職場における自動化
職場での自動化によって、コミュニケーションやコラボレーションの方法が変わりつつあります。これに応じて、職場での文化はどのように変わる必要があるのでしょうか。
未来に適した職場を構築するということは、テクノロジーと同様に職場文化も変えていくということです。企業は人間と機械が共存できる環境を構築する必要があります。
自動化によって仕事がさらに簡素化され時間とコストの節約につながる中、柔軟性を持ち、協働しやすい文化を創り出すことで、その変化に対応することができます。
Workplaceで業務を簡素化
オフィス勤務再開の周知からハイブリッドワークの導入まで、Workplaceは業務を簡素化します。
自動化がもたらすプラスの影響
職場における自動化にはさまざまなメリットがあります。例えば、次のようなものです。
退屈な反復作業が減って、社員がクリエイティビティを発揮する機会が増える
自動化が困難な仕事が増え、その重要性が増す
生産性が向上する(Salesforceによれば、自動化を利用している人の74%以上が自動化ツールによって作業スピードが上がっていると回答)
これまでとは違った要件に応えるために新しいタイプの仕事が生まれる
自動化がもたらすマイナスの影響
職場から人間性が奪われるように感じられ、ストレスや離職率の上昇を招く
社員が仕事を奪われる恐怖を感じ、幸福度が下がって生産性が低下する
スキルアップできない社員が取り残される
では、自動化が社員や組織にとってプラスに働くようにするために、会社は何ができるのでしょうか。
自動化の効果を高める6つの方法
自動化は、仕事のスピードアップ、精度向上、大幅な省力化を実現できます。しかし、その影響がプラスに働くようにするには組織として対策が必要です。アドバイスをいくつかご紹介します。
1.社員の意識を変える
多くの人は変化に抵抗を覚えます。これはごく自然なことです。また、自分の仕事がロボットに奪われることを心配している人も多くいるようですが、そのシナリオはどれほど現実的なのでしょうか。PwCによる英国政府向けの報告書では、2025年までに自動化される可能性の高い仕事は英国全体の7%程度と見積もられています。その一方で、ほぼすべての職業が部分的に自動化される可能性があるとMcKinseyは指摘しています。
自動化の影響を受けるのは末端の労働者だけではありません。McKinseyは「CEOの業務時間の20%以上を占めている仕事は、現在のテクノロジーで自動化できる可能性がある」と見積もっています。よって、自動化を導入するにはトップから支持を得て、トップから変わる必要があります。
「機械を敵視せずに、自動化は人間と機械が協働するチャンスだと捉えよう」と、自動化の正しいイメージを提示する方法を考えましょう。自動化に対して前向きなマインドセットを醸成することが重要です。特に、社員の世代が幅広く、それぞれが期待することや働き方が異なる場合はなおさらです。
自動化によって、給与計算や新入社員の研修などの日常業務が改善されるのであれば、自動化の導入は理にかなっています。自動化できない仕事、すなわち、人間の判断力、専門性、感情知能が求められる仕事により多くの時間を割けるようになります。
究極的には、自動化によって仕事がもっと楽しくなります。日常の単調な仕事から社員を解放し、従業員体験と顧客体験の両方を全体的に向上させることができます。
2.よりクリエイティブな思考へ
機械は、単純作業は得意ですが、アイデアを出したり新しいことをしたりするのは苦手です。例えば、標準的な融資審査は自動化して、融資担当者は難しいケースをもっと精査できるようにする、潜在顧客の獲得やアドバイスに使える時間を増やす、といったことは可能です。
したがって、自動化すれば、社員はもっと創造的な仕事や新しいことに集中できるようになります。人工知能をより有意義に活用するための新しい方法を考えるのはもちろんのこと、型にとらわれない思考やエキサイティングなプロジェクトでの共同作業に時間を割くことが可能になります。
感情知能が求められる仕事、例えば社員のマネジメントや専門知識の応用、対人的なやり取りなども、自動化では人間と同等の質を担保できません。自動化が潜在リードの拡大に役立つことはあるかもしれませんが、潜在的な顧客を見抜いたり、成約を取るために反対意見に未然に対処したりするには、優秀な営業担当者の存在が依然として必要になるでしょう。
未来の職場では、チームでの協働とチャンスの発掘がより重要になることが予想されます。これは、まさに人間が得意とすることです。
3.「リキッドワークフォース(労働力の流動化)」を受け入れる
ますます多くの仕事が自動化されていくにつれ、企業はアジャイルで柔軟性のある労働力を必要とするようになります。そのため、契約社員やフリーランサーの雇用が増えることが考えられます。リキッドワークフォース(流動的な労働力)とは、環境に迅速に適応し、存在価値を保ち続けることができる人材のことです。
知識格差は臨時社員が埋めてくれますし、その人の知恵と経験はその同僚にも伝播します。流動的な労働者から、外部の視点や他社で効果的だった解決策がもたらされることもあります。
アジャイルな組織は、状況の変化にすばやく適応して成長し、硬直した組織に差を付けることができます。
4.多様性を推進する
社員が多様性に富んでいれば、問題に対して多様な考え方や人生経験が持ち込まれ、その結果、これまでにないアイデアや解決策が生まれます。考え方に幅があると、新しい商品、新しい市場、新しいやり方についてアイデアが生まれやすくなります。自動化によってクリエイティビティを発揮できる環境が整っている場合はなおさらです。
多様性は、AIや自動化のプロジェクトでも欠かせません。AIシステムの訓練に使うモデルが多様性に乏しかったために結果に偏りが生じてしまったというのは、よく耳にする話です。
5.チームスピリットを築く
自動化が進んだ現代では、全員が同じオフィスで働く必要はなくなりました。しかし、社員に帰属意識を持たせることが重要であることに変わりはありません。
自動化の強化など、変化の最中にある組織ではチームスピリットも欠かせません。成功のためには全員が同じ方向を向き、変化に抗うのではなく新たな業務のやり方のメリットを理解できていることが不可欠です。
Workplaceのようなコラボレーションプラットフォームは、ビデオチャットやインスタントメッセージなどのオンラインツールを使って、専門とする分野や所在地にかかわらず、複数の人がより効果的にコミュニケーションできるよう支援します。
これにより、シンプルな2つのステップで、チームスピリットと効果的なコラボレーションを実現できます。まずは、適切なツールの提供を通して、人々を支援します。次に、日常的な業務を自動化することで、自分が得意な仕事に、より多くの時間を割けるようにします。
6.自己改革を続ける
これからの時代、10年、20年と同じ職場に留まり、同じような仕事を続けられると考えることはできません。とりわけミレニアル世代やZ世代は職を転々とすることで知られ、ミレニアル世代の在籍年数は平均2.8年に留まっています。このような速いペースで変化する世界では、企業もチームも常に刷新を続け、絶えず自己改革をしていかなければなりません。
トレーニングやメンタリング、OJTを通じてスキルアップの機会を提供している企業は、職場としての魅力がますます上がって優秀な人材を引きつけられるようになり、競争上の優位性を維持できるでしょう。
専門性を広げなければならないのは経営幹部も同じです。どのようなビジネスにも、自動化の機会は幅広く存在するものと考えられます。これからは、長期的なポテンシャルと価値が最も高い機会を見極められるかどうかが本物のスキルになるでしょう。投資を必要とする分野が数多く存在する中での選択は必ずしも明快ではなく、簡単でもありません。適切な判断を下すには、何が問題で自動化するとどんな価値があるのかを理解することが鍵になります。
そのためには、絶えず学び続ける文化を育て、組織の上から下まで全員の役割を進化させることが必要です。