新型コロナウイルスの拡大前は、デジタルトランスフォーメーション戦略を持っている、またはそれに基づいて経営している企業は70 %でした。1パンデミックを1年経験したことで、当社では企業(およびその変革の過程)がどのくらい影響を受けたのかを調査してみたいと考えました。

特に、仕事の「ニューノーマル」という考え方がより複雑かつ微妙な意味合いを持つようになり、二度と「ノーマル」には戻らないかもしれないという考えに進化した過程を調査することに当社では興味がありました。人とコミュニケーションしながら学習・勤務することに依存 する仕事の世界が、リモート勤務を行いつつ、つながりを保ちながら職場文化を構築していく過程です。

パンデミック後の世界における従業員体験

パンデミックは、人々の予想をはるかに超える大混乱をもたらしました。しかしそれは、一部の産業にとっては大きなチャンスでもあります。多くのビジネスリーダーは、「従業員体験」を会社の基本方針の最優先事項に置くことで、デジタルトランスフォーメーションを促進し職場文化を改善できることに気づき始めています。

2021年の従業員体験に関するトレンドと今後の見通しを、以下に述べていきます。

オフィスの再開

この必読ガイドをダウンロードして、かつてない変化が起きている今、人びとが直面しているチャンスと課題を探りましょう。

従業員体験から人間としての体験へ

従業員体験から人間としての体験へ

従業員体験を中心に考えることは、別に革命的なトレンドではありません。しかし、パンデミックの間のリモート勤務の増加により、従業員体験はビジネスの現場での会社員としての体験から家庭での個人的な体験へと様変わりしました。

今は、職場での従業員の体験ではなく生活全体を支えることに企業は注目しなくてはなりません。Gallagherによる「State of the Sector 2021」レポートでは、デジタル戦略のフォーカスが「ピープルアジェンダ」と呼ばれるものに移っていることを強調しています。

社員が期待することに変化が見られる3つの主な領域を次に挙げます。

共通の目的意識とコミュニティ意識の醸成

共通の目的意識とコミュニティ意識の醸成

社員の3/4は雇用主に対して目下の社会問題や文化の問題に対する姿勢を示すことを期待しており、その期待は昨年を通じてさらに強まりました。会社はもはや、その時々の社会や文化の議論に対する意見を持たずに時流を切り抜けることはできません。

福利厚生の再定義

福利厚生の再定義

「従業員体験」は、家族の責任や個人の興味といった、個人的な要素を考慮したものでなくてはなりません。たとえば、パンデミックの影響は女性の雇用に不公平な悪影響を及ぼしました。社員の状況を考慮したときに、不要なストレス要因を取り除ければ、人は仕事により専念できるようになります。それぞれの人に適した福利厚生を設定しましょう。ひとつで全員に対応するようなものではもはや不十分です。

柔軟な勤務形態

柔軟な勤務形態

ほとんどの人は、ハイブリッド勤務環境が続くという見解で一致しています。その結果、社員はなんとかして、長期にわたるオンボーディングと社員エンゲージメント戦略に適応する必要があります。社員が勤務地にかかわらずハイブリッドな作業場での文化を構築できるようにサポートすることが、今後は不可欠になってきます。また、リモートワーカーが、それほど人とふれあう機会がなくても最初から職場文化に所属しているという意識を持てるようにすることも重要になります。

それぞれもう少し詳しく見てみましょう。

Host view of the Workplace and A video experience

こちらの7つのアドバイスを参考に、オフィス再開に向けて全社員と情報を共有しましょう

共通の目的意識とコミュニティ意識の醸成

共通の目的意識とコミュニティ意識の醸成

社員は自分の価値観と合った会社で働きたいと考えており、自分が働く会社は世の中で何かの役に立っていると信じています。

この目的意識とコミュニティ意識によって、社員が組織の価値観と使命に有意義な影響を与え、一体感を持てるようになるのです。またこのような社員は、仕事においても生活においても良い結果が出ていると報告しています。2

重要な社会的、政治的問題に対する自分の立ち位置を定期的に伝えることで、仕事での日々の貢献において自分が役に立っているという自信と居場所をスタッフに与えましょう。

そのための方法は2つあります。

そのときの実状を社員に示して状況を説明する

そのときの実状を社員に示して状況を説明する

そのためにはどうすればよいでしょうか。リーダーの言葉の分かりやすさに注目し、リーダーに自分の言葉で伝えるように促すのです。組織の中で起きていることをごまかさず、時事的に重要な問題が発生しているときにリーダーがどう対処するのか、社員にはっきり見せましょう。

次に、企業戦略を明確に示す必要があります。これは早い段階から頻繁に行いましょう。社員を早い段階からその戦略に巻き込み、そこに関わらせて「内情を知っている」感覚にさせた上で、その戦略を市場に発表しましょう。

