自宅で使用するデジタルツールと職場で使用するデジタルツールの間の分断が解消されつつあります。これは喜ばしいことです。

この投稿では、なぜビジネス向けの新しいデジタルツールが高度化の進む消費者市場のツールからヒントを得ようとしているのか、未来の働き方にそれがどう影響するのかを考えます。

エンタープライズツールは相変わらず非効率

エンタープライズツールは相変わらず非効率

私たちがプライベートでコミュニケーションする手段は変わってきましたが、仕事で使うツールは過去に足止めされたままです。友達とはWhatsAppやInstagram、Facebookで毎日会話し、情報を共有することで生活が成り立っているのに、勤め先の会社はというと、いまだにLotus Notesやファックスを使っているところもあります。それどころか、まだ書類を処理済みトレーに入れたりしているのです。

“プライベートでコミュニケーションする手段は変わってきましたが、仕事で使うツールは過去に足止めされたままです”

“プライベートでコミュニケーションする手段は変わってきましたが、仕事で使うツールは過去に足止めされたままです”

要するに、プライベートのデジタルエクスペリエンスと職場のデジタルエクスペリエンスが、相変わらず分断されているのです。これは当たり前に使われているツールすべてに言えることで、メールなどは19世紀の技術を用いた通信方法です。

とはいえ、見通しが真っ暗というわけではありません。新たなツールで効率がアップすることを社員や会社が理解するにつれ、今後へ向けての期待にも変化がみられるようになってきました。嬉しいことに、こうしたスマートなコミュニケーション手段によって、オフィスに限らず倉庫や現場でも仕事のしかたが変わる可能性があります。

モバイルへの移行

モバイルへの移行

何がこの変化を促進しているのでしょうか。第一に、モバイルへの大々的な移行があります。統計にもはっきり表れているとおり、イギリスではモバイルデバイスの利用がオンライン時間の61%を占めています(アメリカでは71%にのぼり、トップのインドネシアでは91%となっています)。現に、あなたも今、この投稿をスマートフォンで読んでいるのではないでしょうか。

この動きによって、私たちが互いにやり取りする方法が根本的に変わりました。そしてそれは、未来の働き方ではもうデスクや作業所に縛り付けられなくなることを意味します。スマートフォンさえあればいいのです。組織はこの新たな枠組みを反映したモバイルファーストのツールを提供する必要に迫られ、それができなければ深刻な結果を招くことになります。

対応を急ぐ企業各社

対応を急ぐ企業各社

S&P 500に上場しているFortune 500企業のうち40%が、2025年までに姿を消すと言われています[1]。大企業といえども緊急警報が鳴り出しそうな数字ですが、その事態はもうすぐそこまで来ています。企業の運命を分けるのは、新しいテクノロジーに対応できるかどうかです。

瞬時にコミュニケーションできることが重要な世界で – 今やメッセージアプリの利用者数はSNSを上まわっています – 企業各社は大急ぎで対応を進めています。今後はどこまでもプライベートなコミュニケーション方法と仕事におけるコミュニケーション方法の一本化が進むことでしょう。親しみやすいソーシャルなコミュニケーションが当たり前になる、それが未来の職場なのです。

1つのGIFには1,000通のメールの価値がある

1つのGIFには1,000通のメールの価値がある

新しい労働力の到来です。2020年までに労働人口の50%以上をミレニアル世代が占めることになります。FacebookやWhatsApp、InstagramやMessengerで育った新しい世代です。この世代にとってのデフォルトはモバイルであり、パソコンではありません。この新しいコミュニケーション方法で、動画、絵文字、リアクション、GIFを使って直感的に反応するのがこの世代です。

未来の働き方を計画する際は、必ずこの若い世代のニーズと期待を考慮に入れる必要があります。そうした要求は、この世代が慣れ親しんできたツールの産物なのです。

“社員が効率よく働けるように新たなコミュニケーションツールを取り入れるのが賢明な組織です”

“社員が効率よく働けるように新たなコミュニケーションツールを取り入れるのが賢明な組織です”

Facebookの顧客企業と話をすると、意識の変化が見られます。絵文字やGIFを使ったメッセージはあまり知性が感じられないとか、プロフェッショナルらしくないという見方を組織がしていた日々は、急速に過去のものとなりつつあります。そうならざるをえないのです。聞くところによると、MBAコースの学生たちはメールの書き方の指導を受けているそうです。メールを書くのが難しいからではありません。形式ばらずさっぱりした散文体というメールの性質が、学生にとってあまりにも馴染みのないものだからです。

