企業文化を効果的に改善する方法

パンデミックやハイブリッドワークへの移行で世界が大きく変わりつつある昨今、企業文化も多少の変化が必要かもしれません。専門家に話を聞き、企業文化を盛り上げる方法を考えます。

カルチャー | 所要時間: 7分
how to improve company culture - Workplace from Meta

コロナ禍が落ち着きつつある今、企業が置かれた環境は以前と全く異なっています。それは、McKenseyが指摘しているとおり、「従来は文化創生の中心地」であったオフィスが、もはや主要な社会空間ではなくなっている、というものです。これは、職場文化においては大きな変化です。

「ストーリーの発信が難しくなった」と、HR(人事労務)エキスパートのClaire Lish氏は説明します。コーヒーメーカーや食堂での雑談を通じてストーリーを共有する機会はもうありません。つまり、それらのメッセージを発信する新しい方法を見つける必要があるのです」

企業文化において、これは難題です。しかし、ポストコロナの環境は、新しい何かを生み出す絶好のチャンスでもあります。たとえば社員体験を改善するチャンスです。

世界の人事部門リーダーに聞く、企業文化を構築する方法

エキスパート6名からのアドバイスをダウンロードして、社員のエンゲージメントと企業カルチャーの関係について理解を深めてください。

エンゲージメントとリーダーシップの組織であるEngageの最高経営責任者、Sarah Jordan氏は、「今こそ、組織が一歩引いて、自社の企業文化が変化を遂げた未来の目的に合っているかどうかを評価する絶好の機会です」と述べています。

「パンデミック以降の職場環境の変化により、これまで通用したことが通用しなくなる可能性があります。企業は、この新しい未来に対応した理想の企業文化を生み出す組織の価値観や行動を特定し、リーダーやマネージャーの育成プログラム、企業文化を改革する取り組みを通じて、その定着に時間をかけるべきでしょう」

この見直しのプロセスは、すでに始まっています。「私たちが目にするクライアント企業の多くが、企業文化に関する取り組みを行っています」と、コーポレートウェルネスコーチのJames Davis氏は言います。「これからの企業は人を最優先にしないと、ゆるぎない企業文化を築き、そこから最大限の利益を得ることはできません」

企業文化の改善の必要性を調べる方法は?

企業文化の改善の必要性を調べる方法は?

ではまず、やるべきことがあるかどうかを知るにはどうすればいいのでしょうか?Jordan氏によると、結局のところ「ビジネスがうまくいっていない」ことがその兆候になります。

「さらに細かく言えば、企業文化の課題を示す明確な指標はありますが、それは組織によって異なります。たとえば、革新性や顧客中心主義の欠如、コラボレーションや説明責任の欠如、あるいは生産性や人材の成長・定着の欠如など複数の指標が考えられます」と彼女は言います。

Lish氏によると、企業文化のチェックとは、組織内で具体的に何が起きているのかを、多角的に詳しく検証することです。以下は、同氏が提案する検証手法の一部です。

  • 企業の苦情処理、人事処分、生産性向上策を見直しましょう。それぞれのポリシーに、社員はどのように感じているのか、自社の戦略とどこまで整合性がとれているかを読み解くヒントが隠されています。
  • 社員エンゲージメント調査を活用しましょう。少なくとも月に1度は行ってください。年に1度のアンケート調査では何の情報も得られません。チームを組んで対応しようとする頃には、時機を逸しているか、社員が辞めてしまっているでしょう。
  • 最前線で働いている社員の話を聞きましょう。経営幹部と話すだけでは、自社の企業文化を知ることはできないでしょう。ビジネスリーダーは上層部から企業文化に影響を与えますが、その効果の測定は末端の社員を対象として行わなければなりません。
  • 社員向けの「ドロップイン・クリニック」を提供する。社員がリーダーに対して自分の気持ちを伝えるための場と機会を与えましょう。
  • 報復されない内部通報制度を提供しましょう。健全な企業文化へのコミットメントに問題があれば社員に報告させ、その報告が前向きな変化につながればそれを祝いましょう。
  • Glassdoorでの自社のスコアを確認しましょう。自社に対する最も低い評価を最も真剣に受け止めるべきです。
最も一般的な企業文化の問題とは?

