5つの効果的なビジネスコミュニケーション戦略
ロックダウンによって社員がリモートワークを始めた時、企業はビジネスコミュニケーション戦略の再考を迫られました。そして、社員が再びオフィスに戻り始めた今、企業はまたもや戦略の再考を求められています。この記事では、オフィス勤務の再開により生じる問題の解決法について解説します。
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各国がロックダウンに踏み切る中、広く普及したリモートワーク。これは多くの企業にとって初の試みでした。リモートワークの実施は、人々の会話、仕事の進め方、関わり方が大きく変わることを意味していました。
そして今、少しずつオフィス勤務が再開されていくにつれ、企業は、ハイブリッドワークという勤務形態や、ビジネスコミュニケーション、さらにはデジタルと対面を組み合わせたやり取りに対応する必要性に迫られています。
なぜこれらが重要となるのでしょうか?企業がシンプルかつ正確なビジネスコミュニケーション戦略を立て、それを効果的に伝えるにはどうすればよいのでしょうか?もっと簡単にいえば、新しい仕事の世界をシンプルにして問題解決につなげるにはどうすればいいのでしょうか?
その答えを探すためには、まず、ビジネスコミュニケーション戦略の意味と、ビジネスコミュニケーション戦略がパンデミックによりどう変化したかを定義することが不可欠です。
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ビジネスコミュニケーション戦略とは?
生産性が高く、目標を達成し、ポジティブな従業員体験を提供する組織、つまり成功する組織を目指すなら、シームレスなコミュニケーションは不可欠です。
ビジネスコミュニケーションには、さまざまな形態があります。社内コミュニケーションは、企業内のさまざまな部署間や上司と部下の間における、情報、ニュース、会話の流れを指します。社外コミュニケーションは、顧客、パートナー、クライアントとのコミュニケーションのことです。
ビジネスコミュニケーション戦略とは、こうした様々な手段を考慮に入れながら、何を、どのように、いつ、なぜ伝えるべきかを1つのビジョンとして提案するものです。
戦略を立てる方法は1つではありませんが、以下を定義しておくとよいでしょう。
- メッセージ: 何を言いたいのか、また社内では誰がそれを口にできるのか?
- コンテンツ: 制作するコンテンツごとの目標をどのように決められるか?
- チャネル: チャネルミックスをどう理解するか?チャネルとコンテンツの組み合せが適切かどうかをどう判断するか?
ビジネスコミュニケーション戦略とは、コミュニケーションを可能にするためのツールや機器を羅列したものではありません。コミュニケーションを通じて期待されていることを理解してもらうように全社員を導くものです。
つまり、コミュニケーションに使うチャネルが変わったとしても、コミュニケーションのビジョンは変わりません。
ビジネスコミュニケーション戦略を立てる方法とは?
優れたコミュニケーション戦略は、全体のビジネス戦略に沿っている必要があります。主要な目標に集中することで、コミュニケーションが全体像の中でどのような位置づけになるのか、また目標達成に向けてコミュニケーションをどう活用できるかが見えてくるでしょう。
戦略は、論文のように長く書く必要はありません。1~2ページに収まる場合もあるでしょう。まずは1〜2文で明確なビジョンを表すことから始めます。その次に、そのビジョンの実現に向けて管理職や社員がどのように貢献できるかという方向性を示します。ただし、細部まで決める必要はありません。あまりに具体的なルールを増やしていくと、こと細かに管理されているように感じられ、解決どころかさらなる問題を生む可能性があります。
過去のコミュニケーション戦略は非常にトップダウン的でした。しかし現在は、静的で縦割り的なものから、双方向のネットワークによる対話のような社員主導型のモデルに移行しています。
このことを念頭に置けば、最初から全員を関与させる形が理想的といえます。そのためには、社内のコミュニケーションの現状を把握することが必要です。
会社でのコミュニケーションや使用しているプラットフォームについて、うまく機能しているものとしていないものについて質問する社員アンケートを実施します。収集した情報を使うことで、社員主導型の改善を実施することが可能になります。
ビジネスコミュニケーション戦略の方向性が決定したら、次は期待するコミュニケーションのタイプについて、より具体性をもって検討を始めます。
例えば…
- 部署で独自のニュースフィードを始めるべきか?
- 社員が問題をエスカレーションしやすくなるよう、新たなポリシーを策定したり、現行のポリシーを改訂したりする必要はあるか?
- リモートワーク中の社員への連絡という点において、管理職にさらなるサポートが必要か?
- 現在の営業やマーケティングへのアプローチは有効か、あるいは方向転換が必要か?
- カスタマーサービス部門は、顧客がブランドから離れないようにするという目標を達成できているか?できていない場合、どのように改善できるか?
これらの問題への答えが見つかれば、コミュニケーションのメカニズムがより明確に見えてきます。つまり、どのチャネルを使うべきかがわかってきます。
コミュニケーションチャネルの選び方とは?
