パンデミック前も、効果的なチームワークの実現や、高いチームワークスキルを持つ社員の雇用は容易ではありませんでしたが、ロックダウンによってさらに困難になりました。現在、一部でオフィス勤務が再開されるなかで、組織はチームワークの実現に改めて注力する必要があります。その方法をご紹介します。

ロックダウン前にチームワークは良好でしたか?チームワークスキルが不足していませんでしたか?リモートワークに切り替わった後はどうでしょうか?これらの質問に正しく答えるのは容易なことではありません。そもそもチームワークという語の定義も微妙です。

良いチームワークスキルとは、単に他のメンバーとうまくやっていくことだけではありません。それは、他のメンバーと協力できるということでもあります。これは、金融サービスから小売業にいたるまであらゆる業界において重要なことです。事実、オーストラリアのエディス・コーワン大学の調査によれば、企業はチームワークスキルを新卒者に求められる最も重要なスキルの1つだと考えています1

一部の国では社員が職場に戻り始めており、企業がリモートワークとオンサイト勤務のバランスを取ろうとしているなか、チームワークを以前より効果的に発揮するにはどうすればよいでしょうか?

Workplaceで業務を簡素化

オフィス勤務再開の周知からハイブリッドワークの導入まで、Workplaceは業務を簡素化します。

チームワークスキルとは何か、それはなぜ重要か?

チームワークスキルとは何か、それはなぜ重要か?

チームワークスキルは、チームが成功する上で重要です。社員の相互協力が成功につながるようにすることは、社員エクスペリエンスを発展させるための重要な部分です。リーダーには、チームをまとめ、成功に導く責任があります。では、どうすればよいのでしょうか?

まず、チームワークスキルは誰もが自然に習得できるとは限らないことを認識することが不可欠です。学習は可能ですが、チームとしてうまく機能することは、トレーニングコースで簡単に学習できるものではありません1。メルセデスベンツ社の調査では、チームワークは社外トレーニングでは改善されないスキルの1つということが分かりました。

それでも実際に作業をしながらスキルを磨くことは可能です。それで、優れたチームワークスキルとはどんなものかを示すことの重要性を過小評価することはできません。これはマネージャがその役割を果たすのに役立ちます。自分の影響力を行使してチームが必要とするロールモデルとなり、コントロールを維持できるからです。

2つ目に、チームワークスキルはゼロから生じるものではありません。チーム環境が適切であることが必要です。1970年代に社会組織心理学者リチャード・ハックマン氏は、チームの成功を可能にする3つの「条件」を定義しました。それらの条件は現在でも有効です。

  • 強制力のある指示
  • 強力な構造
  • 支援が提供される状況
新型コロナウイルス感染症流行下でのチームワークスキル

新型コロナウイルス感染症流行下でのチームワークスキル

しかし、それはロックダウン前の話です。リモートワークへのシフトは、社員のコラボレーション能力にどう影響したでしょうか?これは企業にとって何を意味するでしょうか?

つまり「次はどうすればいいか?」ということです。

ロックダウンから注意深く回復し始めた地域もあるため、これはビジネスリーダーが考えるべき問題です。しかし先が見えない状況でも、まったく変わっていないことが1つあります。新型コロナウイルス感染症のため、どんな組織も人員の強化を迫られているということです。

すでにその影響が出てきています。最近の調査によれば、リモートワーク中に企業文化が改善されたと考える企業が90 %に上ります。リモートワークからオフィス業務に復帰しても、従業員体験(EX)に関するこのような取り組みが継続することを社員は期待しています。

企業がより広い範囲でEXに良い影響を与えることのできる1つの方法は、社員が効果的にコラボレーションを行えるようにすることです。世界的なパンデミックの行方がまだまだ不透明ななか、企業はこの課題に取り組み、フルタイムのオンサイト勤務、フルタイムの在宅勤務、そしてこの2つを組み合わせたハイブリッド勤務のそれぞれの社員について解決策を示す必要があります。

Tips for improving team working skills
チームワークスキル向上のためのヒント

チームワークスキル向上のためのヒント

チームワークスキルの向上に役立ついくつかのヒントがあります。それらは、リモートワークにシフトする前にも重要でしたが、地域によって社員が職場に復帰し始めた今も引き続き重要です。

