フロントラインワーカーに報奨とモチベーションを与える方法

フロントラインワーカーは、組織の成功に不可欠です。では、デスクレスの社員をフラストレーションや燃え尽き症候群から救いつつ、報奨とモチベーションを与えるにはどうしたらよいのでしょうか?その答えを探りましょう。

フロントラインワーカー | 所要時間: 7分
Rewarding and motivating frontline workers - Workplace from Meta

フロントラインワーカーが「エッセンシャルワーカー」と呼ばれるには確固たる理由があります。しかしながら、こうした重要な立場にある社員が過労、低賃金、過小評価にさらされることは少なくありません。昨年、フロントラインワーカーの57%が賃金の高い仕事を求めて退職を計画しており、45%1は、主に福利面のサポート、エンゲージメント、評謝欠如に関する不満を理由にフロントラインを完全に辞めることを検討していました。

企業の88%がフロントラインワーカー2に依存していることを踏まえれば、経営幹部が人材を確保し、業績を向上させるために、これらの重要な社員のモチベーションを高め、サポートすることを優先させる必要があることは明らかです。

Guild Educationの共同設立者兼CEOのRachel Carlson氏はフォーブスに対し、「過去何年にもわたり、企業はフロントラインの労働力に投資することで、より高い定着率、採用率、アップスケール率、そしてさらなるブランド力の向上が得られることを証明してきました」と語りました。

パンデミックは、フロントラインのスタッフに自分たちの存在価値をより強く認識させ、言うまでもなく、需要が高いからこそこれからの選ぶ力を備えていることに気づかせました。そのような社員が働く場所を選べるようになり、ビジネスの成功が社員の福利、成長、発展にかかっているのであれば、フロントラインワーカーに報奨とモチベーションを与えることがTo-Dリストの一番上にくるのは当然です。

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フロントラインワーカーをもっと優遇すべき理由

フロントラインワーカーをもっと優遇すべき理由

フロントラインワーカーは、米国では全労働力の52%、英国では33%を占めています。パンデミックは、看護師からバス運転手、工場の現場作業者に至るまで、日常生活を機能させ続けることはもとより、社会と経済を支えるフロントラインのスタッフの重要性にスポットライトを当てました。

マーケティング戦略と販売戦略については取締役会で議論されるかもしれませんが、組織の顔はフロントラインワーカーであり、事実上、会社の使命や価値観を代表するのもフロントラインワーカーです。また、顧客がブランドと関わるときに最初に対話する人物もフロントラインワーカーなのです。そして、その第一印象とその後のタッチポイントが事業の評判を左右し、また売上につながります。

懸命に働く熱心なスタッフは、より生産性を高め、より良い顧客体験を生み出し、事業の収益性を高めてくれます。しかし、それ以上に、フロントラインのスタッフは顧客の行動と需要を直接的に把握できる立場にあります。来る日も来る日も顧客に接している人物以上に、自社の顧客をよく知る人がいるでしょうか?フロントラインの社員からのフィードバックは、製品/サービスの知識と顧客の意図/行動との独特なバランスを保ちます。

アウトドアアパレルブランドのCarharttは、このアウトサイドインアプローチに根ざしています。同社は1889年にHamilton Carhartt氏が顧客との率直な議論を基に、鉄道員のためのオーバーオールを扱い始めたことに端を発しました。そして、優秀なギアが真面目に働く人たちにいかに役立てられているのかを確認するために常に現場を訪れることを続け、今でも顧客に寄り添う企業となっています。2020年にフォーブスの取材に応じたクリエイティブ部門のバイスプレジデントを務めるBrian Bennett氏は、「今年、私が本当に感謝しているのは、当社のエッセンシャルワーカーに誰もが敬意を表してくれたことです。私たちも常に敬意を表してきました。当社は、真面目に働く人たちにサービスを提供し守っていくために存在する企業です。それを1889年に開始し、今日もなおそれを続けています。」

フロントラインワーカーのモチベーションとエンゲージメントが重視される理由

フロントラインワーカーのモチベーションとエンゲージメントが重視される理由

過去3年間で、権限を与えられ、評価されていると感じる社員の割合は41%上昇しました。しかし、働く人の2人に1人を超える割合では、より賃金の高い職務への転職か、別のキャリアを求めてフロントラインを離れるかのどちらかで退職を計画していることが判明しています。

大量離職は米国の大企業で約1100万人の失業を引き起こし、欧州では建設業界と小売業界がパンデミック後の求人率の上昇のトップに並んでいます。Workplace by Metaの調査によると、ビジネスリーダーの68%が、フロントラインワーカーの離職率が高いと指摘、あるいは高いと予測しています。