最も一般的な企業文化の問題とは?

組織文化の中では、確立されている分野よりも、そうでもない部分にパンデミックの影響をより強く受けています。1 組織文化の確立が難しいのはどのような分野なのでしょうか?

たとえば以下の点に注意が必要です。

価値観
価値観

紙に書くと何ページにもなるような組織の価値観は必要ありませんが、目的意識を明確にしたメッセージがないと、社員は戸惑ってしまいます。会社の価値観を明確に定義することで、社員の間に連帯感が生まれます。しかし、企業の価値観はトップダウンで押し付けるべきものではありません。

Lish氏は「部下に会社のストーリーを語ってもらうこと」を提案しています。「社員が組織について高く評価している点は何でしょうか?実際のチームメンバーの実例を引用しつつ、ナラティブやストーリーに沿って企業の価値観を説明することが効果的です」

お題目だけで行動が伴わない
お題目だけで行動が伴わない

企業として既に価値観やミッションステートメントを掲げていたとしても、リーダーやマネージャーがそれを守らなければ意味がありません。リーダーは、言うこととやることが違うようではいけません。模範を示して指導すべきです。

「企業文化というものは、リーダー、マネージャー、そして職場の同僚が特定の行動を模範として示すことで組織内に定着するものです」とJordan氏は言います。「すなわち、企業文化を改善するには、正しい企業文化を特定し、それを上層部から末端まで浸透させること、組織が社員体験のあらゆる側面を総合的に管理できるようにし、企業文化をエンゲージメント戦略の中心に据えることが必要なのです」

人材の流出
人材の流出

離職ほど会社への不満をわかりやすく示すものはありません。もちろん、離職には様々な背景がありますが、それが続くようであれば会社側に問題がある可能性があります。

また、優秀な人材を集めるのに苦労している会社は、その企業文化に対してネガティブなイメージを抱いている人が多いということかもしれません。Glassdoorの調査に回答した人の77%が求人に応募する前に企業文化を考慮すると答え、回答者の89%は雇用主が明確な使命と目的を持つことが重要だと思うと述べています。

信頼
信頼

マネージャーは常にチームと同じ物理的空間にいるわけではないということが、特にリモートワークの時代には、企業文化の基本的な側面の1つといえます。信頼の欠如は、マイクロマネジメントにつながり、社員が自信を失い、イノベーションを躊躇することにもつながります。

コミュニケーション
コミュニケーション

社内のビジネスコミュニケーションは一種のアートであって、すべてのリーダーが自然に身につけているものではありません。パンデミックやパンデミック後の世界では、物理的に分散しているチーム同士で効果的なコミュニケーションを図るには、より一層の企業努力が必要でしょう。「それなりの組織であれば、パンデミックを通じてこの対策は大幅に強化されたはずです」とLish氏は言います。お互いに距離をとることとなったこの世界で、いかにして社員とのつながりを保つか、と多くのリーダーが自問したはずです」

「これは、絶え間ない努力が必要なことなのです。社員とつながる方法を新たに見つけるために、優れたコミュニケーションチームに投資する必要があることも意味します。」そして、全体的な視野を持つことも不可欠です。企業文化は様々な側面が相互に関連しているので、ある領域で問題が発生すると、その影響が波及する可能性があります。

Jordan氏は次のように述べています。「組織文化は社員体験を大きく左右し、社員の真の帰属意識を決定づけるものです。「1つの部分が壊れれば、企業文化全体が影響を受けるのです」

専門家推奨、企業文化を改善する5つの方法

専門家推奨、企業文化を改善する5つの方法

  1. ウェルネスを推奨する

    ウェルネスを推奨する

    ウェルネスという言葉が少し前から流行していますが、パンデミック以降、ウェルネスは企業文化を向上する上で欠かせないという認識がビジネスリーダーの間で広がっています。

