仕事でのクリエイティビティの重要性とクリエイティビティをアップさせる9つの方法

業界を問わず、職場におけるクリエイティビティは成功をもたらす重要な一要素です。組織のクリエイティビティをアップさせる方法を紹介します。

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Creativity at Work
職場におけるクリエイティビティとは

職場におけるクリエイティビティとは

仕事でのクリエイティビティと聞くと、設計図を描く建築家や、インパクトのあるキャンペーンのアートワークを制作するグラフィックデザイナー、ミシンであっという間に芸術作を縫い上げるファッションデザイナーなどを思い浮かべるかもしれません。もちろん、どれもクリエイティブな活動ですが、ビジネスで重要になるクリエイティビティとはこうした類のものだけではありません。

広義のクリエイティビティとは、想像力を働かせ、好奇心を持ち、やり方を変えることを厭わない姿勢のことです。特定の部署や役職に限らず、誰もがクリエイティブになれます。「芸術の才能がない」とか「デザインのセンスがない」とかは関係ありません。自分のクリエイティビティを発揮することが、組織に対する価値ある貢献になるのです。

こうした認識のもとで、デザイン思考を取り入れるビジネスがますます増えています。デザイン思考とは、クリエイティブ系の産業で編み出された、あらゆる職場に応用が利くイノベーションや問題解決のプロセスのことです。デザイン思考では、人間の体験と共感に着目して問題を解決します。商品やサービスなどの利用に関連して人がどのように考え、感じ、行動するかをよく理解することで、効果的な解決策を見つけやすくなるというわけです。

デザイン思考プロセスでは、アイデアをたくさん出すように促し、目の前の制作課題に対する異なるアプローチを喜んで受け入れます。また、さまざまな可能性を探れるように何度も試行錯誤します。

クリエイティビティが育つには、その意義と価値がビジネスのあらゆるレベルで理解されていなければなりません。クリエイティビティの文化を育てるには、リーダーがクリエイティブなマインドセットの模範を示しましょう。新しいアイデアを高く評価し、新しい解決策を歓迎すれば、クリエイティビティやイノベーションが奨励されていることが社員に伝わります。クリエイティビティを発揮できる時間と空間を与えることも有効です。

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職場におけるクリエイティビティが重要な理由

職場におけるクリエイティビティが重要な理由

クリエイティビティがプラスに働くことは、直感的には分かります。しかし、ビジネス的にはどうなのでしょうか。会社でクリエイティビティを重視することは、なぜ合理的なのでしょうか。クリエイティブな職場は収益アップをスマートに達成できるのですが、これには主に2つの要素が関係しています。

第一に、クリエイティブな職場は社員にとって楽しい職場である可能性が高いという点です。幸福感とクリエイティビティの関係については十分な調査による裏付けがあり、幸福な社員ほどクリエイティビティが高いこと、またクリエイティビティによって幸福感が高まることが分かっています。仕事に喜びを覚えることや、仕事に積極的になる可能性が高いほかに、幸福な社員は生産性が13%高くなる、とオックスフォード大学のSaïd Business Schoolは報告しています。

クリエイティブな職場では、ほかの面でも従業員体験が向上します。クリエイティブな営みには協働での問題解決やチームワークが関わってくる傾向があるため、仕事上の関係が強まり、帰属意識が育まれます。問題解決を手伝ったという経験からは当事者意識も生まれ、そうした意識を持つ社員は仕事への積極性がさらに高まる傾向があります。

クリエイティビティが組織にもたらすメリットの2つ目は、成長(Forresterのデータによれば、クリエイティビティを発揮している会社はそうでない会社と比較して成長速度が2.6倍)、そしてイノベーションを加速できることです。イノベーションは、変化する市場で存在感と競争力を保つための手段であり、これに取り組むことで、規制の変化や世界的に大きな出来事など、大小さまざまな外的変化に適応することができます。これまでのやり方を踏襲し、創業時に採用したプロセスやテクノロジーに固執するビジネスは、徐々に陳腐化に陥りやすくなったり、次第に競合他社に追い越されてしまったりします。

クリエイティビティとイノベーションは別物ですが、この2つの間には密接な関わりがあります。Eli Amdur氏は、Forbes誌で次のように書いています。

「クリエイティビティとは、新しいものへと導いてくれる、個人あるいは組織の特性のことです。イノベーションとは、それによって生み出された新しいもののことです」。

つまり、イノベーションがビジネス上の便益だとすれば、クリエイティビティとはそこに導いてくれる道なのです。

職場におけるクリエイティビティをアップさせるには

職場におけるクリエイティビティをアップさせるには

約16,000人の被雇用者を対象にしたGallupの調査では、クリエイティブな職場を作るのに必要な基本要素として次の3つが浮かび上がりました。

  • 仕事においてクリエイティブであるべきという期待

  • クリエイティビティを発揮するための時間

  • クリエイティブになるのに必要なリスクを取れる自由

では、この知見を実行に移すにはどうすればよいのでしょうか。会社をもっとクリエイティブにするための9つの方法を以下に紹介します。

1.効果的にブレインストーミングをする

ブレインストーミングは、アイデアを生み出す手法として昔から人気があり、大半の人がよく知っています。とはいえ、ブレインストーミングのセッションをできる限り有益なものにするには少し準備が必要になります。話す、文字に起こす、図や絵を描く、グループドキュメントに貢献するなど、さまざまな形態のコミュニケーションを取り混ぜてみましょう。グループワークによってクリエイティビティを触発する方法もあります。十分なスペースがあって、邪魔が入りにくい場所を選ぶことも重要です。ストレスが減るように気温や騒音レベルを快適に保つことも役に立つでしょう。

