フロントラインワーカーの現状ともっと優遇するべき理由

フロントラインワーカーとデスクを持たない社員は、パンデミック下で社会や経済の維持に貢献してきました。極めて重要な役割を果たしているこうした社員と組織は、どのような関係を築けるでしょうか。また、組織は彼らにどう報いることができるでしょうか。

フロントラインワーカー | 所要時間: 13分

ここ2年ほどで、フロントラインワーカーの人数は増加の一途をたどっています。パンデミック下で彼らは社会と経済を支える重要な役割を担ってきました。デスクを持たない人々は、ほとんど感謝されることのない目立たないポジションにいることが多いながらも、製造業、医療、教育、その他多くの基幹産業で働き、社会からは日常生活の機能と流れを維持するのに必要だという評価を得るようになりました。

しかし、パンデミックから抜け出しつつある今、27億人のフロントラインワーカーが不満を持っているのは明らかです1。2021年には、少なくとも2人に1人が退職を考えていました。その主な理由は、エンゲージメントの欠如や「声が届かない」ように感じるからだということです。こうしたデスクを持たない社員は今や世界の労働人口の8割を占めており、大量辞職時代と呼ばれる、雇用の著しい変化に大きく影響しています。その一方で、需要が高まっているという事実により、彼らはこれまでにはなかった力を得ています。

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スタンフォード大学のNicholas Bloom教授は、「数十年ぶりに(低所得者層から抜け出せない人々が)『簡単に仕事が辞められて、次の仕事が見つかると同時に給料も上がる』と言える時代が来た」と指摘し、「実際に、それが仕事を辞める理由になっている」と述べています2

労働移動率が急上昇するリスクを低減させたい雇用主にとっては、フロントラインワーカーが離職を思いとどまるような理由づけをすることが、戦略的な優先事項となります。彼らは、顧客、取引先、患者に対して組織の代表として接する役割を果たしており、企業のアジリティを決定づける要因です。つまり、企業の成功は、オフィスにデスクを持たず、メールアドレスさえ持っていないこともある社員の福利や継続的な成長と発展にかかっているのです。

フロントラインワーカーとは

フロントラインワーカーとは

Forbes誌では、フロントラインワーカーについて「職務をこなすために特定の場所と時間にいなければならない人」3と表現しています。一般の人々と直接関わり、組織やそれを取り巻く社会にとって不可欠なサービスを提供する、「現場の」従業員です。基本的には、企画や戦略を立てるというよりも、タスクを実行する人々です。

フロントラインワーカーには、医療従事者や社会福祉士、警察官・法執行官や軍隊、店舗勤務、生産・食品加工業、清掃・メンテナンス業、農業、輸送業などの労働者、教育および必要不可欠な公共サービス業のスタッフなど、大勢の人が含まれます。

米国では、フロントラインワーカーは全労働者の52%を占めています。英国の2019年の統計によると、コロナウイルス感染症のパンデミック下で、大勢のフロントラインワーカーが「キーワーカー」に指定され、全労働者数の33%を占めています。英国政府は、次の業界で働く人々をキーワーカーと定義しています。

  • 医療・社会福祉: 医師、看護師、助産師、救急救命士、社会福祉士のほか、医療・福祉サプライチェーンの従事者
  • 教育・保育: 教師やサポートスタッフおよびソーシャルワーカーなど
  • 主要な公共サービス: ジャーナリスト、司法制度に携わる人、主要なフロントラインサービスを提供する慈善団体など
  • 地方自治体・中央政府: 新型コロナウイルス感染症の対応や国からの給付金の支給に携わる人
  • 食品やその他の日用品: 食品の製造・加工、流通、販売、配達などの業務の従事者
  • 公共安全・国家保障: 警察官、軍隊関係者、保護観察官、刑務所職員、消防・救急隊員など
  • 運輸: 航空、水上、道路、鉄道輸送業の従事者
  • 公共事業、通信、金融サービス: 銀行、石油、ガス、電気、郵便、廃棄物処理業の従事者

一部の業界では、フロントラインワーカーの占める割合が他よりも高くなっています。たとえば、米国の経済・社会政策に関するコメンテーター、Econofactによると、教育者はフロントラインワーカー全体の12%を占める一方、「男性が多い」かつ「従業員の大多数がブルーカラーのカテゴリに属する」の両方を満たす業種の場合、その割合は45%です。この条件に該当するのは、運輸、建設・搬入、保守・修理、農業、漁業、林業といった業種に携わる、デスクを持たない労働者です。


