デジタルノマドを管理するための5つのアドバイス

シドニーのカフェで働く人や、南仏のキャンピングカーで働く人など、ノマドなライフスタイルもすっかり普通になりました。デジタルノマドとはどのような人たちなのでしょうか。ビジネスにどのようにプラスに働くのでしょうか。

リモートワーク | 所要時間: 6分
Managing Digital Nomads
デジタルノマドとは

デジタルノマドとは

デジタルノマドとは、オンラインで生活費を稼ぎながら旅して回るリモートワーカーのことです。言い換えれば、特定の職場やホームオフィスに縛られない自由人です。

短期間だけ「ワーケーション」する人やもっと長期に滞在する人など、今、場所を変えて働くことを選ぶリモートワーカーが増えています。デジタルノマドになるのは家族や友人の近くにいるためという人が多いですが、新しい文化を経験したい人、人生の夢を叶えたい人もいます。

統計値からは、雇用主として注意しなければならないトレンドが見て取れます。自分をデジタルノマドだと考える米国人は2019年(パンデミック前)から2022年(パンデミック後)にかけてなんと131%も激増した、とMBO Partnersは伝えています。

また別の調査では、デジタルノマドの数は全世界で3,500万人と推計され、この数は2035年までに10億人に達するとされています。

デジタルノマドが働く場所は、ホテルの部屋、カフェ、図書館、コワーキングスペース、親戚の家などさまざまです。つまり、インターネット接続がある場所ならどこでもあり得るわけです。

Workplaceで業務を簡素化

オフィス勤務再開の周知からハイブリッドワークの導入まで、Workplaceは業務を簡素化します。

デジタルノマドのキャリア

お察しのとおり、デジタルノマドの多くはフリーランスです。しかし、リモートワークが認められている会社に属しながらノマドをする人も増えています。2022年には、デジタルノマドに占めるフルタイム社員の割合が3分の2に達しています(2019年の44%から増加)。デジタルノマドが働く業界は一般的に、IT、デザイン、マーケティング、メディア、会計、コンサルティング、オンライン家庭教師などです。

パンデミック以降、多くの雇用主が柔軟なリモートの勤務形態に対してより寛容になり、社員が国外での勤務を希望することも、かつてないほど一般的になりました。

このトレンドに乗るべく、すでに、タイ、コスタリカ、ポルトガルなど50以上の国が、リモートワーカーが面倒な行政手続き(納税を含む)をせずに済むデジタルノマドビザ制度を開始しています。これにより、デジタルノマドが観光ビザよりも長く滞在し、地域経済がその恩恵を受けるということが可能になりました。

デジタルノマドを雇うメリット

デジタルノマドを雇うメリット

デジタルノマドをチームに迎え入れると、ビジネスに次のような多くのメリットをもたらすことができます。

より広い人材プールへのアクセス

国内人材でスキルギャップを埋めることに苦労している場合は、採用の網を広げましょう。居住地に縛られることがなくなるので、全世界から人材を引き込むことが可能になります。また、デジタルノマドはスキルが高く、技術に明るい自発的な人間である傾向があります。視野を広げれば、必要なスキルと経験を、割高な給与を設定せずとも見つけやすくなります。

コスト効率

デジタルノマドを雇うと、旅費などの間接費を減らせるという明確なメリットがあります。オンサイトで働く人が減れば、必要なオフィススペースも減ります。その結果、賃料、水道光熱費、ブロードバンド費、事務用品費、旅費を削減できます。

デジタルノマドがフリーランスの場合は、疾病手当や社員向けの福利厚生の節約にもなります。まだオフィスを借りる余裕のないスタートアップにとっては、特にコスト効果の高い方法かもしれません。

文化的な多様性

さまざまな国籍やバックグラウンドを持つ人を雇うのは、職場での多様性を高めるのにうってつけです。刺激的な発想が生まれやすい人材を揃えれば、それまで思いつかなかったような新しいアイデアや新鮮な視点、画期的な解決方法が生まれやすくなります。

