ビジネスコラボレーションとは何か

どれほど成功している企業でも、どこかしらに改善の余地はあります。ビジネスコラボレーションが大きな効果をもたらすのはそのためです。企業間でアイデアを交換し、強みを共有することで、双方がメリットを得られます。この記事では、他社との提携を検討する際に、知っておくべきことについてご紹介します。

チームのコラボレーション | 所要時間: 7分
benefits of collaboration between organizations - Workplace from Meta
組織がコラボレーションを行う理由

組織がコラボレーションを行う理由

ポストコロナで経済が低迷する中、苦境を切り抜け、成長へと回帰するには、ジョイントベンチャーやパートナーシップが重要な役割を果たすのではないかという期待が高まっています。ほかの組織とのコラボレーションには、いくつものメリットがあります。他のビジネスとの協業は、リーチの拡大、新規顧客の獲得、新たな分野への影響力拡大に効果的です。

また、パートナーシップやジョイントベンチャーは学びのチャンスでもあります。効果的な企業コラボレーションにより得られる新鮮な視点やインサイトからは、計り知れない価値が得られる場合があります。コラボレーションには、短い期間とわずかな初期コストで、企業のスキル、売上、市場シェア、イノベーション、リソースといった強みをさらに伸ばし、能力の幅を広げる力があります。

企業コラボレーションのメリット

企業コラボレーションのメリット

コラボレーションからは、次のようなメリットが得られます。

  • 規模の拡大。作業や契約を履行するには、スタッフやリソース、インフラが自社だけでは足りない、という場合があります。他社との協業により、資本投資をすることなく短期間でキャパシティを拡大でき、チャンスが到来した際に大きな挑戦ができます。
  • 新しいアイデアの投入。企業は、時間が経つとともに内向きになり、守りに入ってしまうことがあります。そんな時に外部の視点を採り入れることで、プロセスや問題、ソリューションを新たな角度から見られるようになり、イノベーションや、従業員個人・チームとしての能力開発を促すことができます。
  • スキルの拡充。プロジェクトに必要な専門スキルを有する人材が社内にいないとき、新しいチームやポストを設けるよりも、他社とコラボレーションしたほうがよい場合もあります。その専門スキルが自社の成長戦略に必要なものかが定かではないときは、特にそうです。
  • 価値の付加。関連のあるニッチ市場をターゲットとしているが競合関係にはない企業同士が協業すれば、互いの商品を組み合わせてパッケージ化したり、補完し合う商品やサービスを組み合わせて値引きしたりと、顧客に魅力的な商品を提供できます。書店のBarnes & Nobleとスターバックスが10年間続けているジョイントベンチャーは、その好例です。コーヒーと買ったばかりのベストセラー本で一休み。これを好まない人がいるでしょうか。
  • 競争力の維持。影響力を持つ多くの企業は今、コラボレーションを競争力獲得の手段と考えています。そのため、正式な長期契約を結んだり、単発のプロジェクトでコラボレーションしたりしています。
  • 新分野に進出。例えば、グリーン水素や製造業におけるサーキュラーエコノミーといった新興テクノロジーでは、持てるスキルや強みを新たな状況に順応させなければなりません。新しいビジネスを成長させるには、他社とのコラボレーションや、スキルや経験への共同出資が不可欠です。

コラボレーションによるベンチャーが成功しなかったとしても、そこから得た貴重な教訓を次の機会に活かすことができます。

ビジネスコラボレーションの成功に必要な要素

ビジネスコラボレーションの成功に必要な要素

ビジネスコラボレーションから効果が得られるかどうかは、適切なツールの導入と、以下によって決まります。

  • 明確な目的Bain & Companyは、ジョイントベンチャー成功の主な要因の1つとして、明確な戦略や目標を持つことを挙げています。双方のチームがコラボレーションの目標を理解し、業務を進めるときに常にその目標を意識する必要があります。ビジネスのあらゆるレベルでオープンにビジネスコラボレーションの理念を共有すると、成功の可能性が高くなります。
  • 明快なプロセス。これについては、コラボレーションの候補企業と最初に取り決めておく必要があります。例えば、ビジネスコミュニケーションの流れ、プロジェクトのチェックポイント、グループでの定期的なコミュニケーションの有無、オンラインまたは対面のミーティングの実施タイミングなどです。
  • ルールの確立。コラボレーションの範囲については、全体的な責任や期待されること、日々の業務のやり方まで明確にしておきましょう。例えば、コラボレーションに関わる従業員は、相手企業に共有していい情報と共有してはいけない情報について理解しておく必要があります。
  • 強力なコラボレーションツール。2社がプロジェクトや業務で連携する際、コミュニケーションはとても重要になります。複数企業で構成される会社間グループで仕事を進めるのは難しいものです。共通の目標に向かって協業する際は、適切なコラボレーションツールの導入が不可欠です。
ビジネスコラボレーションのリスク

ビジネスコラボレーションのリスク

上手くいけばメリットを生み出せるほとんどの手法と同様に、コラボレーションにも、一定のリスク要素があります。収益機会に共同出資するということは、経済的損失の可能性も共有するということであり、場合によっては単独で行うよりも大きな影響を被るかもしれません。