1.チームのミッションと目的を設定する

オックスフォード大学出版局では、チームワークを「共通の目標に向かって協力して作業する能力」と定義しています。チームが機能するには、誰もが共通のミッションを理解し受け入れていること、そして個人的な目標よりも共通のミッションを優先していることが必要です。グローバルブランドであるMarsのカルロス・ヴァルデス・ダペナ氏は、「個人の作業の寄せ集めではなくチームとしての共同作業のほうが価値があるのはなぜか?」と考えるように促すことによって、チームワークを開始することを推奨しています。

その点を明確にし、強制力のある指示を出すことがリーダーの責任です。それがなければ、チームが成功する見込みは低くなります。それでも個人個人の目標を設定することは重要でしょうか?もちろんです。しかし、チームワークを成功させるには、誰もが共通の目標に向かって取り組む必要があります。史上最も成功を収めたロックバンドのことを考えてみてください。メンバーの誰かのエゴが共通の目標よりも大きくなると、チームがばらばらになります。

2.役割を明確にする

チームメンバーが自分の役割と責任を明確に理解していなければなりません。そして誰もが自分がチームにどの程度貢献できるかについて理解し、それについて確信を抱いていることが必要です。

チームのサイズと構造が重要であり、それらを現実的な方法で決定する必要があります。一部の人を頼りにして、後は運に任せるというのはよくありません。チームが小さ過ぎると、スキル、思考スタイル、行動様式の適切な組み合わせが得られません。チームが大き過ぎると、メンバーが怠慢になってグループ思考に陥りやすくなります。もちろん、チーム形成後、チーム構造がうまく機能しない場合にすぐ対応できるよう、柔軟性が必要です。しかしいくつかの限度を設けておくことも役立ちます。たとえば、チームのサイズが大きくなり過ぎないように、新しいメンバーが加わった場合には誰かが抜けなければならないなど、チームの人数については厳密に定めることが考えられます。

ダイバーシティも重要ですので、できるだけさまざまな年齢、社会的背景、人種、性別を揃えるようにしてください。アメリカ心理学会によれば、ダイバーシティ重視のチームのほうがイノベーションと創造性の点で優れており、競争力も高いとされています。ただし、時間が必要かもしれません。「ダイバーシティに富むチームが、背景や考え方が似ている人々から成るチームよりも好ましいと思われるようになるまでには時間がかかる」と言われています。

3.効果的にコミュニケーションを取る

リモートワークの爆発的な増加により、チームワークスキルとしてコミュニケーションがかつてないほど重要になっています。そして、職場に復帰し始めた人がいる一方で在宅作業の人もいるという状況では、さらに多くの課題とチャンスが出現しています。

地理的に離れていると、言葉以外の合図が少なくなってコミュニケーションに支障が出る可能性があります。ハーバードビジネスレビューは、優れたチームワークの秘訣の中で次のように述べています:「直接顔を合わせるチームでは、構成メンバーが、状況から得られる言葉以外の合図により何が起こっているのか暗黙のうちに読み取ることができます。」リチャード・ハックマン氏は、それを「不完全情報」と呼んでおり、チームワークの成功を阻む主要な問題の1つとして強調しています。

バンドからスポーツチームに至るまでの有名なチームでは、仲間意識を築くために良好なコミュニケーションを重視します。有名な話として2018年英国女子サッカーチームは、自然なコミュニケーションをスムーズに行うためにいくつものWhatsAppグループを設定しました。重要なのはコミュニケーションの中身ではありません。Digital Spark Marketing社のマイク・シュルツ社長は次のように語っています。「コミュニケーションの方法、つまりチームメンバーがどれほど自由に、また頻繁にコミュニケーションを取るか、それによってチームの効果性が決まります。」

4.衝突に対処する

どんなチームでも時には衝突することがあります。成功する上で重要なのは、それを管理し解決する方法です。ここでもあなたが模範として率先できます。衝突が発生したらすぐに共感を示しつつ対処してください。チームの共通目標を再確認してそれに再度集中することにより、衝突から立ち直るようにすると良いでしょう。

