効果的なミーティング戦略のためのアドバイス
ビジネスミーティング戦略が必要な理由
米国では、毎日およそ1100万回のビジネスミーティングが開かれています。月にすると2億2000万回、年にすると10億回を超えることになります。しかし、それぞれのミーティングに共通するものとは何でしょうか。2人以上の人が話し合うという点を除けば、共通点はそれほど多くありません。
Workplaceを使って業務を簡素化
オフィス勤務再開の周知からハイブリッドワークの導入まで、Workplaceは業務を簡素化します。
仕事のミーティングには、チームでの確認作業や個人面談によるキャッチアップから、アイデア出しや問題解決のセッションまで、いろいろな種類があります。次の4つのカテゴリーにミーティングを分類すると分かりやすいでしょう。
- 意思決定
- 情報共有
- アイデア出し
- チームの構築
ミーティングを定義づけることで、その目的を理解し、効果を上げるためにより適した戦略を立てることができます。
このガイドでは、実際に顔を合わせるミーティング、リモートミーティングおよびハイブリッドチームのミーティングを効果的に行う方法を解説します。
ビジネスミーティング戦略が必要な理由
ミーティングの計画に失敗するビジネスでは、生産性の問題がいくつか生じます。オンラインのスケジュール調整サービスDoodleは、ミーティングの計画が下手な米国企業では年間90億ドル以上のコストがかかっていることを発見しました。しかし、これは氷山の一角に過ぎません。
効率的に時間を使うには
ホテルチェーンのCrowne Plazaの調査によれば、英国、フランス、ドイツの会社員は年に187時間をミーティングに費やしています。かなりの時間です。しかしそれよりも悪いことは、その時間の56 %は日々の仕事に何も影響しないとスタッフが考えているということです。これらの調査対象国の平均的な勤め人は、年に13日近くを非生産的なミーティングで無駄にしているということになります。その日数があれば他のことができたかもしれません。
ミーティングの遅延も時間の無駄です。19か国で調査したセッション1回あたりの平均遅延時間は10分40秒です。年に3日と2時間が失われているのです。経験を積んだ社員になるとこの数字は漸増し、上級役員ではミーティングの遅延で年間5日と19時間が失われています。
オフィスでのミーティングの生産性を増すには
戦略がないと、ミーティングは無目的なものになりがちです。ある研究では、社会人の38 %が、まとまりのないミーティングではプロジェクトのフォーカスが失われると答えています。ミーティングの前後に、チームのメンバーが自分の責務を把握する必要があります。ミーティングの議事録をきっちり書くことで、全員が会議中もその後の作業時にも自分の責務に集中できます。
ミーティングの実施にあたっては、ゲストリストも慎重に考えることが重要です。あまり多くの人をミーティングに招くと、人が多すぎて生産性に悪影響を及ぼす場合があります。Doodleの調査では、勤め人の31 %が、無関係な参加者がいると会議の進みが遅くなると考えていることが分かっています。人数を削ることで、作業にかかる時間を短縮し、進捗を早めることができるかもしれません。
誤解を防ぐには
ミーティングを正しくまとめないと、参加者が混乱する場合があります。「なぜ自分はこのミーティングに招かれたのか?」や「何か準備する必要はあるか?」といった質問が上がる可能性があります。それに答えられないと、そういう未回答の質問がミーティングに持ち込まれ、貴重な時間が無駄になります。ミーティングの後に誤解が生じると、さらに無駄が生じます。チームが話した後の自分の役割をゲストが分かっていないと、作業に漏れが生じる可能性があります。
衝突を軽減するには
まとまりのないミーティングでは集中力がそがれやすくなるため、苛立たしい行動が起こりがちです。ある報告では、ミーティング中に電話を取る、テキストメッセージを送るなどの行動が最もいらいらさせるということが分かっています。アンケート回答者の半分以上(55 %)が、電話を使われると不愉快になると答えています。また、会社員の1/5以上(21 %)が、議論に参加していない人も同様の影響を与えると答えています。
士気を高く保つには
やたらと人をミーティングに招くと、その人たちの心に不満が残ることがあります。リーダーがチームにタスクを設定しておきながらそれを完了するための十分な時間を与えないと、社員がマネージャーに対する信頼を失う可能性があります。明確な行動計画も立てず、明確な責務も割り当てなければ、スタッフは自分のアイデアがないがしろにされている、あるいは会社が自分のスキルを無視して適性の低いチームメンバーにタスクを与えていると考えるかもしれません。
