ハイブリッドワークは本当に生産性を上げ、ワークライフバランスを改善することができるのでしょうか?ハイブリッドワークモデルのメリットと課題を見ていきましょう。

パンデミックに見舞われた2020年、企業は一夜にして、オフィス勤務の社員をリモートワークに移行させ、事業を継続する方法を模索する必要に迫られました。

しかしオフィス勤務からの切り替えは、危機的な状況下での暫定措置どころか、企業でのワークフォース管理のあり方においての革命となりました。

最初の興奮とショックが冷めると、ビジネスリーダーや管理職はリモートワークへの移行がもたらす問題点だけでなく、得られる利益についても評価しはじめました。そこには多くのメリットがありました。

2021年のPWCの調査によると、雇用主の83%がリモートワークは成功したと報告しています。また、従業員の観点から行われたPolyの調査によると、欧州とUAEのハイブリッドワーカーの64%がオフィス文化はこの先永遠に続く変化を遂げたと考えており、82%が少なくとも週に1日は自宅で仕事をするつもりで、54%は自宅とオフィスを半々にする予定であると回答しています。1

このような成功は、単にオンサイトかリモートかという分け方だけではなく、さまざまな要因によってもたらされています。必要性、デジタル化、安価な技術、より高速で広く利用可能なインターネットといった要因の組み合わせにより、ハイブリッドワークとワークフォースの分散は今後も継続するものと思われます。

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ハイブリッドワークモデルとは

ハイブリッドワークモデルとは

これは未来の働き方において、何を意味するのでしょうか?まず、ハイブリッドモデルには複数のモデルがあります。これらのモデルの共通点は、基本的に従業員中心であることです。

  • グループまたはチームのローテーション - 指定されたグループの社員が、決まったスケジュールで1日または1週間を単位として交互にオフィスで勤務します。このモデルの場合、企業はチームもワークストリームも同時に維持できます。

  • 取り決めによるワークモデル「at will」(自由意志)によるハイブリッドワークで、社員はどの日にリモートで働き、どの日にオフィスで働くかについて交渉します。チームではこれを公式または非公式な方法で管理します。デジタルカレンダーやコラボレーションツールを使用し、社員が常にタスクや進捗状況を把握できるようにします。これは最も画期的かつ社員中心のモデルで、社員の安全、生産性、福利を最大化するのに非常に有効ですが、管理するのが難しい場合もあります。

  • オフィスファーストまたはリモートファースト - 企業はどちらのモデルを優先させるかを決定します。オフィスファーストアプローチを採用する場合、企業・組織は従来の働き方から大きく離れる必要はありません。リモートファーストのアプローチでは、従業員は主にオフサイトで働くため、オフィスコストを削減することができます。

  • ハイブリッドスケジューリング - オンサイトとリモートワークを週単位で分割または交互にスケジューリングします。

どのような仕事をリモートで行い、どのような仕事をオンサイトで行うのがベストなのでしょう?非同期型の仕事、つまり他の人と同じ空間や時間帯にいる必要がなく一人で行う仕事は、リモートで行うのが最適かもしれません。しかし、同期型の仕事(他の人とリアルタイムでコラボレーションする仕事)は、従業員どうしで同じ空間にいるときに行うのがベストかもしれません。

企業・組織はどちらの状況でも両方のタイプの仕事に対応できることが理想的なので、例えば、オフィス内には静かな場所を確保し、オンラインミーティングを効果的に行うための適切なコラボレーションツールを導入することが望まれます。

ハイブリッドワークのメリットとデメリットとは

ハイブリッドワークのメリットとデメリットとは

ハイブリッドワークのメリット

ハイブリッドワークには多くの利点があります。これには次のようなものが含まれます。

1. 仕事の満足度

WorkplaceがBCWと共同で実施したInternational Insights Studyによると、パンデミックの発生以降、62%の従業員が生産性が向上し、同僚とのつながりが深まったと回答し、60%がワークライフバランスが向上したと回答しています。そしてHibobの調査によると、特に子供を持つ親は、ハイブリッドワークによるバランス向上の恩恵を受けています。2

2. 生産性の向上

ハイブリッドワークでは、他のチームメンバーによる仕事の中断、周囲の騒音、同僚との立ち話などの気が散る要因もなく、作業に専念しやすい環境を実現できます。在宅勤務では、特に企業から適切な機器が提供されている場合、必要な平穏と、気楽でいられる家庭内で集中するための環境を実現できます。

また、勤務時間を自由に設定できるため、従来の9時〜5時にこだわることなく、最も生産性の高い時間帯に仕事のスケジュールを組むことができます。そして、これまで通勤に費やしていた時間も短縮できます。

3. オフィスコストの削減

かなりの割合の従業員が常にリモートで仕事をする場合、企業はオフィススペースを縮小することができます。また、家具、事業税、保険、サービス料などの関連コストを削減することも可能です。このため、シェアオフィスや多目的ワークスペースの利用も増えています。