2.多様な人を集める

チームが多様であれば、それだけ幅広いアイデアが生まれます。複数の文化を経験することとクリエイティビティとの間には相関があることが証明されており、研究では、経験した文化が多ければ多いほど、クリエイティビティが高くなることが分かっています。バックグラウンドの多様性、年齢的な多様性、民族、能力、ジェンダーの多様性など、チーム内の文化的な経験が豊かであれば、会社のクリエイティビティにプラスに作用するでしょう。

多様な人を雇用することは長期目標を達成するための手段であって、今すぐどうこうできるものではないかもしれません。それでも、さまざまなチームや部署の人、あるいはさまざまな勤続年数の人を集めれば、クリエイティブなプロセスに今すぐ新鮮な見方を取り入れることができます。

3.創造的問題解決

創造的問題解決(CPS)は、1940年代にCreative Education FoundationのAlex Osborn氏によって考案されたものです。同氏は、CPSプロセスの一部を成す、ブレインストーミング法の生みの親でもあります。CPSは実践を通じて証明された手法なので、ビジネス課題をクリエイティブに対処したい場合には一考の価値があります。

CPSは、拡散的思考(発散的思考)に始まり、まずブレインストーミングセッションによって可能な限り多くのアイデアを出します。その後、収束的思考に移り、セッションで生まれたアイデアの中から最も見込みのあるものを選び、発展させます。CPSでは、問題を質問の形に落とし込み、その解決策となる答えを出してもらうことになります。

このプロセスのもう1つの特徴は、提案に対して「ノー」と言うのではなく、「Yes and...(そうですね。では…)」と肯定する点にあります。

4.全体像を描く

全体像を描くようにすれば、視野を広げて、検討中の事柄を取り巻く状況を広く捉えることができます。現在の文脈で考えることに加えて、それはなぜどのように始まったのかという過去の視点と、Aを選んだ場合とBを選んだ場合とでそれぞれ何が起きるかという未来の視点を持ちましょう。問題や課題の細部を見ているとそこから抜け出せなくなることがありますが、全体像を描くようにすれば解決策に向かって前進することができます。

5.クリエイティブなリスクテイクを奨励する

もっとクリエイティブな文化を作るうえで、リスクを取ることが問題となって立ちはだかるビジネスは多いでしょう。クリエイティブになるとは物事を新しい視点で考えるということなので、確立されたプロセスや製品、働き方に疑問を呈することになるからです。未知に踏み込み、期待どおりに進まないかもしれないことに挑戦するときには、会社の利益や成長などを危険にさらすこともあるかもしれません。

しかし、クリエイティビティにリスクは付き物なので、「リスクを忌避したために成果を逃してしまった」ということが起きないようにすることが重要です。そのためには、失敗するアイデアを出すことを許容し、結果としてうまく行かなかったとしても挑戦したことを褒めるようにしましょう。

6.犯人探しをしない

犯人探しの文化は誰のためにもなりません。うまく行かなかったときは、今後同じ轍を踏まないように、なぜそうなったのか、この失敗からどんな教訓を得られるかをすぐに考えるようにします。

7.プロジェクトが育つための時間を与える

クリエイティブな営みは、プレッシャーをかければ加速させることができるほかの仕事とは違います。個人やチームのクリエイティブな作業は、予想もしていなかった新しいアイデアや変更点が直感的に浮かんで、直線的に進まないこともあるでしょう。クリエイティブな活動が生まれる土壌を整えることはもちろん可能ですが、強く要求したところでそれがスピードアップしたり、確実に新しい発想が生まれたりすることはありません。

Harvard Business Schoolによる研究では、クリエイティビティと時間的プレッシャーが最適に作用し合う「スイートスポット」があるかもしれないことが指摘されています。プレッシャーがありすぎるとクリエイティビティが減り、反対にプレッシャーが皆無でも思考が停滞してしまう可能性があります。

8.パッションプロジェクトに取りかかる時間を与える

職務とは関係なく個人的に情熱を傾けることができる「パッションプロジェクト」に取りかかる時間と空間を与え、自分の仕事として自律的に取り組ませれば、当事者意識とエンゲージメントを強化できます。創造的問題解決やブレインストーミングの拡散的思考で生まれたアイデアのうち、発展させるまでには至らなかったが価値創出の可能性はあるものについて掘り下げる手段にもなるかもしれません。

9.コラボレーションを奨励する

複数人でクリエイティブな営みをすると、互いの貢献が増幅し、アイデアがグループから認められて支持されることによってモチベーションやインスピレーションが高まることがあります。ただし、コラボレーションは万人に等しく有効なわけではありません。1人で働くほうがアイデアが生まれやすいという人もいます。真にクリエイティブなコラボレーションを実現するには、自律性、グループワーク、アイデア共有を、チームに最適なバランスで配合することが重要です。

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