フロントラインワーカーとリモートワーカーの違い

フロントラインワーカーとリモートワーカーの違い

フロントラインワーカーやリモートワーカーは通常オフィスにいませんが、後者は自宅や目的に合わせたコワーキングスペースなどでデスクワークの業務を行い、専用の作業スペースを持つことが多いようです。企業ポリシーによっては、柔軟性のより高いハイブリッドワークモデルを選ぶオプションもあるでしょう。

フロントラインワーカーの場合、所定の時間に工場、倉庫、病院などに出勤する、現場で検査を行う、車を運転するなど、日常の勤務形態はさまざまですが、いずれにしても通常、在宅勤務は不可能です。また、仕事でPCやノートパソコンが必要になることはめったになく、したがって会社の専用メールアドレスを持つことや、イントラネットにアクセスすることもないでしょう。

フロントラインワーカーの収入は全体的にリモートワーカーよりも低いようです。Texas A&M大学のAnthony Klotz准教授は、パンデミック下に不満が溜まった状態で働き続けることは、重大な健康リスクの要因となり得ると示唆しています。同准教授は、フロントラインワーカーの間で蔓延する燃え尽き症候群、ワークライフバランスの見直し、リモートワーカーと同じように在宅勤務による健全なワークライフバランスを確立できないことによる不公平感の影響から、「大量辞職」が起こることを予見しました。

コロナウイルス感染症は、また別のところにも影響を及ぼしていました。それは既存のトレンドの加速です。以前のフロントラインの役割の中には、特に他者との物理的な接触度の高いものがあり、オンラインに移行したり自動化されたりしたものがありました。

小売業は明らかにその一例です。McKinsey Global Instituteが2021年に発表したあるレポートによると、パンデミック時に初めてデジタルチャネルを利用した人のおおよそ4分の3が「平常に戻っても」利用を続けるだろうとしています。これによって、かつては店頭で働いていたフロントラインワーカーに多大な影響が及ぶと予想されます。一方、英国では、オンラインバンキングへの急速な移行によって、街中にある銀行の閉鎖が進んでいます。2021年には、毎月平均60もの支店が閉鎖され、失業者が何千人も出るという結果に至っています4

フロントラインワーカーの重要性

フロントラインワーカーの重要性

大勢のフロントラインワーカーが新しい仕事を見つけ、デジタル化が進む中で自分たちの役割を変化させているとしても、これらのエッセンシャルワーカーがいなくては、多数のビジネスが失われていくであろうことは事実なのです。

一般の人々と接するフロントラインチームは顧客体験を形成し、ブランドとしての約束を果たす責任を負っています。彼らは企業のビジョン、文化、価値観を反映し、顧客満足度はそれによって大きく左右されます。顧客ロイヤルティやリピーターも同様です。

フロントラインワーカーは顧客のことをよく理解しています。彼らが経験から得たインサイトは大変貴重で、問題解決に大いに貢献してくれることも珍しくありません。さらに、ビジネスの方向性を差し示し、企業ポリシーを形作り、製品開発に貢献し、マーケティングキャンペーンにも影響を及ぼします。

ではここで、どうすれば良いのかを考えてみましょう。


フロントラインワーカーの意欲を高める7つの方法

フロントラインワーカーの意欲を高める7つの方法

50%以上のフロントラインワーカーは、半年以内に別の仕事を見つけられると思っています。今の勤務先が自分に合わないと思ったら、すぐにでも辞める準備ができています。しかも新しい仕事の第一印象が良くなければ、そこにもとどまらないでしょう。31%が就業後半年以内に仕事を辞めています5

このような場合、後任者のトレーニングに費用がかかるうえに、チーム内で継続性と連帯感が失われるという結果にも対処しなければなりません。継続性と連帯感は築き上げるまで時間がかかるものですが、効果的なコラボレーションを円滑に進める上で重要な役割を果たします。

人が始終入れ替わるチームでは、フロントラインワーカーは効率が悪くなり、同僚とのつながりや相互サポートの機会が得られなくなるでしょう。それによって、意欲をなくし、ストレスを感じて孤立してしまう可能性が高くなります。