柔軟性

デジタルノマドは、そもそもの性格上、柔軟性を好みます。時差を活かして夜の間に業務ができるので、ビジネスには大きなメリットです。国際企業にとってこれ以上のことはありません。例えばウェブサイトが夜の間にダウンしたとしても、インハウスのITチームに修正してもらうために翌朝まで待つ必要がないので、国外の顧客からの重要な売上を取りこぼさずに済みます。

デジタルノマドを雇う際の課題

デジタルノマドを雇う際の課題

デジタルノマドを雇うことに興味が出てきた場合でも、潜在的な課題を忘れてはいけません。例えば次のようなものが考えられます。

肝心なときに対応してもらえない可能性

デジタルノマドを雇う際の大きな課題の1つに、手を借りたいときに必ずしも対応してもらえるわけではない点が挙げられます。特にフリーランスの場合は、連絡がつかないこともあるかもしれません。加えて、インターネット接続は常に安定しているわけではないので、ノマドなリモートワーカーが接続を常時維持して時間どおりにタスクを終わらせることが難しくなるケースも考えられます。

コミュニケーション

デジタルノマドの居住地との間に時差がある場合、リアルタイムでのコミュニケーションが必要なプロジェクトでの協業が頭痛の種になることがあります。夜中にオンラインミーティングへの出席やメールへの返信を期待しても、まずうまく行かないでしょう。

法律や税の問題

社員にとっては夢のような移住であっても、人事やコンプライアンスの担当者にとっては法的なリスクだらけです。国が変われば、順守しなければならない規則や規制も変わります。移民、労働許可、雇用権、納税義務、知的財産権などの規則を完全に把握していないと、おそらく違反を犯してしまうでしょう。規則に従わなければ、罰金や法的措置に直面する可能性もあります。

管理

世界中に分散したチームを雇うに当たっては、さまざまな法律上の問題や複雑な管理業務が発生し、大量のペーパーワークをこなすことになります。関連書類に記入する作業に膨大な時間を取られるかもしれませんし、すべてを正しく処理できていることを確認するために専門的な助言を求めることになる可能性もあるでしょう。

セキュリティリスク

デジタルノマドは公共Wi-Fiをよく使いますが、データを暗号化するVPN (仮想プライベートネットワーク)を使用しないとサイバーセキュリティ上の大きな脅威になり得ます。ハッカーが個人情報やパスワードを盗めてしまうので、そうなった場合、会社の機密情報が危険にさらされることになりかねません。特に社員がデバイスを適切に保護していない場合には、デバイスの盗難も問題になります。

社員にデジタルノマド的な働き方を認めるべきか

社員にデジタルノマド的な働き方を認めるべきか

たとえ組織としてリモートワークを完全に受け入れていたとしても、社員に対する縛りを完全になくしていいものか分からないということもあるかもしれません。しかし、自分の好きな土地で働ける自由を求める人が増えるなかで、よく考えずにその選択肢を捨てるのは優秀な人材を失う危険があります。

プラスの側面に目を向けると、デジタルノマドはそうでない被雇用者よりも仕事の満足度が13%高いという結果が出ています。これは、人材を長く引き留めたい企業にとって朗報です。そのほか、リモートワーカーの20%は、世界中のどこでも働くことができてそれが給料や福利厚生に影響しないなら現在の会社に10年長く留まる可能性が高いという調査結果もあります。

デジタルノマドの生き方は、人々の幸福感にも非常に良い効果があります。現在の社員の中にも、仕事がマンネリ化してしまって、力を取り戻すために環境を変える必要がある人がいるかもしれません。社員が幸福で、健康で、モチベーションがあるなら、最終的にはその恩恵が収益に返ってくることになります。