場合によっては、長期間にわたって自社ブランドと他社ブランドが関連付けられることもあるため、相手の価値観とビジネス慣行が自社と合っていることを確認しておく必要があります。

そのため、コラボレーションパートナーを見つけるための選定プロセスは急ぐべきでなく、両者ともにデューデリジェンスは徹底すべきです。協業することを決定したら、正式な契約やビジネスコラボレーションに関する協定を必ず結びましょう。

リモートワーク時代のコラボレーション

リモートワーク時代のコラボレーション

地理や言語というものは、今やコラボレーションの障壁にはなりません。パンデミック中に起きたリモートワークへの大規模な移行により、他社とのコラボレーションはこれまでよりも容易になりました。何千キロも離れたところに拠点を持つ企業ともコラボレーションが可能です。実際に、遠方の市場に新規参入することが、他社とコラボレーションする理由の1つになることもあるでしょう。

今日の働き手は、オンライン接続やリモートのコラボレーションツールを使用して同僚と協力することに慣れ親しんでいます。チーム内でのコラボレーションと、オンラインチャネルを使用した新しいビジネスパートナーとの協業に大きな差はありません。

しかし、遠方の相手と効果的なコミュニケーションを取るには、適切なツールを導入しておく必要があります。オンラインコラボレーションプラットフォームを利用すると、例えば、言語の壁の克服や、グローバルな会社間グループへの参加が容易になります。

コラボレーション相手の選定

コラボレーション相手の選定

適切なコラボレーション相手が初めから明らかな場合もあるかもしれませんが、そうでない場合は、コラボレーションの候補を見つけるために、ある程度の戦略的思考が必要になります。コラボレーションパートナーを選定する際に考慮すべき条件を以下に挙げます。

  1. 相互の信頼。コラボレーションする組織とそれぞれの主要メンバー間に尊敬と理解が必要です。コラボレーションに不均衡や緊張関係があると、負の感情が生まれたり、貢献が不公平になったりしやすくなります。これは双方にとって成功の妨げとなります。
  2. 価値観の共有。価値体系が共有され、それが双方のブランドに合っていることは、コラボレーションにおいて大きな利点となります。ベンチャーの双方の価値観や行動様式が似ていれば、コラボレーションは円滑に進むでしょう。
  3. 文化の類似性。双方の社風や働き方が大きく異なる場合、エンゲージメントを高めるのが難しくなるかもしれません。例えば、パートナー候補の組織が厳格な階層構造なのに自社はそうではない場合、コラボレーションの効果が低下する可能性があります。実際に、カルチャーの不一致や信頼の欠如は、ジョイントベンチャーが失敗する主な要因の1つです。
  4. スキルの補完。コラボレーションの大きなメリットの1つは、パートナーのスキルやリソースを活用してバリュープロポジションを強化できることです。貴社とパートナー候補の組織は、お互いの手薄な分野に強みや専門性を持っているかもしれません。分野横断的なコラボレーションには、専門がほとんど重複しない相手とタッグを組めるというメリットもあります。ただし、カルチャーや価値観が一致している必要はあります。
ビジネスコラボレーションモデルの選択

ビジネスコラボレーションモデルの選択

適切なコラボレーション相手が見つかったら、次は、共同ベンチャーの計画を練り上げ、協業の形態を取り決める必要があります。

ビジネスコラボレーションには多種多様なモデルがあります。1つの問題や製品を巡るコラボレーションから、共同組織を新設するための正式なパートナーシップまでさまざまです。地域によってもコラボレーション形態の種類はさまざまで、その法的定義も異なることがあります。

Hype Innovationは、主なコラボレーションのタイプを4つ挙げています。

  1. アライアンス。例えば新規市場への参入といった共通の目標を達成するために、2~3社が合意のもと、スキル、知識、製品、サービス、リソースに対し、期間を限定して一時的に共同出資します。
  2. ポートフォリオ。アライアンスよりも長期的な、中央管理型のコラボレーションです。この形態では、独立した数社の企業が、グループの統括組織による管理のもとで行われる知識の共有に合意します。
  3. イノベーションネットワーク知識の共有に重点が置かれます。相互に関係のある企業グループが技術革新や研究開発の取り組みを共有してアイデアのテストと精緻化を行い、製品、サービス、プロセスの新規開発や改善を効率化します。
  4. エコシステム。最も進んだコラボレーションタイプと見なされています。さまざまな組織のほか、最終顧客までも加わり、アイデアと契約の共有によって統制される長期的な関係を形成します。メンバー間には高い相互依存性があり、ほとんどの場合、競合するのではなく、共通の目標を目指して協働します。起業家であり執筆活動もしているTony Robbins氏は、コラボレーションの形態を、便宜上、人ベースとリソースベースに分類しています。
  5. 人員ベースのジョイントベンチャー。共有される要素は、各企業の人材と、そのアイデアおよび知識です。
  6. 設備ベースのジョイントベンチャー。企業同士が専門設備や専門テクノロジーを共有します。例えば、一方の企業が相手企業に製造設備を提供し、その代わりに利益の分配を得る、といったことです。

どのアプローチを採用する場合でも、効果的なコラボレーションの基盤になるのは共有する能力です。共有するのは、知識、リソース、スキル、経験などですが、最終的には、成功と失敗も共有することになります。

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