5.チームワークの成果を認めて褒める

優れた成果を上げている場合、チームがそれについて知ることが重要です。ボーナスなどの付帯的な報酬により、またシニアリーダーからの褒め言葉などの人の内面に訴える報酬により、優れた業績を認めていることを示すことができます。報酬がチーム全体に向けたものであることを明確にするなら、チームの結束がさらに高まることでしょう。

6.オープンな姿勢と信頼の醸成を促す

目隠しをした状態でテントを立てたり、互いの目を見つめ合ったりするなど、従来のチームビルディングのアクティビティの多くは信頼に重点を置いています。これにはそれなりの理由があります。信頼はチームの成功にとって欠かせないものだからです。信頼がなければ、チームは効果的なコミュニケーションを取れず、問題解決のために協力することができません。

嫌味や怒りの反応を心配せずに自由に話すことを人々に促すことで、信頼感が生まれてきます。また、恐れずに自分の意見を述べるようになると、インサイトや創造性が伝わるようになります。

また、チーム構築にお金をかけてもよいと考えているなら、アメリカ心理学会では調査の結果として、人間関係改善、役割の明確化、問題解決能力向上に重点を置くことを推奨していることに注意してください。

7.建設的なフィードバックを提供する

効果的なフィードバックを提供することは、それ自体1つのスキルです。しかし、それを簡単にできる人はあまりいません。それでも練習すれば簡単にできるようになります。自分たちが本当にうまくやっているのか分からないままでいるチームや、批判しか受けていないチームと比べて、建設的なフィードバックを受けるチームは、ずっと速く成長します。

8.責任を担う

チームメンバーがチームのプロジェクトの中で自分の責任を担うようにしたいと考えていますか?その方法をメンバーに示してください。その役割に含まれている内容を明確に伝えてください。また、成功しても失敗しても責任を取る覚悟をしていなければなりません。あなたが他の人を責めているのを見た社員は、同じことをすると覚えておいてください。

9.誰もが説明責任を果たすようにする

説明責任も、役割が明確に定義されていること、またチームの成功や失敗の中で自分がどんな役割を果たすのかを知ることと関連しています。

チームリーダーは、計画どおり事が進まない場合にその事態を冷静に受け止めるとともに、チームの成功を称賛することによって、説明責任の模範を示すことができます。説明責任が明確なら、チームメンバーはリスクを引き受けても構わないと考え、自己防衛に走らなくても良いと思えるようになります。さまざまな意見を尊重し、現状打破に挑戦する人をサポートすることを示してください。

その他のチームワークスキルの例

その他のチームワークスキルの例

その他のチームワークスキルの例としては、どのようなものがあるでしょうか?チームワークの副次的スキルとしてアクティブリスニングと共感を含めるよう推奨する人もいます。

自分は良い聞き手だと考えるとしても、アクティブリスニングの点ではどうでしょうか?アクティブリスニングとは、真剣に聞いていることを言葉と態度で示すことです。アクティブリスニングには、聞いたことを言い換える、詳細な説明を求める、チームメンバーに関係する点を付け加える、などが含まれます。アクティブリスニングをすると、他の人は評価され尊重されたと感じ、絆が形成されてコラボレーションが容易になります。チームワークスキルとしての良い聴き方の重要性は、どれほど強調しても強調し過ぎることはありません。

重要なヒント: 練習する場合、聞く時間が話す時間の2倍になるようにしてみてください。誰かが話した後には、さらにその人が何か付け加えるかどうか確認するための休止時間を取るようにしてください。

共感もチームワークスキルとして重要です。特に、リモートワークの人が増え、チームのダイバーシティ度や地理的分散度が高くなった今、共感は重要です。共感が示されなければ、多様性の大きいチームで派閥が生じかねません。そうなると、コミュニケーションやコラボレーションに支障が出る可能性があります。

共通の土台を探すことは、チーム内でのマインドセット共有を形作るのに役立ちます。それは、「こっち側とあっち側の対立」を避ける上で重要です。これはどんな時も例外なく、全員が仲良くする必要があるという意味ではありません。むしろチームメイトの背景を理解し、尊重するということです。

チームワークスキルは、履歴書に記載できる項目だけではありません。それはチームの成功に不可欠であり、人生の他の側面でも役立ちます。チームワークスキルは学習して伸ばすことが必要です。模範となる行動を示すことで、あなたとチームは共に学ぶことができます。

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