従業員の士気とは

Robert M Guion氏が1950年代に指摘したように、士気は個人に属していますが、幅広い文化と経験から生じるものであるため、その概念は複雑です。Guion氏が言うように、それは「仕事の総合的な状況」なのです。

士気は「個人のニーズがどの程度満たされているか、そして個人がその満足感を仕事の総合的な状況から生じるものとしてどの程度認識しているか」によって決まる、とGuion氏は定義しています1

この概念は、個人的であると同時に、より大きなものの一部です。士気の本質を明確にしようとする場合、ほとんどの定義では、満足感や、職場は一連の基本的なニーズを満たす必要があるという考え方に触れています。心理学的アプローチでは、士気は心の状態だと説明しています。ある研究では、それを「協力しようとする意欲を決定付ける精神状態または個人やグループの態度」と呼んでいます2

Workplaceを使って業務を簡素化

オフィス勤務再開の周知からハイブリッドワークの導入まで、Workplaceは業務を簡素化します。

従業員の士気がどのような意味を持つかについて深く考えると、士気は孤立して存在するものではなく、次のようないくつかの問題と重なっていることが明らかになります。

  • 職場文化 - 従業員の高い士気または低い士気の源泉になる
  • 従業員のエンゲージメント - 満足している個々の従業員が高い士気に寄与する
  • 従業員体験 - 会社での個人の体験、つまり職場でどのように感じているかが士気の重要な要素になる
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従業員の士気と職場文化は密接に関連しています

従業員の士気が重要な理由

従業員の士気が重要な理由

士気が高まるとその組織はより強くなりますが、士気が低下していると、組織が衰退します。次に、士気のレベルが大きな影響を及ぼすいくつかの領域について説明します。

従業員のエンゲージメント

士気は従業員のエンゲージメント(連帯感と組織への献身)と同じではありませんが、必要不可欠な要素です。士気が低いと、従業員が仕事に注力したり取り組んだりする可能性が低くなります。また、Gallup3によると、従業員のエンゲージメントがあからさまに低い場合、つまり、不満足を「態度に出す」場合は、士気が著しく損なわれます。

生産性

士気が高い場合、従業員は楽しんで仕事をします。つまり、従業員は仕事をより効率的に行うほか、仕事を達成するために、自分の裁量でさらに努力します。しかし、士気が低い場合は、生産性が低下します。

熱意が持てないタスクに取り組んでいる場合であれ、とても憂うつなので病欠の電話をする場合であれ、従業員に満足感が欠如していると、日々のタスクや大きなプロジェクトに深刻な影響を与える可能性があります。また、生産の損失以外にも、多くの形態の出費が重なります。Forbesによると、従業員の有給病気休暇のために、年間1,600億ドルのコストがかかっています

有能な人材の維持

職場で満足感や達成感を得られる従業員が組織にとどまりたいと考えるのは当然です。その結果、企業はビジネスに関する知識、経験、専門技術を維持できるようになります。また、企業は新しい有能な人材を見つけるためのコストを節約できます。これは、人材採用プロセスやトレーニングにかかるコストを考慮すると、想像以上の節約になります。

顧客体験

「スタッフが幸せなら、顧客も幸せになる」という表現は決まり文句のように聞こえるかもしれませんが、調査は、それが事実であることを示しています。Harvard Business ReviewがGlassdoorの従業員レビューとAmerican Customer Satisfaction Index (ACSI)の評価を調べた結果、Glassdoorの高い評価と顧客満足度スコアの上昇が対応していることが明らかになりました。

その一方で、スタッフの満足度が低い場合は、顧客とクライアントがその「悪い雰囲気」に気付くのは時間の問題です。オフィス内の1つのチームにとって悪い1日だったと片付けてしまうようなことが、ビジネス上の大きな損失になる可能性があります。PricewaterhouseCoopers (PwC)によると、世界中の消費者の32%は、悪い体験に1回遭遇するだけで、お気に入りのブランドから離れます。この数字は、ラテンアメリカでは49%に跳ね上がります。

チームのコラボレーション

チームと個人の士気が高いと、従業員は適切にコラボレーションできるようになり、意見を聞いてもらったり、言いたいことを伝えたりできることで安心できます。チームの良好なコラボレーション(責任を明確にして、ほかのメンバーが行う仕事を信頼し、全員が共通の目標を共有します)は、士気を高めて、好循環を作り出すことに役立ちます。その一方で、チームの士気の低下は、最も顕著な障害の1つであり、チームが効果的にコラボレーションすることを妨げます。

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従業員の士気が高いと、チームのコラボレーションと生産性を向上させることができます

何が従業員の士気に影響を及ぼすのか?

