職場でエクイティ(公平性)を育むための12のポイント

ハイブリッドな勤務環境は、職場のDEI (ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン)に対して課題を突きつけると同時に、チャンスを生み出してもいます。リモートで、オフィスで、そしてハイブリッドで働く人々の間でエクイティを確保する方法について探ります。

リモートワーク | 所要時間: 8分
Equity at work

ハイブリッドワークとリモートワークは完全に定着しました。おそらく、雇用主の多くが従業員にすぐにでもオフィスに戻ってほしいと考えている一方で(最近の調査によると、マネージャの83%が週に3日以上は部下に出社してほしいと考えています)、従業員はリモートワークやハイブリッドワークによる自由と柔軟性を謳歌しています。

柔軟な働き方は、ワークライフバランスの向上にも寄与しています。また「大量離職時代」という言葉が表すように、今や多くの人は、転職か現職かを決めるときに、どこでも好きなように働ける選択肢があることを重視するようになっています。McKinseyの調査では、過去2年間にハイブリッドな勤務形態を経験した被雇用者の5人のうち4人超は、この勤務形態を続けたいと回答しています。

このような背景を受け、ビジネスリーダーはハイブリッドワークを全体の戦略に取り入れ、労働慣行をそれに合わせる必要があります。その一環として、ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョンが実現した職場を作ることが求められているのです。

Workplaceで業務を簡素化

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ハイブリッドワークによって職場でのエクイティが向上する理由

ハイブリッドワークによって職場でのエクイティが向上する理由

ハイブリッドワークとリモートワークを効果的に取り入れられれば、エクイティを妨げている古くからの問題の多くに対処し、それらを解消できます。

勤務するうえでの地理的な障壁を取り除ける

雇用主目線でハイブリッドワークを見ると、採用候補地が広がり、遠隔地の優秀な人材を活用しやすくなるメリットがあります。雇用される側としても、雇用主と同じ地域、あるいは場合によっては同じ国で働く必要さえなくなるのは便利です。つまり、居住地にかかわらず、より広い地域の人が高給の熟練労働に従事するチャンスを得られるようになるのです。

男女間格差の解消に寄与する

家庭内の仕事の大半は依然として女性がこなしており、それによって従来型のオフィス主体の勤務形態で働くことが難しくなっている側面があります。この不均衡があるために、女性は場合によっては仕事を完全に辞めるか、低賃金の仕事やパートなどに就かざるを得ません。これは、現在の男女間賃金格差の一因です。ハイブリッドワークとリモートワークには、こうした不平等を解消できるポテンシャルがあり、そうなれば子育てや家事を担っている女性でも管理職に就きやすくなります。

障がいのある人にとって働く機会が増える

ランカスター大学の研究によると、障がいのある労働者の大多数が、働く場所を選べることを重要視しています。実際、調査対象のうち70%の人が、オフィス主体の勤務に縛られることによって心身の健康に悪影響があると回答しました。スケジュールや環境をもっと自分の裁量でコントロールできれば、心身の健康を管理できてありがたいというわけです。また、在宅勤務のほうが生産性が上がったように感じたという回答も85%ありました。このように回答した人々が重視しているのは、アクセシビリティが高いことと、もっと適切で個人に合ったサポートを得られることです。こうした環境が整えば、仕事に集中し、仕事やキャリアを同僚と平等に競い合えるからです。

柔軟でハイブリッドな働き方によって、無意識の偏見が生じる機会が減る

無意識の偏見は、昔からエクイティとダイバーシティを妨げてきました。無意識の偏見は、非常に進歩的な考え方を持つビジネスやチームでさえも見過ごすことがあります。Deloitteが3,000人の被雇用者に調査を実施したところ、職場に偏見があると回答した人は60%を超えました。このことから、インクルーシブな文化をよりよいものにすることが組織としていかに必要かが分かります。とはいえ、オフィスから離れて働く人が多い状況なら、見た目や服装、年齢といった、偏見を助長する視覚情報の多くは目立ちにくくなります。

ハイブリッドワークとDEIに関する職場での課題

ハイブリッドワークとDEIに関する職場での課題

ハイブリッドワークとリモートワークによって個人の選択の幅や柔軟性は増えましたが、放っておけば職場のエクイティも勝手に高まっていく、というわけにはいきません。ハイブリッドな勤務形態においてもエクイティ実現への障壁はいくつかあり、これは雇用主が対処すべきものです。

在宅勤務の環境が適切ではない問題

リモートワークをする場合、自宅の環境は皆同じではありません。なかには、スペースや照明、インターネット接続が十分でない、適切な機材がないといった不利益を被る社員もいるかもしれません。

技術的な問題もあるかもしれませんし、オンラインミーティングが終わった途端にリモートワーカーが貢献する術がなくなってしまうこともしばしばです。技術的な問題によって、ハイブリッドで働くチームメンバーがうまく成果を出せないこともあるでしょう。しかもその原因は、ミーティングの欠席や途中離脱を余儀なくされるだけに留まりません。マネージャやオフィスにいる側の人が、技術面での問題を懸念してリモートワーカーを呼ばないケースや、同じ理由でリモートワーカーの側が不参加を選ぶケースもありえます。