    「いくつかの調査でわかったことは、今日雇用主に最も求められるものの1つが社員の健康とウェルネスだということです」とDavis氏は語ります。「通勤距離や良い車に乗れるかどうかといったことよりも、雇用主が社員の置かれた状況に思いやりを示すかどうかの方がより重要になっています」

    では、企業がウェルネスを高めるにはどうすればいいのでしょうか?Davis氏は次のように話します。「より多くの企業が、社員が個人的な目標を持てること、不安に打ち勝つこと、モチベーションを高められることを望むようになっています」そして、テクノロジーの活用こそ、自分の好きな時間にウェルネスのサービスを活用できるなど、社員に重要な機会を提供する方法です。「ウェルネスがより社員主導型になり、様々なリソースやツールが提供されるようになると思います」とDavis氏は予測します。

  2. 柔軟性を高める

    柔軟性を高める

    パンデミックが収束したからといって、9〜17時の勤務時間、服装規定、厳格なルーチンワークといった「かつての日常」に戻っていいというわけではありません。

    「これからは強権的な職場環境を目指すべきではない」と、Lish氏はアドバイスします。「生産性、安全性、健全な企業文化を柔軟に維持できるよう、社員の意見に耳を傾け、一緒に考えていくことです」

    フルタイムで職場に戻らなければクビにすると言うリーダーの存在ほどくだらない企業文化はありません。特に、その社員がこの1年というもの、アイロン台の上にパソコンを置いて素晴らしい仕事をしていたのならなおさらです」

  3. ダイバーシティ、平等性、インクルージョンを重視する

    ダイバーシティ、平等性、インクルージョンを重視する

    多様性があり包括的な組織には人材が自然と集まり、ウェルネスも高まるというメリットがあることはよく知られています。しかし、OC Tannerグローバル企業文化調査の回答者のうち、自分の組織は社内差別に十分な対処をしていると答えた人の割合はわずか35%です。今こそ、ダイバーシティとインクルージョンを企業の中心に据えるべきです。

    ダイバーシティとインクルージョンについてはもはや議論の段階ではなく実行に移すべきです」とLish氏は言います。「上層部の多様性だけでなく、組織が成長し続けられるよう考え方の多様性も備えていることを社員に示すことが重要です」

    「まだ作成していなければ、ダイバーシティの実現に向けた計画を文書化し、社内に広く共有し、説明する用意があることを示しましょう」

  4. 組織内でリーダーシップを育成する

    組織内でリーダーシップを育成する

    企業文化の形成には、シニアリーダーだけでなく、中堅レベルのマネージャーも重要な役割を担っています。Lish氏は、ミドルマネージャーを指導し、フロントラインのマネージャーとつなぐことによって、社員の悩みに効果的に対応し、変化の時期にチームをサポートできるようにすることを推奨しています。

    トレーニングは、単に仕事のやり方を教えるだけでは不十分です。「たとえそれが、自分の役割やビジネスにとって過剰なスキルになるとしても、潜在能力を最大限に発揮する方法(行動、強靭性、成長、野心、目標設定、気難しい人への対応など)を教育すべき」と彼女はアドバイスしています。

  5. 功績を認める

    功績を認める

    社員の功績や努力を認めることは、ポジティブな企業文化を構築する上で必要不可欠です。しかし、多くの企業はそれが得意ではありません。

    OC Tannerの調査への回答者のうち、「自分の組織は功績や努力を大きなものから小さなものまで認めている」と答えた人は29%に過ぎません。また、功績を認めることが組織の文化として日常的に行われていると考えている人はわずか半数強(53%)でした。

    まだ導入していないのであれば、今こそ職場評価プログラムを導入する好機かもしれません。パンデミックにおいて、あらゆるレベルの人々が組織を維持するために懸命に働きました。彼らの努力に感謝することは、会社をより良い職場にすることにもつながります。

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