それを考えると、最高の仕事をするためにフロントラインワーカーの意欲を高めることが必須となります。では、彼らの意欲を高める7つの方法を紹介します。

1. 適切なテクノロジーを提供する

デスクを持つ社員は社内のコミュニケーションやコラボレーションを容易にするデジタルツールにアクセスできますが、フロントラインワーカーはアクセスできないのが一般的です。物理的にある1か所にとどまって勤務することはないため、フロントラインワーカーがつながりとエンゲージメントを感じ、常に組織の最新情報に触れるためには、デジタルツールの代わりとなる効果的なバーチャルの代替手段が必要です。

ハーバード・ビジネス・レビュー誌の調査は、このことを裏付けています。フロントラインワーカーの86%が、より優れたテクノロジーを必要としていることを明らかにしました。「より優れた」とは、多くの場合、つながりを維持する能力をフロントラインワーカーに与えることを意味しています。メッセージプラットフォーム、ドキュメントの共有、ビデオ会議、スケジューリングソフトウェア、モバイルアプリ、イントラネットサイトはすべて、リモートワーカーとのギャップを埋めるのに役立ちます。ただし、ここに挙げたすべてが完全に統合され、チームが使い方を習得していて、必要な変更管理やトレーニングプログラムも同時に提供されることが前提となります。

しかし、効果的なテクノロジーの必要性は、コミュニケーションやコラボレーションに限ったことではありません。2018年のDeloitteによる調査では、フロントラインワーカーは情報検索のために、平均で労働時間の8%を浪費しています。これは週40時間の労働時間のうち3時間に相当し、それが積み重なっていきます6

エッセンシャルワーカーが効率よく効果的に仕事を行うには、状況に適したリアルタイムのデータが必要です。現在、看護師が患者の重要情報を把握するために使用されている電子カルテ(EMR)は、その優れた例です。これによって面倒な書類作業が減り、作業をより迅速に進められるようになりました7

テクノロジーが水準に達していないと、苦労するのはフロントラインワーカーだけではありません。大多数のフロントライン業務の組織では、5分以内に連絡が取れるスタッフは全体の20%未満です。そうした組織の管理者はダイレクトメール、ポスター、「数十回もの通話」、または、対面式の会議を準備して業務を調整するという手間のかかる方法をとっています7。このようにコミュニケーションに時間がかかると、ビジネスの俊敏性や成功を目指すうえでも限界が生じます。

2. 皆の話を聞く

McKinseyのレポートでは、同僚や管理者との結びつきが強い社員は定着率がより高いことが示されています。つまり、効果的なコミュニケーションにするには、すべての人を含めなければなりません。

「Workplace Deskless Not Voiceless (デスクがなくても、声は届く)」レポートの調査は、企業文化を民主化する必要性と、情報を外部や上に向けて流すだけでなく、トップからも流れるようにするという考え方を強調しています。同調査では、本社とのつながりを感じる社員はわずか14%で、経営幹部レベルと直接コミュニケーションが取れていると思う社員は3%のみであることが明らかになりました。

ここで主張しているのは、適切なコミュニケーションとコラボレーションツールを導入して賢く利用することであり、雇用主が行動を起こせば良好な結果が大いに得られるという論拠を示しています。効果的なバーチャルワークプレイスがある場合、25%の社員が本社とのつながりをより強く感じ、経営幹部レベルとのつながりを感じる人が2倍以上になっています。

3. フロントラインワーカーの意見を聞く

フロントラインチームは、組織の目であり耳です。取引先や顧客または患者と定期的に接していて、その態度や行動を把握しています。製品に関して高度な知識を持ち、物流面では現場での経験があります。彼らのインサイトを共有できる方法を提供することに課題があるとはいえ、大きな障害となっているのは、雇用主の現状認識です。

管理者の90%が、従業員は管理者にアイデアを共有する権限が与えられていると感じていると報告していますが、実際にそうしているのはフロントラインワーカーの45%に過ぎません。事実、従業員の54%が自分の声が届かないと主張しているのに対し、管理者の83%が意見を述べる機会を与えていると主張しています。

情報知識のある管理者は、フロントラインワーカーがどのようにコミュニケーションをとりたいのか、良い仕事をするために必要なものは何かを聞いてみるとよいでしょう。定期的なパルスアンケート(パルスサーベイ)、ソーシャルメディア、オンラインチャットが、このような会話をするのに役立ちます。

また、フロントラインのスタッフにお客様のフィードバックをもらい、そのフィードバックに対する彼らのコメントを求めることを考えてみるのも良いかもしれません。これはフロントラインワーカーにとって、お客様の声を背景情報も交えてより明確に伝える機会なので、お客様の主張に対する理解も深まり、組織の意思決定により深く関わる体験となります。