存在が見えなくなる問題

リモートワーカーや、大半の時間をリモートで働く人は、孤独感や疎外感を覚えることがあります。リモートでほかのチームメンバーとのつながりを維持するのが難しくなることも少なくありません。リモートで働くことによって、ビジネスの全体目標や企業文化との間に距離ができてしまうこともあります。そうなると、「自分の貢献は求められていない」「重要視されていない」と感じてしまう可能性もあります。

リーダー層やマネジメント層とつながりにくくなる問題

Envoyの調査によると、米国の経営幹部の実に96%が、リモートワーカーよりも出社している社員の貢献のほうが目につきやすいことを認めています。この近接性バイアスは、勤務場所がマネージャの受け止め方や評価の仕方に影響することを意味します。これにより、やりがいのある仕事やチャレンジングな仕事(およびその後のキャリアアップの機会)が、意思決定者に物理的に近い人だけに限定されてしまうおそれがあるのです。さらに、Envoyの調査では、ハイブリッドワーカーやリモートワーカーの半数近くが近接性バイアスの影響を被る可能性に気づいていないことも示されました。

さらに、リモートワーカーは、スキルアップや昇進につながり得る、ほかの職位や部門の人とつながる機会を逃す可能性もあります。リーダー層とのつながりも希薄になるかもしれません。マネージャにとっては、メンバーのスキルや経験を見出して最大化し、最適な人材を軸に今後の戦略を組み立てる機会が失われることを意味します。

人との交流から取り残される問題

仕事では人との交流も重要です。特に一人暮らしの人など、1週間の中での対人的な関わりのうち、職場の人間との交流が大半を占めるという人も多いでしょう。それがなくなれば、孤独感、気分の落ち込み、ストレスにつながる可能性があります。あるいは、対面していれば気づけていたのに顔を合わせない日が何週間も続くと気づけないような問題が、悪化してしまうこともあるかもしれません。出社の頻度に差があると、「出社組」と「リモート組」が心理的に分断される可能性もあります。これはチーム全体にとってマイナスです。ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョンが浸透した職場を作るどころか、それに逆行することになります。

長らく出社してこなかった社員は、コミュニケーションの不足によって、あるいは場合によってはジェンダー、文化の違い、障がいによってすでに隅に追いやられていたために、つながりが断たれたと感じ、オフィスに戻らないことを積極的に選ぶこともあるでしょう。

職場でエクイティを築く方法

職場でエクイティを築く方法

問題は、どのようにハイブリッドワークのメリットを最大化し、すべての人にとってDEIを実現するかです。ハイブリッドな職場にエクイティを浸透させるための12のポイントを紹介します。

在宅勤務の環境をサポートする

家具や機材を提供するなどして、誰もが適切な勤務環境に平等にアクセスできるようにします。

チームのことを知る

社員一人ひとりのことを知り、各々の意見を聞き、定期的に連絡を取るようにします。アンケートを使ってそれぞれの要望と目標を尋ね、個々のニーズに基づいて何をするべきかを考えましょう。

つながりを築き、強化する

リモート組と出社組との間でつながりを築き、強化しましょう。オフィスと在宅の人をつなぎ、その人たちが互いに連携して平等に責任を取れるようにします。

コミュニケーションを重視する

コミュニケーションと情報共有のためのプラットフォームを使って、質問を尋ね、進捗を確認し、提案に耳を傾けて行動で応えましょう。

チーム作りに力を注ぐ

人を集めてチーム作りのためのアクティビティを行う時間を作りましょう。

トラブルに向き合う

個人の問題に対処できるように備えておき、全員がチームに戻れるようにしましょう。

「カメラオフ」とミーティングに出ない時間を許可する

いつでも画面に顔を出すことを求めて、リモートワーカーやハイブリッドワーカーを苦労させないようにしましょう。ただし、毎回カメラをオフにしている人がいる場合は、何らかの問題が起きている兆候かもしれません。

対面のイベントを企画する

特別な研修や集まりの機会を作って、全員が顔を合わせて互いのことを知れるようにしましょう。

先回りしてメンタリングする

メンタリングを行って、各人の進捗、関心事、仕事での成長目標を把握し、考慮するようにします。

透明性を高める

ビジネスの物理拠点から離れて働く社員がいる場合は、誰もが決定事項や戦略を把握し、それに対して意見を述べられるようにすることが今まで以上に重要になります。

テクノロジーに投資する

テクノロジーが優れたものであればあるほど、リモートワーカーやハイブリッドワーカーのエンゲージメントとインクルージョンが向上します。VRやARを使えば、オンボーディングやミーティング、トレーニングを、どこで働く人にとっても楽しく、魅力的で、インクルーシブなものにすることができます。

誰もがすべてのリソースを平等に簡単に利用できるようにする

このリソースには、テクノロジーや機材に限らず、調査資料や背景情報も含まれます。

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