社員の健康と幸福を促進させるためのアドバイス
社員の健康と幸福は、「あればいい」から「なくてはならない」ものに変わりました。なぜそれほど重要なのでしょうか?どうすれば健康と幸福を職場文化の中心に据えることができるでしょうか?


社員の健康と福祉を気遣うことは、ビジネスの健全性を追い求めるためにできる最も重要なことの1つです。しかし福祉や幸福というのは、単に無料の朝食、マインドフルネスアプリ、格安のジム会員権があるという以上のことを意味します。健康に配慮する今どきの企業は、その文化全体の中心に幸福や福祉を据えているのです。
パンデミックを機に企業は福祉の重要性に目ざめたかもしれませんが、職場でそれを促進するにはどうしたらよいか分かっていない企業も少なくありません。英国では福祉について先進的と主張する企業が増えていますが、社員福祉戦略を正式に確立しているのは約半数に過ぎません。
その一方、福祉は苦難に見舞われています。ハーバードビジネスレビュー誌による世界規模の調査で回答者の85 %は、パンデミックが始まって以来福祉が衰退したと言っています。
それで、組織の社員福祉を改善するために何ができるでしょうか?その点を調べるため私たちは、ポジティブ心理学と福祉のコンサルタント会社であるHumanity Works Consultancy社の創立者シャロン・アネジャと話をしました。
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職場福祉とは?
物理的な健康はとても重要ですが、福祉はそれだけのことではありません。職場福祉は、日常の責任、期待、関係、ストレスのレベル、作業環境が社員の総合的な健康や幸福にどう影響するかという問題なのです。
「結局、どういう気持ちで仕事するかということなんです」とシャロンは言います。「自分のことをどう感じているでしょうか、また組織のことはどうでしょうか?これには多くのことが関係します。物理的、精神的、感情的、社会的、心理的な福祉のことを考えなければなりません。霊的な福祉は無視されていますが、それも非常に重要です。」
福祉をさまざまな必要の階層構造とみることができると彼女は提案します。低レベルからスタートするとして、次のようになります。
基本レベル: 心理的福祉 – 給料を得ていること、そして作業環境が清潔であること
レベル4: 物理的安全と心理的安全 – 自分らしく振舞っても良いという安心感
レベル3: 社会的福祉 – 組織への帰属感
レベル2: 尊重 – 大切にされているという感覚
レベル1: 自己活性化 – 仕事や組織の目標と関係していけること
ちょっと圧倒されそうでしょうか?そうかもしれません。しかし、福祉には近道がありません。「人間が必要としていることを職場で満たそうとするなら、職場福祉には総合的なアプローチをする用があります」とシャロンは言います。
「福祉プログラムが最も成功するのは、福祉が組織の中心に据えられている場合です。それは人事部だけの責任ではありません。どの人にも責任があります。職場福祉は社員と組織のためだけではないからです。コミュニティのためです。社会のためです。経済のためです。社員と雇用者との間のやり取りにとどまらない多くのメリットがそこにはあるのです。」

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職場での福祉に関して私たちは今どんな所に位置していますか?
パンデミックで働き方は激変しました。しかし、先行き不透明な中で、雇用者は福祉優先という現在進行中の課題に直面しています。考えておかなければならない差し迫った問題として次の5つが挙げられます。
燃え尽き、心配、意気消沈
パンデミック中に作業負荷増大と人手不足のために、長時間労働を強いられて休憩が少なくなっています。ハーバードの調査によると、パンデミックが始まってからの職場福祉の衰退をもたらした最も大きな要素は、仕事量の需要の増加でした。
休憩を取れないためにストレスレベルが上がり、放っておくと燃え尽きや離職率増加のリスクが生じます。リーダーにとって課題となるのは、遅すぎないうちに燃え尽きに至る状況に対処することです。
自宅作業のさまざまな課題
自宅作業やハイブリッド作業にはプラスの面がたくさんあります。柔軟性、通勤時間の短縮、家族や友達や趣味のための時間の増加などです。組織にとっては、多様な人材の起用への道が開かれると共にオフィスのコスト削減にもなります。しかし、デメリットはメリハリがなくなるという点です。台所のテーブルで仕事をしていると切り替えるのが難しくなります。同僚とのつながりや現場サポートという点では、さらに大きな課題があります。
孤立と孤独感
ロックダウンとリモートワークのために、孤立感が増えてきました。単身生活をしている人は特にそうです。そのような感情は、不安な時に一層募るものです。人は社会的な生き物であり、他の人や職場環境と切り離されると、やる気がなくなって士気が下がり、感情的な福祉の点でも悪影響があります。
経済的不安定性
過去18か月の金融不安のため、多くの人の経済状況が劇的にシフトしてきました。貯金することのできた人も中にはいますが、一方で一時帰休、リストラ、雇用の維持に関する心配に直面している人もいます。
イギリス人事教育協会の調査によると、経済的福祉は組織が注意を向ける対象として最下位となっています。1 しかしお金の心配は、社員のストレスの大きな原因となって、結局は作業効率に悪影響を及ぼすことになる可能性があるのです。
リーダーシップのさまざまな課題
リモートチーム管理から職場での安全対策の追加に至るまで、パンデミックはリーダーに対して膨大な要求をもたらしました。リーダーの仕事は、自分が他の人と同じように圧倒されていて不安を感じていたとしても、チームが落ち着いた雰囲気で平常通り仕事を行えるようにすることです。リーダーとしてのスタイルが手のうちをすべて見せるような正直かつオープンなものであるなら、それはスタッフの福祉において重要な役割を果たします。激動の時に人々がリーダーからの指示やサポートを求めている場合には特にそう言えます。