同様に、エッセンシャルワーカーの意見に耳を傾けることで、管理者と社内の他の社員は、彼らが何をどう行っているのかをより深く理解できるようになり、さらに大局的な見地から、彼らの貢献がいかに重要で価値あるものであることを実感させることができます。素晴らしい業績にはより大きな報酬を与えましょう。一生懸命に働く人々にはそれにふさわしい評価が与えられるべきです。十分に評価されていないと感じる社員は、1年以内に辞める確率が2倍になることを踏まえると[SC21]、これはフロントラインスタッフを保持する効果的な戦略です。

フロントラインワーカーの声に耳を傾けることは、さらに別の重要な点にもつながります。フィードバックを求めるだけでなく、それを認識し、それに対応し、行動に移すプロセスが必要です。それには知識の共有と、上下関係にとらわれないコラボレーションを支援する企業文化も必要です。こういったことはチェックリストを完成させるような、定型的な行動にはできません。フロントラインワーカーがもたらす真の価値が分かるビジネスリーダーなら、決してそうしないはずです。

4. より広い視点から全体像を捉え、すべての人を考慮に入れる

組織の目標やビジョンをただ持つだけでは不十分であり、そうしたことを組織内で広く効果的に伝える必要があります。特に、本社以外の拠点で働く人に対しては、明確かつシンプルに、なおかつ定期的にフォローアップしなければならないということです。

デスクを持たない社員が組織との一体感を得るには、組織の目標達成のために自分たちが果たす役割と日常業務によって、ビジョンがどう実現されているかを理解する必要があります。

自分にしかできないバリュープロポジションによって企業文化が明確になるという考えが、ビジネスのあらゆる階層に広まったとき、社員一人ひとりが分け隔てのない仲間なのだという概念が根付いていきます。それによって従業員は、成功に向けたビジョンを受け入れ、掲げられた目標に向かって努力を続けようという気持ちになります。

5. フロントラインマネージャをサポートする

デスクを持たない社員や分散した社員の監督やサポートは、管理職の第一階層に位置する場合の多いフロントラインマネージャに任されます。求人サイトのIndeed [SC22] は、彼らのことを「組織の日常業務の監督」と表現しています。フロントラインマネージャの役割には、生産・製造の監督、プランとポリシーの施行、管理者チームへの指示や現場スタッフの管理などがあります。また、フロントラインマネージャは、会社の管理職ランクのおよそ60%を占め、全従業員の最大80%を監督しています。

しかし最近の調査では、本社がキャリア向上に関心がないと感じているフロントラインマネージャは59%に及び、軽視されている実態が明らかになりました。彼らは意思決定や創造性を伴う業務において、限られた能力で運営することが多く、McKinseyの言葉を借りると、これは、企業の「生産性、俊敏性、収益性の低下」をもたらします。

それを解決するには、フロントラインマネージャに特定の店舗や工場または鉱山などの特有の状況に対処する時間、事が起こる前に問題やその原因を予測する時間、社員自らが向上する機会を模索する時間を確保することです。

6. 自主性の確立

フロントラインのスタッフには、顧客に対する独自の見解があります。顧客サービス関連の意思決定を任せ信頼することで、彼らをビジネスに関与させ、その役割をやりがいのあるものにし、取引的なものにならないようにします。また、より効率的に仕事ができるようにサポートしてください。

これは、一般消費者と直接関わることが少ない、デスクを持たない社員にも当てはまります。McKinseyの調査レポートでは、より多くの情報にアクセスできる権限を社員に与えることで、イノベーションを起こす可能性が高まるとしていて、そのために、新しいインテリジェンスを迅速に拡散できる運用プラットフォームの提供を推奨しています。

またある研究によって、勤務時間中の行動について従業員の自由度を高めると、ストレスが軽減されパフォーマンスが向上することが明らかになっています。つまり、デスクを持たない社員を対象として勤務時間と休憩時間を臨機応変に調整することを認めると、予測不可能な勤務にも対処できるようになり、彼らのワークライフバランスが改善されます8

これを変えるには、企業の最高責任者によるサポートが前提条件になることが暗に示されています。フロントラインワーカーの意欲を真に高めるには、自主性を受け入れ、必要ならば今までのやり方をためらいなく手放せるという企業文化にシフトする必要があります。

7. 有意義なトレーニングを提供する

93%の社員が、キャリア上の成長と昇進の機会を提供してくれれば会社にとどまると回答しています。フロントラインチームの育成に投資するのは、離職率を下げるために効果的な方法です。