何が従業員の士気に影響を及ぼすのか?

士気は従業員が個人および集団として感じるものですが、職場環境の多くの要素が士気に影響を及ぼします。ここでは、そうした要素を8つ取り上げます。

  • リーダーシップ

    最高のリーダーはトップダウンでチームの士気を高めることを支援し、ベストを尽くして仕事をするようにチームを鼓舞し、組織の従業員に必要な肯定的な態度を身をもって示します。しかし、リーダーの能力が低い場合は、スタッフがやる気を失ったり、そのエンゲージメントが低くなったりする可能性があります。このようなリーダーは、細かく管理しすぎたり、チームメンバーの適切な評価に失敗したりして、従業員を信頼していないことをあからさまに態度で示します。その結果、従業員の意欲が失われます。

  • ワークライフバランス

    健全なワークライフバランスを促進することは、士気を高めるうえで重要です。仕事が私生活に悪影響を与えているとチームメンバーが感じると、不満が高まるのは当然です。リモート勤務やハイブリッド勤務の場合、仕事と家庭生活の境界があいまいになりやすいため、リーダーはこの問題に特に気を配る必要があります。

  • 報酬と評価

    従業員の成果を祝福すると、従業員は高く評価されていると感じ、さらに成果を上げようと考えるでしょう。グループチャットでチームメンバーを単に称賛することであれ、プレゼントやクーポンで報いることであれ、小さな意思表示が従業員の態度に劇的な変化をもたらします。

    実際、大層な報酬は必要ありません。Reward Gatewayの調査によると、マネージャが「ありがとう」とより頻繁に言うだけで、意欲と士気が高まるだろうと75%の従業員が回答しています。

  • コミュニケーション

    適切なコミュニケーションのツールとプロセスを提供することは重要ですが、士気を維持するには、コミュニケーションが真に双方向である必要があります。適切なタイミングで適切なソフトウェアを使用してチームメンバーを会話に引き入れることはできますが、マネージャや同僚が従業員の助言に基づいて行動していないと感じると、従業員はすぐに疎外感を感じます。

  • 変更

    変更は適切に管理されると、従業員の士気を高める力をもたらします。ソフトウェアの刷新やオフィス空間の改善がきっかけで、何より大事なチームの熱意が高まる場合があります。その一方で、変更が従業員を動揺させる可能性があります。リモート勤務に切り替える際に士気を維持することが問題だったと65%の従業員が答えています4

    例えば、リーダーシップの変更がチームの自信に影響を与え、チームメンバーが会社での将来の待遇に関して不安を感じるようになる場合があります。そのため、変更を実施したときは、透明性とコミュニケーションが非常に重要になります。

  • トレーニング

    効果的なトレーニングにより、スタッフは自信を持ってタスクに取り組めるようになります。その一方で、組織が従業員に提供するトレーニングが不十分な場合、従業員は不満を持つようになります。また、昇進の機会またはその欠如も士気に影響を及ぼします。そのため、明確なキャリアパスを示すことが重要です。

  • 職場での安全

    職場で健康と安全を推進することは、従業員に対する道義的責任であるだけでなく、スタッフが仕事をはるかに簡単に進められるようにして、欠勤を減らし、生産性を高めることに役立ちます。

  • 仕事の性質

    会社の日々の仕事はビジネスの核であり、チームの士気にとって、最も重要な要素の1つです。タスクが単調または空虚に感じられると、仕事に対する従業員の満足感にすぐに影響が及びます。従業員は、高いレベルのストレスを受けることなく、やりがいのある仕事をしたいと考えています。

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従業員の士気を維持するには、報酬と評価が重要な要因になります

職場での士気の低下を示す兆しは何か?

職場での士気の低下を示す兆しは何か?

組織が士気の問題を抱えていることを示すいくつかの兆候があります。次のような前兆に注意する必要があります。

スタッフの高い離職率

スタッフが士気の低い企業から離職する確率は、士気の高い企業の場合よりも高くなります。したがって、チームメンバーの転職が通常よりも多い場合は、全社規模の問題を示している可能性があります。

従業員の定着率を算出するには、一定期間(例えば1年)の最後の日に残っている従業員数を最初の日にいた従業員数で割ります。算出した数値に100を掛けるとパーセンテージが得られます。

欠勤

チームの欠勤率を調べることによっても、従業員の士気を評価できます。スタッフが職場で満足してない場合、病欠の電話をしたり、最悪の場合は、精神衛生上の問題のために病気になったりする可能性が高くなります。英国で実施された調査では、常習的な欠勤により70%の中小企業の収益性が損なわれていることが明らかになっています5