4. 人材へのアクセス

ハイブリッドワークの選択肢は多数あるため、企業は求職者の対象として、以前よりも幅広い層を含めることができるようになりました。ハイブリッドワークが新しい標準になるにつれ、そのような柔軟性のある企業ほど、優秀な人材を引きつけることや、そうした人材の離職を防ぐ上で優位に立つことになるでしょう。ハイブリッドワークの柔軟性により、子育てと仕事の両立や、障がいを持つ人が同僚と一緒に働くことが実現しやすくなります。さらに、企業は雇用の際に場所による制約を受けることが少なくなります。

5. 安全や心身の健康

オフィスや公共交通機関の利用者が減ることで、社会的距離の確保はかなり簡単に実行できます。混雑する都市部ではリモートワークによって、環境汚染、交通事故、そして遅延がもたらす時間の無駄とストレスの蓄積を減らす機会が提供されます。

しかし、安全衛生上の配慮はリモートワークにも適用されます。企業とその経営者は、オフサイトで働くメンバーを、安全な機器や適切な労働慣行に関する知識などの面において確実にサポートする必要があります。

ハイブリッドワークのデメリット

1. 公平性の維持が難しい

成功するチームは、共通の目標に向かって団結しており、メンバーは自分が重要な役割を担っているという信念を共有しています。公平と公正は、実践だけでなく、認識においても維持される必要がありますが、社員が複数の場所に散在している場合、これを達成するのは困難です。

また、「持てる者」と「持たざる者」の間に分断を生む危険性もあります。ハイブリッドワークがすべての人にとってのオプションでない場合、人々は在宅勤務で仲間から学ぶことを逃してしまうのではないか、あるいは差別や異なる扱いを受けるのではないかという不安を抱くかもしれません。

2. チーム間のコミュニケーション不足

リモートワークの場合、社員は会社やチーム全体と関わるよりも自分のタスクに集中するようになり、ビジネスの他のエリアや機能へのアクセスも制限される可能性があります。このことは、社員のキャリア形成に影響を与えるだけでなく、部門やチームの境界を越えた斬新なアイデアや貴重なブレーンストーミングの機会を逃すリスクもあります。

3. 仕事とプライベートの境界があいまいになる

在宅勤務やその他の遠隔地勤務は、生産性の向上やワークライフバランスを計画する上での自由度を高めることにつながります。それと同時に、仕事と家庭の境界があいまいになり、社員が常に「仕事中」であると感じ、リラックスしたり気持ちを切り替えることができず、プレッシャーにつながる危険性もあります。

また、完全なリモートワークとリモートファーストのどちらであっても、チームから孤立し、距離を感じ、サポートを失い、職場の文化から排除されていると感じてしまうかもしれません。

4. コスト

オフィススペースを縮小するのが費用の節約になることは明らかですが、ハイブリッドワークを推進すると、社員の生産性と幸福度は向上し、勤続年数も伸びる一方、パンデミックからの移行を進めるにつれ、コスト増につながるかもしれません。

これまでオフィスの賃借と設備に使っていた予算は、より多目的なミーティングスペースやコラボレーションスペース、アクセスしやすい高速Wi-Fi、現在リモートで働く社員のためのストレージスペース、遠隔地でのセキュリティ強化などに充てる必要があります。

ハイブリッドワーカーは暖房や照明の費用を自己負担することが多いのですが、企業は彼らが仕事をするために適切なテクノロジーを提供し、人間工学に基づいた家具やオフィス機器も提供する必要があります。

ハイブリッドワークのメリットを最大化する方法

ハイブリッドワークのメリットを最大化する方法

融通の利くハイブリッドワークは、未来の職場の一形態です。経営者は次のようにさまざまな方法でデメリットを回避し、ビジネスと従業員の経験を最大化することができます。

  • チームのメンバー全員が、各自の時間と生産性を管理する際にサポートされ、信頼されていることを確認する

  • 仕事、生産性、パフォーマンス、ビジネスやチームへの貢献に関して何を期待されているかを明確にする

  • 技術的、デジタル的に可能な限りのサポートを提供する

  • リモートワークの従業員を仕事以外のチームや会社の活動に参加させ、人間関係の構築やチームワークを促進させる

  • チームの他のメンバーがどこにいて、どんな仕事をしているのかがわかるように、仕事とチームのスケジュールを立てる

  • メンタリング、サポート、キャッチアップ、チェックインの機会を多く設け、維持する

  • ビジネスと従業員を守るために、効果的なデータセキュリティに投資する

  • オフィス就業中のメンバーのスペースの使い方の変化に合わせて、ワークスペースの再設計を検討する

その他の記事


関連情報

Infinite Officeへの道のり

1 "POLY: THE EVOLUTION OF THE WORKPLACE", Poly, 2021
2 "Return to work study: FLEXIBILITY DRIVES EMPLOYEE HAPPINESS", HiBob, 2021
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