しかし、ビジネスにとって効果のある施策にするには、地域の雇用法や税規制も考慮に入れたデジタルノマド就業規定が必要になります。

国外で長期にわたって働くことを許可する場合は、給料、年次有給休暇の権利、産休、健康、安全などに関する国外の規制が適用される可能性があります。また、デジタルノマドが滞在している国での勤務場所が、意図せず雇用主の新しい「恒久的施設」に認定されてしまうかもしれません。そうなった場合、利益に課税される可能性があります。

したがって、デジタルノマドの取り決めに合意する前に会社としての法的な義務を慎重に検討することが非常に重要になります。

デジタルノマドを管理するうえでの重要なポイント

デジタルノマドを管理するうえでの重要なポイント

デジタルノマドを雇うことがビジネスのプラスになりそうだと思ったら、デジタルノマドの管理を成功させるためのポイントを以下で確認しましょう。

1.正式なデジタルノマド就業規定を策定する

包括的なデジタルノマド就業規定を策定すれば、社員の移動をコントロール下に置いておくことができます。リモートワーカーの中には、雇用主に知らせずに母国に帰国したり国外のセカンドホームに移ったりする人がいることが知られています。

正式な制度を作っておけば、ノマドに求める法律上および業務上の要件をすべて網羅し、柔軟性を謳歌してもらいながら、職業人として安全に、かつ法令を順守した形で働かせることができます。雇用主とリモートノマドの双方にとって都合のよいものになるように、必ず就業規定の更新と見直しを定期的に行うようにしましょう。

2.ノマドに雇用法の最新情報を逐次知らせる

どこで働くにしても、ノマドは現地の雇用法を把握しておかなければなりません。対応を誤った場合は、社員と雇用主の双方に重大な結果(罰金や処罰など)を招く可能性があります。規制の変更や改正を常に把握するようにして、それをノマドに知らせましょう。

1つの場所で勤務できる時間を制限し、利用禁止の場所を列挙しておくことで、リモートノマドが現地の法律や税、コンプライアンス問題への対応を誤るリスクを減らすことができます。

3.期待することを明確にする

デジタルノマドにとっては柔軟性が鍵になりますが、一定の範囲を定め、ノマドに期待することを説明しておくことが重要です。例えば、ビーチのハンモックなどではなく、仕事に適した集中しやすい環境(コワーキングスペースやホテルの部屋など)で働くことを求めるなどします。ミーティングやリアルタイムのコラボレーションをするためのコアタイムを定めるのもおすすめです。

勤務形態、タスク、期日を明確に定め、主なコミュニケーション手段も決めておきましょう。これは次のポイントにつながります。

4.効果的にコミュニケーションを取る

分散したチームの運営を成功させるには、明確なコミュニケーションが欠かせません。デジタルノマドと定期的に連絡を取り、「最近の調子はどうか」「効果的に仕事をするために必要なものはすべて揃っているか」などと確認することが重要です。

定期的にコミュニケーションを取ることで、デジタルノマドは「会社に関われている」「会社に支えられている」「会社の目標達成に向けてもっと頑張ろう」と思うことができます。インスタントメッセージ、ミーティング、タスク管理ができるオンラインプラットフォームを使いましょう。

5.チームの一員であるとノマドが感じられるようにする

孤立感や孤独感は、どのような形態のリモートワークでも生じる可能性のある問題です。デジタルノマドが「自分もほかのすべての社員と同じくチームの一員なんだ」と感じられるようにしましょう。

例えば、交流イベントに社員が広く参加できるようにします。誰でも、どこで働いていても参加できるオンラインのチームアクティビティや祝賀会を企画しましょう。こうしたイベントには、ノマドがよりつながりを感じられるようになるだけでなく、チームのコラボレーションとコミュニケーションを高める効果もあります。

現在では、世界中の豊富な人材から発掘することができる機会がかつてないほど広がっています。放浪できる自由がほしい人を受け入れれば、多様なグローバル市場で大きく成長するのに必要なスキルをチームに加えることができます。

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