社員が仲間を容易に見つけられるようにする

社員が仲間を容易に見つけられるようにする

リソースを整理しましょう。インクルージョンを促す適切なプログラムやリソースを社員が容易に見つけられるような中心的スペースを確保しましょう。

そして、何度も繰り返して伝えましょう。定期的なタウンホールミーティングや質疑応答を行うよう、リーダーに促しましょう。これらのイベントを、社員が最新ニュースや意見を真っ先に聞ける実際の機会であることを大規模に発信しましょう。

各コミュニティが、同じアイデンティティを持つ人をつないだり在宅勤務する人をサポートしたりするためのオンライングループやチャット、定期的なミーティング枠を設けるスペースを作りましょう。

福利厚生の再定義

福利厚生の再定義

社員が必要とすることを理解するための新しい方法があります。福利厚生や「特典」は、医科歯科の保険だけを指すものではなく、その他数多くのメリットを社員にもたらすものとなっています。自社が真っ当な支援を提供していることを確認するため、スタッフにとって重要なことは何かを定期的に尋ねてみましょう。

注目すべき領域として、精神的・心理的な健康があります。2020年3月には、68 %の企業が、社員がパンデミックを乗り切るための新しい福利厚生制度を1つ以上導入しています。3また、これまで身体的な健康について提供してきた方法と同様に、社員のメンタルヘルスを重要視する会社も増えてきています。

福利厚生を分かりやすくする

福利厚生を分かりやすくする

人事部門に権限を与え、福利厚生の内容に関する情報を社員にきちんと伝えて質問に対応することで、社員が情報を理解した上で福利厚生の選択を判断できるようにするよう促しましょう

しかし何よりも、福利厚生の情報をわかりやすい場所に置くことが重要です。福利厚生の内容は、わかりやすいフォーマットでアクセスしやすい場所にまとめて置いておきましょう。内容は定期的に更新しましょう。情報のありかをスタッフに明確に示し、フィードバックをくれるよう、またエンゲージメントを高めるよう促しましょう。

社員の観点から福利厚生を見る

社員の観点から福利厚生を見る

スタッフは福利厚生に関心を持っているでしょうか。尋ねてみたことはありますか。社員が福利厚生についてどう感じているかを確認し、そのような会話を安全に行える場所を作りましょう。

受け取ったフィードバックは集めて活用しましょう。定期的にアンケートを行って、社員がどのような福利厚生を求めているかという情報を見つけ、その支援を提供しましょう。

それを実現するには、マネージャーに説明責任を持たせることが有効です。一対一での面談をマネージャーに促し、福利厚生についての考えをフィードバックとして集め、休暇の取得や、燃え尽きの防止に役立つその他の福利厚生の活用をスタッフに促しましょう。

柔軟な勤務形態

柔軟な勤務形態

柔軟な勤務形態はこの数年で劇的に進化しましたが、まだ多くの組織では特権であると考えられています。パンデミックの発生時、雇用主はオフィスを閉めて、社員にリモートでの勤務を許可しました。中にはそれが初めてだったところもあるでしょう。

それから18か月があっという間に過ぎ、一部の企業ではビジネスの現場にスタッフを戻す準備を進めていますが、それよりも多くの企業が、この新しいハイブリッドな勤務モデルを受け入れています。

そのような企業では、柔軟な勤務形態のポリシーの定義も進化しています。多くのビジネスリーダーはすでに、フレキシビリティによってパフォーマンスが向上することに気付いています。Gartnerの調査によれば、働く場所や時間、仕事量を社員が自分である程度選べるようにすると、「優秀な社員」という評価を獲得する社員が19 %増加します。4

社員が自主的に自分の勤務スケジュールを決定できるようにする

社員が自主的に自分の勤務スケジュールを決定できるようにする

そのためにはまず、オープンな対話を促すことが必要です。社員の希望について率直に話してみましょう。どのように働きたいか、どこで働きたいか、また仕事に使うツールの希望を、スタッフに話してもらいましょう。

リモート勤務への移行は困難な作業でした。ハイブリッドな職場への移行も同様です。リモートチームを率いるために必要なツールとスキルを、マネージャーに支給しましょう。

そして、それぞれのツールやシステムの目的を明確にしましょう。自分が見たいスタッフの動きや働き方を模倣してみるよう、各リーダーに促しましょう。たとえば「オンライン会議をしない」日を提唱するのであれば、マネージャーに前例を作るように働きかけましょう。

Natasha WhiteはWorkplace from MetaのScaledアカウントマネージャでHRトランスフォーメーション&テクノロジースペシャリストです。

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