時間管理スキル
働き方と働く場所は、絶えず変化しています。このため、リモートワーカーとフロントラインワーカーのエンゲージメントと生産性を維持するための取り組みが不可欠になります。ここでは、時間管理に役立つスキルをご紹介します。
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仕事中の時間管理は難しいものです。人や組織が時間管理をうまくできないことがあるのは、それが理由かもしれません1。しかし、世界的なパンデミックによって実現した、どこにいても働ける世界においては、時間管理スキルを磨くことが生産性のもっとも重要な要素となります。
それが世界共通のルールです。ハイブリッド勤務でオフィスへの出勤を少しずつ従来のペースに近づけつつある人や、リモートワークや在宅勤務をしている従業員にも、このことは当てはまります。特に、小売店や工場、倉庫といったフロントラインワーカーに当てはまります。
人もチームも、働く場所や時間にかかわらず、1日の勤務時間を効果的に整理する方法を見つける必要があります。
時間管理スキルを持つことにどのような意味があるか、一緒に見ていきましょう。
Workplaceで業務を簡素化
オフィス勤務再開の周知からハイブリッドワークの導入まで、Workplaceは業務を簡素化します。
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時間管理スキルとは
時間管理スキルとは、その文字どおりの意味です。あなたが同僚と会う約束をしたことがあれば、時間を管理したことがあるということです。ある仕事を終える必要がないと決めたことがあれば、それも時間を管理したことになります。
では、なぜそれが重要なのでしょうか。
時間管理スキルの重要性
すべての物事が思い通りに進む日は、ストレスもたまりにくく、生産性が高いと言えるでしょう2。人は、仕事を慎重に計画して実行すれば、より仕事に自信を持つことができるものです。納期に間に合うようにプロジェクトを納品すると、信用を築くことができ、同僚からも尊敬されます。
時間管理スキルを使うと、ワークライフバランスも改善し、社員にとっても組織にとっても非常に有益です。ワークライフバランスがうまく取れている従業員は、そうでない人よりも、その会社で働き続けたいと思う割合が10%高くなっています。
時間管理とフロントライン社員
Workplaceの2020年版Deskless Not Voiceless(デスクがなくても、声は届く)調査レポートの新しい研究では、組織にとって欠かせないフロントラインマネージャを組織がどれほど軽視しているか、それが従業員の生産性とエンゲージメントにどう影響しているかについて報告されています。
憂慮すべき傾向の一つは、コミュニケーション不足によってフロントラインマネージャが失っている勤務時間が最大で年に9.3週間に上るということです。またMcKinseyの調査で指摘されているとおり、フロントラインマネージャは勤務時間の最大60%を事務作業に取られており、管理職にあてている時間はわずか10%です。
こうなるとマネージャとスタッフの間に分断が生じ、フロントラインスタッフの生産性と時間管理能力に深刻な影響が出る可能性があります。たとえば、チームを動かしたり、問題を解決したり、顧客をサポートしたりするための時間が取れなくなるなどです。
詳しくはこちら。2020年版Deskless not Voiceless(デスクがなくても、声は届く): フロントライン調査レポートをダウンロードして、世界8か国9,000人以上の人を対象とした詳細なフロントライン調査レポートの全体像をご覧ください。
時間管理とハイブリッド勤務
新型コロナウイルスの感染拡大に伴って一般的となったハイブリッド勤務により、長時間の通勤が少なくなったことで人は時間を自由に使え、家庭生活と仕事のより良いバランスを実現できるようになりました。英国のある研究では、会社員の61%が、在宅勤務によってワークライフバランスが改善したと報告しています。
しかし、リモート勤務やハイブリッド勤務には注意すべき落とし穴もあります。自宅で仕事をしていると、家庭と仕事の境界線があいまいになり、ストレスや燃え尽きにつながることがあります。
「調査によれば、リモート勤務によって従業員の生活は大幅に複雑になり、1人あたりの責任も大きくなっているようだ」と、マドリードのESCP Business Schoolの経営学准教授であるPetros Chamakiotis博士は述べています。
従業員がより自由に自分の時間を作れるようにすることが、この課題に対応するためには不可欠です。時間に関するフレキシビリティは、リモート勤務をする上で従業員が最も重視することの一つです。そのため、チームにはできるだけ自由な裁量を与え、いろいろなツールを組み合わせて使用することで、スタッフが所定の時間を超過して働いていないか、効果的に時間を使っているかを定期的にチェックしましょう。
時間管理スキルを上げるには
自分自身やチームの時間管理スキルを上げる前に、どこに問題があるのかを認識する必要があります。
時間管理に関する問題はいろいろあります。最も分かりやすい例が納期遅れです。締め切りに頻繁に遅れてプロジェクトを納品する人がいたり、締め切りの延長を依頼する人がいたりする場合は、行動を起こすべき時だと考えてよいでしょう。