フロントラインの仕事が低賃金で、劣悪な条件に置かれ、昇進の機会がないことは、いずれも新型コロナウイルス感染症に見舞われる前からのことでしたが、パンデミックによって長時間労働と要求の厳しさが増したことにより、これらの格差はさらに悪化しています。その結果、仕事量の増加、長時間労働、賃上げ不足、人手不足、収入を失うことへの恐れの結果として、フロントラインワーカーの70%は、燃え尽き症候群に苦しむ、あるいは燃え尽き症候群のリスクがあると感じると言います。

燃え尽き症候群や人手不足に苦しむ現場の状況は、業績と生産性にとって憂慮するべきことです。ただし、Harvard Business Reviewは、小さな改善が大きな利益をもたらす可能性があるとしています。その「大まかな計算」によれば、5,000人分のフロントラインの定着率が1%向上することで、年間約250万ドルの利益が得られるとされています。

フロントラインワーカーに報酬を与えるには

フロントラインワーカーに報酬を与えるには

パンデミックの後、さまざまな企業や政府が、公共部門の職員に対して報酬を与えるために「パンデミックボーナス」を提案しています。北米のお菓子メーカーのHostess3は、パンデミック中の激務への謝意として、ベーカリーと流通センターのスタッフ約2,000人に最高750ドルのボーナスを支給しました。

ヨーロッパ全土で見ると、EPSU(欧州公務労連)の概算では、2020年に15カ国が医療スタッフに金銭的報酬を与えたとされています。2021年、アイルランド共和国では、フロントラインの医療スタッフ(清掃員、学生看護師、予防接種センターに配置された軍人を含む)に対し、1回限りの非課税扱いで1,000ユーロが支払われました。

しかし、1 回限りの金銭的報酬は、スタッフの長期的なつなぎ止めとして十分でしょうか?EPSUのPablo Sánchez氏は、パンデミックボーナスについて慎重な見解を示し、「そのような人たちに多く支払われているのは良いのですが、問題はそれが1回限りであることがほとんどであるという点です。専門性が低く女性が多い低賃金の介護分野では特に、多少収入が増えても、仕事量が大幅に増加した途端、報酬の効果が打ち消されてしまうおそれがあります」と語っています。

フロントラインワーカーの意欲を高める7つの方法

フロントラインワーカーの意欲を高める7つの方法

大量離職が本格化する中、雇用主はフロントラインのスタッフに関する懸念の中核的な部分にもっと対処する必要があります。平等や、尊重され大切にされている実感に関する問題は、好意的なジェスチャーや1回限りの報酬で対処できるものではありません。フロントラインワーカーの未来に対して、約束に従って措置を講じ、投資する覚悟を企業として持つことが求められます。

働く者が力を発揮できるようにサポート

大企業というマシンの中の小さくて取るに足らない歯車のように感じている場合、それが仕事に目的、達成感、可能性をもたらすことはまずないでしょう。しかし、アイデアや新しい働き方を提案する権限を与えられていると思っているフロントラインのスタッフの割合は、わずか57%のみです。

自律性と発言力は、社員のモチベーションの大きな原動力であるため、フロントラインのスタッフと定期的に関わっていくことは、優先順位の高い事柄です。対面での集まり、パルスサーベイ、オンラインチャットは、いずれも対話をすることができるものです。事業側にはフロントラインワーカーが製品/サービスや顧客の行動についての知識を直接把握できるというメリットがあるのに対し、スタッフ側はより高い次元で企業への理解を深めて貢献をすることに価値を感じます。

学習と成長への投資

社員の離職率が高い場合、スタッフ向けの研修や能力開発に投資する意味はほとんどないと考えやすくなるものです。しかし、そこにこそ投資すれば、スタッフの入れ替わりが続くよりもはるかに費用対効果が高くなります。言うまでもなく、社員にスキルアップの機会を提供することが人材の定着において重要であるからです。フロントラインワーカーの43%は、現在の自分の職務について成長の機会がないと考えており、54%は、学習機会が今よりも多く提供されるのであれば別のフロントラインの職に就く可能性は大いにあると述べています。

フロントラインのスタッフとオフィスベースのスタッフとの間にはキャリアアップに差があると認識されていることから、企業は競争の場を公平にする必要があります。新しいスキルを習得し知識を得る機会があることは、フロントラインワーカーにとって大きなモチベーションとなる可能性があります。さらにキャリアアップを図る機会を提供するよう学習と能力開発に投資することは、フロントラインワーカーをいかに大切にしているかという企業の態度を示すだけではなく、よりスマートに働き、より充実感を得て、生産性を向上させる能力を与えることにもなります。

