手段となります。また、リアルタイムに社員の満足度と企業文化の「温度」を測るバロメーターともなります。さらに、声に耳を傾けることによって、最善を尽くす社員のプロ意識が4倍以上高くなるのです。5
長所: 匿名性によりオープン度が高くなり、組織内で生じている具体的な心配に雇用者の注意を向けたり、今必要としていることを社員が訴える手段となります。一連の簡単なパルスアンケートは、社員満足度の尺度として、比較的頻度の低い主観的な評価より正確なものとなり得ます。
短所: アンケートが効果的であるためには、ある程度の頻度で送る必要があります。それは時間がかかる作業となり、アンケートの作業に疲れて作業負荷が増える可能性があります。またフィードバックに対応しない場合、士気低下を招く可能性があります。質問の仕方が悪かったり誘導尋問のようになったり結果分析に不備があったりすると、虚像を描いてしまったり、真の問題点を見過ごしたりする可能性があります(「社員の80 %がxxxと言っているので、残りの20 %のことを心配する必要はない」...)。
オンラインコラボレーションツール
クラウドファイルストレージからタスク管理やプロジェクト管理に至るまで、またインスタントメッセンジャーからビデオ会議システムに至るまで、オンラインコラボレーションツールはさまざまなチームを結び付けています。Gartner社によれば、作業者の80 %近くがそれを使用しています。
長所: モバイルデバイスでもデスクトップでもノートパソコンでも、またMacでもPCでもアクセスでき、コストパフォーマンスと柔軟性の高いコラボレーションソフトウェアがあれば、社員相互の連絡が保たれ、生産性が25 %向上します。サードパーティのサービスやアプリとのさまざまな形の統合により、一人一人に合わせた柔軟なビジネスソリューションが可能になります。
短所: 人とじかに接する機会が相対的に少なくなり、社員が孤立感を抱いたり自分の役割が分かりにくくなったりするリスクがあります。また、返信が遅いと進捗が滞ることがありますし、さらには年中無休でつながっていると家庭と仕事の境界があいまいになる可能性があります。
“閲覧者は動画形式のメッセージの95 %を覚えているのに対して、テキストで受け取った情報については10 %しか覚えていません。 ”
動画
自宅や外国で作業する社員がいる場合、動画は、距離や社内階層による大きな分断を軽減します。社員のうち48 %は、それをコミュニケーションの形としてエンゲージメントの最も高いものと見なしています。6
長所: 動画は多目的に使えます。CEOはそれを使って企業の新たなパートナーについてコメントを述べることができますし、営業チームはグローバルチームが新製品について学ぶための新しいeラーニングコースをシェアすることができます。さらに記憶に残るというのも特徴です。閲覧者は動画形式のメッセージの95 %を覚えているのに対して、テキストで受け取った情報については10 %しか覚えていません。7
また、ウェビナーやQ&Aを視聴する際にコメント機能のあるソフトウェアを使うことにより、配信システムを使って容易に双方向会話をすることができます。これは、社員が、実際に会うことはまずない会社幹部と関わりを持つためのユニークな機会となります。
短所: どんなクリエイティブなメディアでもそうですが、コンテンツが貧弱だと、リーダーやマネージャの評判を損ねる結果になる場合があります。そして、アクセシビリティの観点から、必ず字幕を含めるようにしてください。簡潔なものにすることも必要です。たとえば、TED talksは18分以下です。「真面目な態度で見るよう人の注意を引き付けておく」には、この時間で十分だ、とTED理事長クリス・アンダーソンは言います。8
メール
これは、社内コミュニケーションのデジタルメディアとして最初に採用するものの1つとして、多くの組織で引き続き人気があります。しばしば引用されるMcKinsey Global Instituteの分析による2012レポートでは、平均的な専門職の人はメールを読んで返信するために仕事時間の28 %を費やすとされています。9 新しいアプリやコミュニケーションソフトウェアではメールの重要度(および依存度)が低くなっていると主張しているものの、実際には労働時間の多くが費やされています。果たしてこれでいいのでしょうか?
長所: メールは、どんなデバイスでもアクセスできる手軽な手段です。動画、グラフィック、アンケートをシェアするシンプルな手段です。件名や魅力的なデザインをよく考え、対象を注意深く選べば、コミュニケーションミックスの中で手軽な手段として意味深いものとなり得ます。
短所: 終わりのないメールのやり取りにはうんざりさせられます。挙句の果てに社員はメッセージを無視するようになります。この事に促されてバイエル社VPのメアリー・ルー・パンザーノ氏は、彼女のチームが社員に送信しなかったメールの数を測定しました。10
戦略的優先事項から外れたメッセージはカットされ、重要な情報が残るようにしました。短期記憶に保持できるのは7つ(±2)の項目だけであるというミラーの法則を思い起こしてください。長くて散漫なメールも避けるのが賢明でしょう。それから堅苦しい書き方はもうやめましょう。
ポッドキャストと音声録音
音声は社内コミュニケーションで「いつでも耳を傾ける」アプローチを促します。これは、外回りに時間を費やす社員(または週に数日出勤するようになった社員)には理想的です。Nielsen Podcast Insightsによれば、リスナーの80 %は、ポッドキャストの各エピソードの全部またはほとんどを聞き続けるとのことです。11
長所: ポッドキャストは動画に比べて手軽、容易、そして比較的安価に作成できます。定期的なもの、あるいは運用開始やキャンペーン用の短期サポートを提供することも可能です。DeloitteのThe Green Roomポッドキャストは、専門家へのインタビューや企業調査を含み、外部制作されたものでした。それにより社外の人も聞くことが可能になっています。
短所: ポッドキャストは、実際のビジネスに文化的に適合するものであることが必要です。そのメディアを特に考慮したものであることも必要です。スライドが含まれるプレゼンテーションの録音は、視覚的な補足資料のないリスナーをいらいらさせるものとなります。聴覚障碍者のためのアクセシビリティも考慮しなければならず、可能なら文字としても提供してください。
イントラネット
社員情報のハブとなるよう設計されたもの。一部の企業では、イントラネットが引き続き社内コミュニケーションの中心に据えられており、便利なリソースのライブラリーとして使用されています。
長所: イントラネットでは、人事ポリシーや更新ニュースなどの重要な企業情報に社員が容易にアクセスできます。Hersheyなどのブランドでは、単一イントラネットハブが、特に付随アプリと共に、社員がつながりを感じる上で大きな役割を果たすことが証明されてきました。12
短所: しかし、それは本当に活用されているでしょうか?Prescientによる有名な2012年のアンケートによれば、イントラネットを毎日使うのは社員の13 %に過ぎず、一方31 %は全く使用していません。13 このような低いエンゲージメントの背景には、サポートの切れた古いソフトウェア、更新頻度が低いこと、そして使い勝手が悪いといった問題がありそうです。また、ほとんどの場合、これは一方通行コミュニケーションの固定形式です。

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