職場でのコミュニケーションが、日常生活における友人や家族とのコミュニケーションと同じであることが期待されています。これは特に若手社員にとって重要です。最新のツールやテクノロジーを使う企業に勤めることが重要であると答えた人の割合は、ベビーブーム世代に比べミレニアル世代の方が1.4倍高いことが分かっています。
だからこそ、特にリモートワークの普及により、多くの職場ではインスタントメッセージアプリやモバイル技術が不可欠なものになっています。その最大のメリットは、職場内外の人とコミュニケーションがとれることです。
しかし、重要なことは、チャネルやハードウェアを定義することだけではありません。収集したデータやインサイトを利用して、ポリシーを策定する必要があります。そしてそのポリシーが、社員が送るメッセージのタイプに影響を与えることにもなるはずです。
優れたコミュニケーションポリシーがあれば、節度あるコミュニケーションの境界線が設けられ、ハラスメントやいじめのリスクも軽減されます。ルールは全員に周知すべきであり、違反した場合の対処についてもポリシーで規定する必要があります。
ビジネスコミュニケーション戦略とチェンジマネジメント
組織変更は、ビジネスコミュニケーション戦略にとっての試金石といえます。変化とは不確実性を意味するものであり、社員はその答えを企業に求めます。社員がリモートワークに移行した際に、企業はこの課題に直面しました。そしてオフィス勤務が徐々に再開されつつある今、この課題が改めて浮上しています。
この新たな段階では、大規模なリモートワークへの移行期間中に重視されるようになった従業員体験(EX)に対し、これまで以上に注目が集まっています。多くの企業が、パンデミック前よりも企業文化が改善したと報告しており、今後この事実を有効活用したいと考えているようです。つまり、スムーズな移行を実現するため、コミュニケーションにスポットライトが当てられているといえます。では、どうすればよいのでしょうか?
変革期を通して効果的なコミュニケーションを実現するには、社員の考え方を理解することが重要です。社員にとって変更は居心地の良いものではなく、変更の影響を受けた社員の73%がストレスを感じていると答えています。変更による不安を抱えている人はパフォーマンスが平均より5%低くなります。だからこそ、コミュニケーションとは現実的なものでありながらも人間的で安心感を与えるものでなければなりません。
- 重要なメッセージを決定し、幅広いビジネス戦略との整合性を確かめる
- 変更の影響を誰がどのように受けるのか、さまざまな職務の社員にとって、変更がどのような意味を持つのかを定義する
- コミュニケーションの方法を考える(使うチャネルは何か、対象の社員は誰か、どのメッセージを伝えるか)
- 変更される点を明確にする
- 将来的にどうなりたいかという企業の展望を明らかにする
- 出来る限り疑問に答え、不安を緩和する(安心感を与えるために回答を広く共有する)
- 噂に対しては事実を伝えることで対処する
- 質問をしたり、フィードバックを提供したり、不安を吐露したりする場としてのフォーラムを設けることで、対話の形で意思疎通を図るフィードバックに基づく措置を講じて、対策を公表する
そして何よりも大切なのが、対話を続けることです。変化の時期には、コミュニケーションを徹底する必要があります。さまざまなチャネルを通じて頻繁にメッセージを送信し、社員が質問してその回答を得られるように常に情報提供の場を用意します。
ビジネスコミュニケーション戦略を向上させる5つの方法
ビジネスコミュニケーション戦略の導入はスタートに過ぎません。戦略のモニタリング、アップデート、改良は、その後の企業運営の中核に据えるべき継続的なプロセスです。ここでは戦略を改善し続けるための5つの方法をご紹介します。
1.目標を明確化する
企業の使命は、コミュニケーションだけでなく、あらゆることの礎です。だからこそ、そこで働く人が使命を明確に理解していなければなりません。達成しようとしていることを全員が認識することで、より多くの社員が企業のビジョンに賛同しやすくなります。
2.成果をモニタリングする
コミュニケーションのアプローチに関するデータとフィードバックを常に収集するよう徹底します。その一つの方法が、継続的なアンケートを行い、企業のコミュニケーションツールやポリシーを使った経験を定期的に評価してもらうことです。これによりトレンドを把握できるようになり、変更を加えた場合はその影響をすぐにとらえることができます。
3.自ら模範を示す
チームに使って欲しいチャネルと望ましいコミュニケーション方法を、自分が率先して実践します。例えば、電子メールの使用を控えてもらいたい場合は、代わりにインスタントメッセージを使うようにしましょう。これにより、チームメンバーも他の人の模範となることができます。
4.発言の場を提供する
社員がフィードバックやアイデアを提供できるフォーラムを設けます。社員の貢献を認め、可能であれば、それに対して何かしらの行動をとります。
5.継続的なトレーニングを提供する
これは、システムが定期的に変更される場合に特に重要ですが、新しく入社した人や、企業内で使用しているシステムや手順に精通していない社員にとっても不可欠です。全社員がコミュニケーションシステムを最大限に活用しているかを確認するために、少なくとも年に1回はトレーニングセッションを実施することを目標にしましょう。また、スキルのリフレッシュが必要な社員や質問がある社員を対象に、定期的なクリニックやドロップインセッションを開催します。
現代の世界情勢においては、企業のコミュニケーションが急激な変化に耐えられるかが試されています。社員中心型で、より人間的で、容易で、効率の高いコミュニケーションこそが成功のカギであり、社員の生産性とエンゲージメントを維持する上で不可欠です。
新しいビジネスコミュニケーション戦略の導入は、複雑である必要はありません。ビジネスの幅広いニーズに対応するシンプルな企業理念を掲げることで、企業をより明確で迅速、かつより効果的なコミュニケーションへと導くことができます。Workplace EXコミュニケーションハンドブックを参考に、社員中心型の戦略を立ててみましょう。
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