仕事の質の低下も、時間管理に問題があることの兆候です。チームのメンバーが頻繁に会議に遅刻してきたり、慌てていたりする場合、メンバーが時間に追われている可能性もあります。
1分1秒が惜しいと思うときには、チームの雰囲気も影響を受けます。同僚が会話中にいらいらしていたり慌てていたりする場合、チームが必死で作業を終わらせようとしているのかもしれません。いつもよりストレスを感じたり、同僚の元気のなさや、不安そうに任務を調整する様子に気づいたりする場合も、先述の例とは異なるものの、問題が隠れていそうな状況です。
時間管理に関する問題提起
時間管理の問題はそれぞれ異なるため、問題に対処するためには職場での良好なコミュニケーションが鍵となります。チームのメンバーが時間管理の問題に直面している場合は、次のことに該当しないかどうかを確認してみましょう。
- 実際はスケジュールに間に合わない量の作業を抱えている
- 仕事の進め方に問題がある
- その両方
抱えている作業量が多すぎる場合は、仕事の一部を割り当て直すか、他のチームメンバーに任せてもいいと伝えることが大事になります。仕事の進め方によって問題が起きている場合は、メンバーの時間管理スキルを改善する必要があるため、それを指導する計画を立てるといいでしょう。
時間管理の6つのヒント
1.優先順位とスケジュールを決める
すべてのタスクの重要度が均等とは限りません。しかし、日々のスケジュールを決める際、大多数の人は大きなプロジェクトと並行して、どうしても片づけないといけない小さな用事もリストアップするでしょう。そのときまず行うべきなのは、ToDoリストの優先順位を決めることです。2段階方式でいくとうまくいくはずです。最も重要な作業を決めたら、それを中心としてスケジュールを組み立てます。生産性プランナーに期限を書き込みましょう。
2.「できません」と言えるようになる
健全なワークライフバランスを維持するには、境界線を決める必要があります。特に会社に入ったばかりの時期などは、同僚全員に「できます」と言いたくなってしまいますが、それは現実的ではありません。作業に優先順位をつけて妥当な時間を割り当てておけば、時間のないときには自信を持って他の人にそう伝えることができるはずです。多くの場合、あなたはひとりではありません。オフィスやビデオ通話で同僚に助けを求めれば、負担を軽くできる可能性があります。
3.早めに始める
早い時間に仕事を始めて締め切りに追われないようにすれば、慎重に時間を計画できるため、他の作業にしわ寄せがいきません。静かな時間を使ってその日の準備をしたり、担当の作業に早めに取り掛かったりしましょう。予期せぬ厄介ごとはいつでも起こりえるものですが、早い時間に始めておくことで、締め切りに間に合うように問題を処理するチャンスが生まれます。
4.現実的になる
人は、締め切りに間に合わせようとして余計なストレスを感じることがあります。時間のやりくりがうまい人は、問題はいつ起こるか分からない、物事には思ったより時間がかかる場合があるということを知っています。作業に集中するためには、定期的に休憩を取り、任務から頭を切り換える必要があります。休憩時間にオフィスやビデオチャットで同僚と話して問題を打ち明け、頭をすっきりさせてから仕事に戻りましょう。
5.時間の無駄になる活動を切り捨てる
最初から時間を食うと分かっている作業は避けるようにしましょう。例えば、まとまりのない会議などは時間の無駄になる厄介事の最たるものです。オンラインスケジューリングサービスのDoodleの研究では、米国の企業では年間3,390億ドル以上がそのような会議に費やされていることが分かっています。会議では、そこで議論しクリアするべき議題のリストを準備し、とりとめのない話を続けないようにしましょう。
6.戦略を立てたうえでテストする
誰にとっても有効な、完璧な時間管理の方法などは存在しません。ある人でうまくいった方法が他の人ではそうでもない場合もあります。幸い、いろいろな理論が存在しますので、自分自身やチームに合わせて微調整することができます。ある理論を週の予定を決める方法として使い、別の理論を個々の作業に割く時間を決めるために使ってもいいでしょう。手法によっては、個人に対してはうまくいっても、チームをまとめる際にはうまくいかないものがあります。さまざまなアイデアをテストしてみて、一番うまくいくものを見つけてください。
最高の時間管理テクニックとは
時間をより有効に使うための時間管理のテクニックをいくつかご紹介します。
ポモドーロテクニック
ポモドーロテクニックは、驚くほどシンプルな方法です。作業を決めたら、25分のタイマーをかけて仕事を始めます。タイマーが鳴ったら、進んだところまでの印をつけて、3~5分間休憩します。作業の間にその印が4つできるまで、このステップを繰り返します。そこまで進んだら、15~30分間その仕事から離れてもいいでしょう。
タイマーが鳴る前に作業が終わったら、残った時間で自分の仕事の見直しをして、修正があれば行います。もっと長い時間の方がうまく仕事ができる人もいるでしょう。そういう場合は、タイマーを自分に適した時間に設定して、少しだけ長い休憩を取るようにします。