人材育成は、綿密に計画されたオンボーディングプロセスから始まります。このプロセスは、正式な入社手続きを終えた新入社員が、早く組織になじむためのトレーニングを提供するものです。また、企業文化、ポリシー、ビジョンを紹介する機会にもなり、見習い研修中の新入社員の仕事をカバーする先輩社員の負担を軽減する意味合いもあります。

その後も効果的かつ継続的な学習・人材育成戦略を実施し、業務のニーズに合わせて、多様な学習フォーマットやアプローチを採用するようにします。また、昔のように研修を受講するための部屋を用意する必要はありません。

短くて魅力的なコンテンツを活用するマイクロラーニングなら、多忙な日々の業務の合間でも簡単に学習を進められます。一方、携帯電話でも受講が可能なオンラインコースの教材はたくさんあるので、フロントラインワーカーは移動中や外出先でも業界のトレンドをチェックできます。ゲーミフィケーション学習も選択肢の1つです。さまざまな職種の社員に同一のプラットフォームを使ってもらい、彼らが知識を試し、楽しみながらスキルを伸ばせるような方法を考案しましょう。たとえばクイズでリーダーボードのトップを競うのもいいかもしれません。

フロントラインチームのスキルアップは、優秀な人材の離職を防ぐと同時に、多くの業界に存在する、スキルギャップを埋めるための手段となります。自動化によって役割が変わったりそれを失ったりした人にとっては、デジタルの未来に合った職種に一歩踏み出せます。

社員の能力開発は、自社の業績にもプラスの効果をもたらします。外部からの新規雇用は、社内での人材開発と比べると6倍ものコストがかかります。現存社員のスキルを伸ばすことで、従業員体験も顧客体験も向上します。


フロントラインワークの未来

フロントラインワークの未来

ヨーロッパや米国では、反復可能で予測可能な作業の身体的スキルや手先の器用さの需要は、今後10年で30%近く減少する見込みです9

自動化に向かうことで、フロントラインの仕事が不安定になる可能性もある一方、より安全で単純作業ではない仕事が増えています。たとえば、人工知能(AI)です。医療から製造まで、AIはパターンや問題を特定するパワフルな方法とリアルタイムのデータに基づいたインサイトを提供すると同時に、危険が伴う環境での反復作業や労働集約型のタスクのニーズを低減します。また、プロセスの効率化が可能になるため、社員自身の継続的な専門能力の開発など、より魅力的な活動に専念できるようになります。

とはいえ、デジタル環境が進化し、常時オンの経済が要求される中で、フロントラインワーカーがそのプロセスに加わることは不可欠です。Forbes誌の寄稿者で製造業を専門とするJim Vinoski氏は次のように述べています。

「フロントラインの今後の働き方を考えると、重要な役割を果たしてくれる人々を再評価すべきだ。彼らのニーズはどのようなものか。彼らを人として、また貢献者として尊重し、そこにいて当たり前の存在と考えないようにするにはどうすればよいのか。彼らが再出発して、仕事から望むものを得られるようにするには、どうすればよいのか」10

そのためには、相手の話に耳を傾け、理解し、それに適応する能力が必要です。Fitler ClubのJeff David社長が指摘する通り、以前は、社員が会社に合わせるしかなかったのに、今のパラダイムで問われるのは、雇用主がどこまで従業員に合わせられるか、なのです。

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関連情報

フロントラインワーカーを以前よりも優遇することで成功した事例を紹介します。

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1 『Who Are Frontline Employees, and Why Do They Need a Digital Workplace?』Yoobic、2020年11月
2『The Great Resignation: Its origins and what it means for future business』ABC News、2022年
3 『Boosting Employee Experience At The Frontline』Forbes、2019年
4 『No end to UK bank branch closures as HSBC shuts 69 more』 Computer Weekly、2022年
5 『Strengthening the Frontline Squad – Complete guide for frontline workforce development』 Disprz、2021年
6 『Digital enablement is the next frontier of business success: True Stories and Savings From the Frontlines』 Beekeeper、日付不明
7 『Supporting frontline employees must be the new normal』BetterUp、2021年
8 『This is no way to support frontline workers』 CheckIt、2022年
9 『Building the vital skills for the future of work in operations』 McKinsey、2020年
10 『Top 5 Trends Shaping the Future of Frontline Work』 Beekeeper、2022年
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