否定的な態度

同僚やそのグループが否定的な態度を表している場合、低い士気が原因である場合があります。チームメンバーがあまり自発的に行動しなかったり、ほかのメンバーのアイデアを不当に批判したりする場合があります。こうした態度が見逃されていると、日々のタスクを進めたり、より大きな問題のソリューションを見つけたりすることが困難になるほか、士気がさらに低下する可能性があります。

対立

同僚間の対立ほどチームを不幸にするものはありません。従業員がお互いの違いを理性的に解決できない場合、それは何らかの問題がある兆候です。

誤った情報

通常、うわさ話がまん延している職場では、チームの士気が低くなります。誤った情報が広まっているとすれば、それは、多くの場合、誰かがコミュニケーションを適切に取っていないことを示します。場合によっては、何も言わずに、うわさ話が広まるままにするよりも、悪いニュースを共有したり、自分の欠点を認めたりする方が安心感を得られることがあります。

パフォーマンスの低下

従業員が期限を守らなかったり、頻繁に間違いを犯したりする場合は、士気の低下を示している可能性があります。問題は、過大な仕事量、優先順位の変更、またはさまざまな原因の組み合わせから発生することがあります。物事がうまくいかなくなったとき、正常な状態にする前に、全責任を負い、うまくいかなくなった理由を尋ねることが肝心です。

ビジネスリーダーはどうすれば従業員の士気と企業文化を高めることができるでしょうか?

士気を高める方法: 5つの役立つアドバイス

士気を高める方法: 5つの役立つアドバイス

どうすれば従業員の士気を高めることができるでしょうか?次のアドバイスに従えば、社内で士気を高めることができます。

  1. 士気をモニタリングする

    従業員体験に関するアンケートへの記入を求めて、スタッフの考え方を把握します。これらのアンケートは、従業員が仕事についてどのように考えているかを理解することに役立ちます。アンケート結果の匿名性を保持して、誰もが正直に回答できると感じるようにします。

    回答が得られたら、アクションプランを作成して、改善する必要がある領域に対処することが重要です。そうすれば、スタッフは、自分たちの心身の健康が真剣に考慮されていると分かって安心します。真に透明な文化を構築するには、結果をチームと共有し、チームと一緒に次のステップを決定する必要があります。

  2. コミュニケーションを改善する

    特に従業員が実際の活動から遠く離れていると感じるハイブリッドチームでは、コミュニケーションを明確かつ頻繁に取ることが、信頼感を育むことに役立ちます。動画によるコミュニケーションを活用したソリューションや、アイデアを簡単かつ効果的に共有するために必要なツールをすべてチェックしてください。

    すべての従業員向けに、さまざまな問い合わせを誰にいつ送信すればよいかが理解できるポリシーを作成する必要があります。そうすると、タスクに関与している全員が価値のある貢献を行えるようになります。実際に士気を高めて、信頼感を育むには、定期的なフィードバックをチーム全体に求める必要があります。意見を表明する機会を従業員に提供すれば、従業員は高く評価されていると感じられるようになります。

  3. チームの成果を祝福する

    多くの場合、従業員の成果を評価することの重要性を理解している組織では、チームの士気が高くなります。マネージャは小さな成功やより大きな成功を祝福して、従業員の仕事を認めていることを示します。そうすると通常、従業員はさらに熱意を持って同じような仕事に取り組むようになり、その目的意識を新たにします。

  4. 心身の健康を重要視する

    心身の健康を重く見ている会社で働きたいと誰もが考えています。その重要性を組織に示すことは、想像よりも簡単です。ハイブリッドチームの一員として柔軟に働くために必要なツールを従業員に提供すると、チームではワークライフバランスの管理が簡単になります。

    それ以外にも役立つ取り組みはあります。具体的には、業務専用のメールの導入、ミーティングなしの時間帯の設定、昼休みの取得をチームに奨励、妥当な時間に退勤できるようにすることなどが挙げられます。生活をより良いものにし、そのプロセスでチームの士気を高めることを可能にする小さな変更については、企業やそのスタッフを教育することに特化したウェルネスプログラムが多数あります。

  5. チーム編成のために時間を取る

    新型コロナウイルス感染症の世界的な流行下では、スタッフの研修日や同じ物理的な空間にいるチーム全員の交流が予定されることはありませんでしたが、これらのイベントをオンラインで実施すると大きなメリットがあります。また、制限が緩和された今、通常の環境以外でつながりを持つ時間を取ることにより、士気を大幅に高められるようになります。

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