ハイブリッドな職場環境での福祉とは、どのようなものでしょうか?
職場の福祉を重視することのメリット
社員の健康や福祉の改善を図るなら、動機付け、エンゲージメント、パフォーマンスの点でレベルの高い職場作りをすることになります。それらはもっぱらビジネスにとってメリットになります。社員福祉に投資するメリットには、次のことが含まれます。
優秀な人材を引き寄せて留まらせる
パンデミックのために人々の優先順位が変わり、成功の尺度に変化が生じてきました。「人々はお金、ステータス、権力よりも福祉、持続可能性、目標を求めています」とシャロンは言います。「だれもが大量自主退職時代のことを語り、今の仕事をやめようと考えています。社員はもう運転席に座った状態であり、自分たちを気遣い評価してくれる雇用者を選ぼうとしているのです。」
社員が組織から気遣ってもらいサポートしてもらっていると感じるなら、その方が忠誠心が強くなり長く留まる傾向にあります。英国の平均的な雇用者は新規採用者1人あたり£3,000および27.5日を費やしていることを考えると、優秀な人材を留めておくことは、企業にとってお金と時間の点で大きな節約になります。2
ダイバーシティとインクルージョンの改善
インクルージョン向上に取り組むなら、あらゆる背景やさまざまなマインドセットを持つ有能な人を引き寄せることができます。職場に相互サポートやインクルージョンの精神があれば、健康の問題が悪化しないようにすることに加えて、すでに健康上の問題を抱えるスタッフメンバーが職場に留まり、さらには一層活躍するために必要な助けやリソースを提供することができます。
生産性の向上
健康で幸福で動機付けがしっかりしている社員は、エネルギーやエンゲージメントに満ちた状態で職場に来て、仕事に集中できます。それと対照的なのは、不幸で仕事にうんざりして疲れ果てている社員です。彼らはエネルギーがなく、集中力に欠け、同僚と衝突する可能性が高くなります。それらはいずれもパフォーマンスを下げてしまいます。言い換えると、きびきびと成果を上げる仕方で仕事ができるように社員をサポートしてください。
“福祉戦略を人事部に押し付けないでください。社員と共にそれに取り組んでください。彼らは企業にとっての人材ですが、インサイトともソリューションともなる存在なのです。 ”
チームの結束強化
職場でのコラボレーション、チーム作り、友達関係を促す環境は、社員の帰属意識を高める上で重要です。さらに、チーム内で友情を築いて作業する人は、同僚への責任感を抱いて一層努力する傾向にあります。健全な人間関係は、職場での精神的な福祉と幸福感に大きなプラスの影響をもたらす可能性があります。
士気高揚と仕事の満足感
福祉の必要が満たされている社員は、評価され尊重されていると感じる度合いが強くなり、サポートされていない人に比べて一般的に強い自信を持っています。自分のしている作業に意味があると感じることは社員の福祉にとって重要であり、その感覚があると企業目標達成に向けての取り組み方も向上します。
顧客との関係改善
福祉が順調なら、問題が短時間で解決し、営業上の新しいアイディアが湧き出るようになり、顧客サービスの標準を向上させることへの熱意も高まります。顧客やクライアントに対応するスタッフが心配事を抱えていたり落ち込んでいたりして、自分が売り込もうとしているものに惚れ込んでいないとすれば、商品やサービスの品質に悪影響が及びます。そうなると、コミュニケーション不足のために問題が上層部へ伝えられて大きな問題になる可能性があります。
職場福祉の戦略作りのための4つのヒント
人を一番に考える職場福祉戦略を作るにはどうすればいいでしょうか?専門家によるこれら4つのアドバイスをもとに、取り組みを始めてください。
経営陣の賛同を得る
シャロンによると、リーダーとマネージャは福祉のための予算確保という課題に直面することが少なくありません。それで最初のステップは、ROIを含め、福祉に取り組む多くのメリットを強調した経営陣向けビジネスケースを作成することです。たとえば、Deloitteの推定によれば、メンタルヘルスに£1費やすと平均で£5の収益となって返って来るとされています。3
基本をおろそかにしない
「社員の希望と雇用者の提供するものとは、必ずしも一致しません」とシャロンは言います。雇用者にとってみれば、福祉は問題にどう対応するかという戦略になるかもしれません。心配事や燃え尽きという問題が発生した時点でそれに対処するというわけです。
しかし社員が希望するのは事前対策の戦略です。つまり、ニーズの階層構造の上のレベルに上がる前に、作業負荷と作業条件などの基本を押さえるということです。
目標を強調する
パンデミックの間に仕事への態度が変化してきました。「人々は何か大きなことに貢献しているという感覚を求めています」とシャロンは言います。そのため、組織全体として取り組んでいること(およびその理由)を、社員一人一人とその作業に関係付けることが求められます。
一連の価値観についての情報をイントラネット上に置いても効果はありません。リーダーは、日常の作業の中にそれらの価値観を統合する必要があるのです。どうすればいいのでしょうか?1対1で、チームとして、会社レベルで、みんなの仕事がなぜ重要か、全体像の中のどこに位置するのかについて社員に話すことによってです。
アジャイル手法の採用
社員がどう感じているか、また職場福祉に何を期待しているかについての感触を探るため、企業規模の福祉調査をするのも良い方法です。しかし、福祉の状況を継続的に測定することも必要になります。それにより、物事がどう変化しているのか、また福祉のための取り組みがうまくいっているかどうかを追跡することができます。
さらに重要な点として、必要な場合に変更を加えることができます。「社員にとっての福祉とは何かを理解することがポイントです」とシャロンは言います。「福祉戦略を人事部に押し付けないでください。社員と共にそれに取り組んでください。彼らは企業にとっての人材ですが、インサイトともソリューションともなる存在なのです。」

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