プレッシャーにうまく対応できる人は、作業中に切迫感のある短納期の仕事に向いています。作業の合間の時間を、イタリア語でトマトを意味するポモドーロといいます。この手法は、1980年代に当時学生だったフランチェスコ・シリロが、トマトの形のキッチンタイマーを使って編みだしたものです。
ALPENメソッド
ALPENメソッドは、作業に取り組む際ではなく、1日の仕事の計画を立てるのに役立ちます。提唱者によれば、「この手法によって、日々の実際的な計画と一貫した優先順位の設定に集中できる。必要な時間は毎日わずか5分程度である」とされています。
ALPENという頭字語に基づき、このメソッドでは計画を次の5つの活動に分割します。
A – Activities and tasks(活動と作業)
事の大小を問わず、やるべきことをすべて書き出します。
L – Length of time(時間)
それぞれの作業にかかる時間を見積もります。
P – Planning for buffering(時間的余裕を計画する)
ある程度の時間的余裕を追加します。複雑な問題が起きた場合の対処用に20%、休憩や同僚とのソーシャルインタラクション用に20%設定してみましょう。
E – Establishing priorities(優先順位の確立)
自分の時間の40%が決まりましたので、作業の優先順位を決めます。他の日に回せたり、他の誰かに任せられるものはないでしょうか。
N – Note-taking(メモを取る)
仕事がどのように進んだかを振り返ります。どこか改善できるところはありますか。または、作業がうまくいった理由は分かりますか。その日のメモを取りながら、翌日のためのALPEN計画を立て始めます。
ALPENメソッドの制限時間以内に仕事をすることで、仕事に取り組むモチベーションを上げることができます。時間的余裕を追加することで、管理が楽でストレスの少ない作業負荷も実現できます。プラス面の一方で、この手法には制限もあります。この手法は、チームに当てはめるよりも自己管理に適しています。リモートワーカーは同僚と近況を話し合うことが意外に少ないため、40%の時間的余裕では少し長すぎることがあります。
ピクルス瓶理論
ピクルスの瓶は時間の比喩と考えてください。ここでは岩を大きくて重要な作業、小石をそれほど重要でない作業、砂を気晴らしやレジャーにたとえます。また仕事以外の時間として水も忘れてはいけません。瓶の中に、できるだけ多くの岩と小石と砂を詰めようと思ったらどうすればいいか、考えてみましょう。
最初に水と小石と砂を瓶に入れてしまうと、岩を詰めるときにおそらく苦労するでしょう。先に大きなものを瓶に入れて、それから小石と砂と水を入れれば、より多くのものを瓶に詰めることができます。全部がうまくいくよう、瓶を振ってみる、つまりスケジュールを入れ替える必要があるかもしれません。しかし最も重要なポイントは、作業の優先順位を決めることで、その日のうちにより多くの最重要任務を行えるということです。
この理論は作業の分割が難しい人に最適で、また他のメソッドと異なり、チームにも適用することができます。大きな瓶が必要になるかもしれませんが、それでもこのたとえは有効です。グループの任務を岩と小石に分け、毎日2個の「岩」を詰めることで「岩10個の週」を恒常的に達成するよう、スタッフに依頼することができます。
時間管理ツール
ネット上には時間のやりくりに役立つ時間管理のツールがいろいろあります。そのようなツールには、同僚に作業を割り振れる、実に便利な機能があります。これらのツールを見ると、シンプルなToDoリストや手書きの予定表を使っていたころに比べて、時間管理はかなり進化したことがよく分かります。
シンプルな時間管理ツールでは、作業リストを書いて、メディアや他のソースへのリンクを追加してから、同僚と作業リストを共有する流れになっています。一方、世に出回るソフトウェアの多くは、複数のユーザーが計画を編集したり、リアルタイムで共同作業を行ったりできるようになっています。
これらのサービスは透明性を念頭に置いて作られているため、1つの仕事にかかる時間を入力するフィールドや、対象の業務の中での全員の締め切りを入力するスペースが提供されています。さらに高性能なソリューションでは、作業のタイムラインを構築したり、依存関係を設定したりすることもできます。言い換えれば、プロジェクトの中で、チームのメンバーがここまで完了すれば他の人がプロジェクトを続行できるというチェックポイントです。
ハイブリッド勤務を行っているチームでは、相手に期待することを伝えることが特に有益です。そうすれば、チームのメンバーがメールを書いたりリモートの同僚との通話を手配したりする時間を減らすことができます。これらのツールは、マネージャにとってもメリットがあります。そういうシステムを常時フル活用していれば、チームの作業負荷の波をチェックすることができます。ソフトウェアプロバイダーの多くは、スタッフに自律的な行動を許しつつ、スケジュールの空きを簡単に見つけられるようなツールを作っています。
締め切りや作業にかかる時間に関する情報により、いつ作業にかかればよいかをスタッフが判断できます。責任が増すことでチームのメンバーが仕事を自分事として捉え、目の前の仕事に取り組めるようになります。
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