ハイブリッドワーカーやフロントラインワーカーのチームに最適なミーティング戦略とは
今は転換期です。多くの人がリモートで働いている一方、少しずつオフィスへ戻っている人もいます。ハイブリッドワーカーのチームでバーチャルミーティングを行うためのベストプラクティスは何でしょうか。店舗や倉庫、生産ラインにいるフロントラインのスタッフに参加してもらうにはどうすればよいでしょうか。
チームをミーティングに集める最適な方法を見つけるのはマネージャーの仕事です。現場とリモートとフロントラインのスタッフが話し合うにはビデオ通話が最適な方法ですが、それをフル活用するには独創的な考え方が要求されます。ここでは、リモートのチームやハイブリッドのチームで効果的なミーティングを行うための、バーチャルミーティングのコツをいくつか解説します。
楽しむ時間を作る
ハイブリッドのチームで働く人たちが交流するのは大変です。職場で友人に出くわすことがほとんどなくなっているため、スタッフは懸命に他の人と情報交換する新しい方法を見つけようとしています。英国のある調査では、在宅勤務を始めたオフィスワーカーの49 %が職場で築いた友人関係を恋しく思っていることが分かっています。連帯感を高く保つためには、バーチャルでも交流できるようにする必要があります。情報交換のための時間枠をカレンダーに設定することで、友情をよみがえらせ、連帯感を高めることができます。
ビデオ通話は会議室で行う
オフィス勤務とリモート勤務の同僚がミーティングする場合、同じ部屋にできるだけ多くのチームメンバーを(ソーシャルディスタンスの制約を考慮して)集めた方がいいでしょう。ノースカロライナ大学のSteven Rogelberg教授は次のように述べています。「テクノロジーによってリモートで会うことはますます簡単になっている。それは良いことなのだが、実際に対面で会うことで生まれる力には敵わない。」
ソーシャルディスタンスを取ったチームがリモートの同僚との通話に加わることは可能ですが、テクノロジーの特性をあらかじめ見込んでおく必要があります。ドイツのある研究では、ビデオへの反応が1.2秒遅れるだけで、愛想がない、または集中していないと他の人に感じさせることが分かっています。オフィスに勤務するチームは、会議室で話されたことを繰り返したり要約したりするように努める必要があります。特に、ソーシャルディスタンスによって何人かが普段よりもマイクから離れている場合にはそれが必須です。
まずリモートの人に質問させる
ミーティングの場で質問を受け付けることは、情報共有の中でも重要なパートです。ミーティングの議長がオフィスにいてもリモートから参加していても、バーチャルからのゲストにまず質問やコメントを求めるのが、バーチャルミーティングの良いエチケットです。通常、同じ部屋にいる人たちがまず話して会話を始める方が簡単ですが、離れた場所のチームメンバーに貢献を促すことで、誰のコメントも聞き逃さないようにすることができます。
きちんと評価する
リモートワーカーは、より多くの仕事をこなしがちです。Owl Labsによるある研究では、リモートワーカーの53 %がチームをサポートするために週40時間以上勤務している一方で、現場の社員で同じ時間働いている人は45 %に留まっていることがわかっています。マネージャーはリモートワーカーの頑張りを褒め、自分が評価されていると感じさせるように努める必要があります。
この統計は、オフィスから離れた場所で働く人々は、仕事への満足感から、より多くの時間を費やしていることを示しています。リモートワーカーの約40 %は仕事が楽しいことを理由に長時間働いている一方、オフィスで働く社員で同じように感じている人は17 %しかいません。優れたマネージャーは、勤務形態にかかわらずチームの努力を認めつつ、リモートワーカーの努力は特にしっかり見ているものです。
効果的なミーティングを計画・実施する方法
良いミーティングを計画するには、細かいところまで気を配る必要があります。それは人数の削減から時間関係の適切な設定まで広範囲に及びます。以下によく使われるコツをご紹介します。
中止を検討する