福利と安全性の重視

フロントラインワーカーは、職場で最大のプレッシャーにさらされながら身体的にも精神的にも一番守られていないことがパンデミックを通して明らかになりました。Fortuneの指摘では、フロントラインワーカーの福利は、新たに出現したトレンドとして、企業風土に根付くだけではなく、成功の一つの尺度にもなっていくとみられています。

燃え尽き症候群がフロントラインワーカーの間で蔓延する問題であることを踏まえると、福利と安全性はかつてないほど重要になっています。スタッフ側は、ビジネスリーダーがリソースを提供しプロセスを開発して、精神と肉体の健康を優先してくれるものと期待しています。従業員体験のプラットフォームは、製品販売の場合と同様に、テクノロジーを活かしてタッチポイントを提供し、問題点を割り出すために存在するものです。

情報への平等なアクセスの提供

フロントラインワーカーのうち、本社とのつながりを実感している人はわずか55%です。また、勤務先の企業からフロントラインワーカーは本社社員ほど重要とされていないと思っている人は51%です。このことは経営幹部も認識しており、本社の管理職の59%は、いかに「オフィス偏重」のコミュニケーションをしていたかをパンデミックによって思い知らされたと述べています。

フロントラインワーカーとリーダーシップとの間のつながりをより確実なものにすることが、事業全体の透明性とコミュニケーションを高める鍵となります。本社から離れていると感じているフロントラインからの信頼を得るだけではなく、コミュニケーションを改善することにより、強力なブランドを育む可能性を備えた企業の価値感をより効果的に広められるようになります。

つながりの向上とコラボレーションの強化

フロントラインワーカーの61%は、コラボレーションツールとテクノロジーを通して、企業の他のメンバーとのつながりを深めたいと切望しています。フロントラインワーカーとのコミュニケーションの方法としては、テキストメッセージ、通話、メッセージングアプリの利用が最も一般的であるのに対し、Workplaceなどのプラットフォームを使用している割合はわずか46%です。

情報とデータを共有できることは、特にフロントラインと本社の間に物理的な距離がある場合には非常に重要です。企業は、モバイルが最適化され、さまざまな場所からアクセス可能となり、変化するスケジュールに合わせて柔軟に対応し、ビデオや投票などの形式を提供するなど、フロントラインの需要に対応したテクノロジーを活用する必要があります。

リーダーとしての信頼を獲得

Baker & McKenzieの取締役会会長であるEduardo Leite氏は、「信頼とは企業が成功するために理解するだけではなく管理も育成も担う必要がある資産である」と語ります。しかし、経営幹部の99%は自分が社員から信頼されていると確信しているのに対し、社内のニュースについて透明性のある企業であるとして勤務先を完全に信頼しているフロントラインワーカーはわずか25%です。

この信頼を得ることは一朝一夕にはいかないものの、対話を始め、透明性を持たせ、自律性を高く与えることは、スタートとしては適しています。そして、この信頼が、パフォーマンスの向上、社員の定着率の向上、ブランドの評判の向上をもたらし、そのすべてが社員にとってはより良いフロントラインの作業環境となり、また顧客にとってはより良いカスタマーエクスペリエンスとなります。

テクノロジーの活用

スタッフの能力を高めたり、事業全体のつながりを築くうえで、テクノロジーがいかに強力であるかは周知のとおりです。新型コロナウイルス感染症によって、デジタル通信が日々の健康と安全性に不可欠なものとなる傾向に拍車がかかり、職場のテクノロジーがフロントラインワーカーの経験をどこまで変えられるのかという点については、これまで以上に認識されるようになりました。

フロントラインワーカーの80%は、従業員体験とは職場のテクノロジーの質に左右されると考えており、52%は、より良いツールやテクノロジーへのアクセスがあればそちらに転職すると答えています。

健康、安全、パフォーマンスは、いずれも仕事を効率的に行うための適切なテクノロジーの有無にかかっています。フロントラインワーカーの生活を楽にすることは単純なことです。つまり、身体的および精神的な福利を高め、仕事のプレッシャーを軽減し、燃え尽き症候群のリスクを抑え、フロントラインの人材を維持するのです。

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関連情報

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1 “Deskless Not Voiceless 2021”, Workplace from Meta, 2021
2 "As the Workplace changes, don't leave frontline workers behind“, Frost & Sullivan”
3 "Hostess rewards frontline workers with ‘Thank You’ bonus", Bakery & Snacks, 2022
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