組織は順応するか、消え去るかです。社員が効率よく働けるように新たなコミュニケーションツールを取り入れるのが賢明な組織です。

新たなプラットフォームで社員と双方向の会話が可能に

新たなプラットフォームで社員と双方向の会話が可能に

企業には社員の声に耳を傾ける体制が整っていません。長年培ってきた予算や上下関係を気にかけることばかりに時間を費やし、それでよしとしています。「このやり方でずっとやってきた」というのが未来にも通じる正真正銘の戦略だと考えているのです。すぐ目の前に競争力を大きく高める源泉があるのに、それをしっかり見ようとしていません。自社の社員のアイデアとイノベーションという可能性を活かしていないのです。

“未来の働き方に成功する企業はまず耳を傾け、命令は…決してしません”

“未来の働き方に成功する企業はまず耳を傾け、命令は…決してしません”

未来の働き方に成功する企業はまず耳を傾け、命令は…決してしません。そして、職場で社員の声を伝えるのは、何十億もの人々がプライベートで同じことをするのに使っているツールです。オープンな双方向のコミュニケーションをビジネスの中心に据えようとしない組織は、ふと気付くと極めて不利な状況に陥っているかもしれません。そして、社内の価値ある人材が自分の意見を大切にしてくれる場所を求めて流出している事態にも気付くことになるかもしれません。

コントロールはただの幻想

コントロールはただの幻想

本当にオープンな状況にしてしまうとコントロールを失うと考える企業もあります。社員に意見を言う権利を与えるのは心配という声も聞こえてきます。ですが、社員が不満を抱えているとしたらどうでしょう?不平不満のメッセージや投稿やライブを拡散したとしたら?

大変な反発が起きるのは必至です。社員全員が何を考えているか、知ろうとしてみればいいのではないでしょうか?組織内の声に耳を傾け、何がうまくいって何がうまくいかないかを見極めてみてはいかがでしょう。経営幹部が社員の声をまとめて封じ込めてしまうよりも、理解したほうが断然いいのです。

Facebookでは、オープンな社内文化を築くことに力を注いできました。社内のWorkplaceグループやフィードをいつ開いてみても、大勢の社員が提案やプロジェクト、ビジネスの方向性などについて反対意見を出したり議論を交わしたりしています。マーク・ザッカーバーグはWorkplaceでQ&Aライブセッションを主催し、社内の誰からでも質問を受け付けてそれに答えています。Facebookはオープンな社内文化を根付かせてきました。それが会社を強くすることこそあれ、弱くすることはありません。

シャドウITの発生はセキュリティ上のリスク

シャドウITの発生はセキュリティ上のリスク

実際のところ、企業は思っているほど社内をコントロールできているわけではありません。ただ、社員が消費者向けのツールを仕事で使用してまうシャドウITの問題にだけは目を光らせておく必要があります。社員は仕事をするのにWhatsAppやFacebookのグループを使ったりしていますが、それはそもそも組織が適切なツールを提供していないからです。

“消費者分野からヒントを得たツール、しかも企業内のコラボレーションとコミュニケーションに特化して作られたツールを使用したほうがいいということになります“

“消費者分野からヒントを得たツール、しかも企業内のコラボレーションとコミュニケーションに特化して作られたツールを使用したほうがいいということになります“

試したことはありますか?自社組織をソーシャルメディアで検索してみてください。シャドウITでどんなアクティビティが行われているでしょうか?あなたの目に入らずコントロールも及ばない場所で、会社について好ましい会話が交わされていましたか?

こうしたことが行われているのは大変な問題です。シャドウITとは、社外秘の情報や会社のIPを扱うのに必要なセキュリティが組み込まれていない消費者向けツールを使用することです。その会話をしている社員たちは、会社を辞めたとしてもこの非公認グループには残り続けます。その会話に参加し続けます。あなたの会社に関する会話、あなたのコントロールがまったく及ばない会話が続くのです。

だからこそ、消費者分野からヒントを得たツール、しかも企業内のコラボレーションとコミュニケーションに特化して作られたツールを使用したほうがいいということになります。

すぐに得られる2つのメリット

1. イノベーション: オープンにコミュニケーションできれば、社員は自分らしさを発揮しやすくなります。プライベートな自分と職場での自分のギャップが小さくなり、自由に意見を表現できるようになります。その人らしさは、その社員を採用したそもそもの理由だったはずです。

2. 生産性: 情報を探したりメールを送ったりすることに社員は時間を取られすぎています。McKinseyによると、週に6.5時間も費やしています。社員が使い慣れたツールを提供し、効率的に仕事ができるようにしましょう。

消費者向けツールとビジネス向けツールの距離が縮まるなか、企業各社はどのプラットフォームが自社に適しているかを模索し続けています。どれを選ぶにせよ、いずれプラスのROIとなって結果が表れるのは、こうした要素への投資です。こうした要素をよく理解し、しっかり対応することで、より輝かしい未来への道筋を描くことができるでしょう。

[1] John Olin School of Business, Washington University
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