ミーティングを実施する方法の詳細を詰める前に、そもそもそのミーティングを開催する必要があるかどうかを自問する必要があります。他の方法で仕事をすることはできないでしょうか。同僚は忙しいスケジュールの中に多くの仕事が詰まっていますので、書類を共有したりグループメッセージで同じ結果を出せるのであれば、その方法を使いましょう。社会人の中には「反ミーティング」の力を信じている人もいます。短時間立ったまま話すことでつまらない会話にならないようにしたり、ミーティングの代わりになるソフトウェアを使って同僚の時間を取らなくてもタスクの進捗を追ったりすることが可能です。
最初にミーティングのトピックを明確にする
トピックをしっかり準備しなければ、効果的なミーティングは実施できません。それが生産的なミーティングの鍵であると社会人の多くが考えていると、研究で示されています。プロジェクトグループ内で話し合うポイントの一覧を事前に提示して、ゲストが提案を出せるようにする必要があります。非常に効率的な人なら、自分は必要ないと思えばミーティングに出ない選択をすることもできるでしょう。目的の優先順位と定義をしっかり決めてから、それぞれのポイントにどのくらいの時間をかけるかを見積もりましょう。各トピックを誰にリードさせるかを決めて、タスクに割り当てる時間を決めましょう。
人数は少なめにする
ミーティングに参加する人全員が、何かしらの価値を提示する必要があります。エキスパートの中には「2/3ルール」という信条を持つ人がいます。議論の参加者それぞれが全トピックのうち2~3項目に参加すれば、手持ちぶさたにならずに済むという考えです。オフィスワーカーの2/3以上(71 %)が、不要なミーティングや中止されたミーティングのために毎週の勤務時間を無駄にしています。Atlassianは、無駄に忙しいスケジュールはスタッフにとって損失となることを発見しました。社会人の45 %が、出席するミーティングの数に圧倒されると感じていると答えています。次のミーティングにゲストを招く前に、もっと少ない人数で同じ結果を出せるかどうか自問してみましょう。
最適な時間を見つける
ハイブリッドのチームでのミーティングは、早めに準備する必要があります。リモートのチームメンバーが出席できるような時間を前もって設定しなければなりません。スタッフがそれぞれ異なるタイムゾーンからアクセスする可能性を忘れないようにしましょう。多くの人は、正時の15分後にミーティングが始まるのが最も効率的だと考えています。それによってチームのメンバーが別のミーティングから余裕を持って参加でき、普通とは違う時刻に開始することで、出席者に対してセッションの時間を1分も無駄にしないように知らせることができます。
また、ミーティングの長さについても考えましょう。2000年から2014年までの間に、ミーティングの平均の長さは毎年8~10 %延びています。手早く物事を進めることで同僚が使える時間が空き、会議室にいるすべての人に活気を保たせることができます。
全員に出席者を認識させる
リモートワーカーが視界や意識から消えないようにすることが重要です。ミーティングに参加する人を全員が事前に知れるような計画を立てましょう。長々と自己紹介させるのではなく、議論に参加すべき人が全員その場にいることを確認します。場合によっては、会議の過程でオフィス内の誰かが言ったことを繰り返したり要約したりする必要があります。特に、ソーシャルディスタンス対策によってチームのメンバーがマイクや他のメンバーから離れている場合には必須です。
ミュートをオフにする
チームのメンバーがマイクをミュートしていると、アイデアの共有をためらってしまう可能性があります。リモート会議に欠かせないメンバーが揃ったら、積極的に議論に参加してもらうべきです。チーム全員が同じ考えを共有できるよう、オンライン会議の基本ルールとして、「ミュートをオフにする」ルールを設けてみてもいいでしょう。マイクをオンのままにしておくことで、ミーティングに参加する全員により活発に参加してもらうこともできます。ある研究によれば、社会人の91 %がセッション中に居眠りしたことがあり、73 %が別の作業をしたことがあります。
行動計画を立てる
ミーティングの各トピックにタスクや目的を割り当てることで、ミーティングの効果がさらに上がります。そのタスクや目的をあらかじめ文書にしておけば、議長が自分に何を期待しているのかを参加者全員が知ることができます。毎回のミーティングのうち10分ほどを割いて、リモートワーカーとオフィスのスタッフにタスクを割り当てます。ミーティング中にマネージャーがオンライン管理ツールを使い、全員が見られるように作業を割り当ててもよいでしょう。
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