社員が仕事に専念し続けること、そして絆を保つことは非常に重要です。社員を惹きつけるための長期的な戦略を立てることができる組織は、より強力な従業員体験を作ることができるものです。

特に効果が高い4つの社員エンゲージメント戦略と、よりポジティブな職場を構築するための取り組みを始める方法をご紹介します。

社員エンゲージメント戦略とは?

社員エンゲージメント戦略とは?

社員エンゲージメントの取り組みとして、誰もが思い浮かべるものと言えば、チーム作りの日々、持ち寄りランチ、カウンセリングプログラム、スピーカーイベントなどでしょう。いずれも組織の中で社員を支え、団結させることができるものです。

しかし、これらは社員エンゲージメント戦略と言えるものではありません。

戦略とは、社員エンゲージメントを図るための長期的なプログラムの根拠となるものであり、かつ包括的な計画です。考え抜かれた戦略こそ効果が生まれます。それらを導くシステムのない取り組みは、明瞭性に欠け、効果も半減します。

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効果的な社員エンゲージメント戦略の構築

効果的な社員エンゲージメント戦略の構築

社員エンゲージメント戦略は、いわゆる「エンゲージメントを向上させる要因」を特定することから始まります。言い換えれば、社員が大切にしているもので、社員と組織をより密接に結びつけるきっかけになるものは何でしょうか?

エンゲージメントを向上させる要因は、大体どの組織でもほぼ似ています。これには、次のようなことが含まれます。

  • 心の健康
  • ワークライフバランス
  • 評価と報酬
  • キャリアアップ
  • 職場の福利厚生
  • 個人の自主性
  • リーダーシップ
  • ダイバーシティとインクルージョン

戦略というと、組織が取り組むべき課題に焦点が当てられることがよくあります。欠勤率や生産性の低さといった、社員エンゲージメントの向上を実現させることで企業が改善できる課題です。組織にとってエンゲージメントを向上させる主な要因が決まったら、戦略構築の次の手は、その要因に関するパフォーマンスを確認することです。それを戦略の基盤とし、継続的な改善のベンチマークとして利用していきます。

社員エンゲージメントの測定方法

社員エンゲージメントの測定方法

効果的な戦略を構築するためには、現在の社員エンゲージメントの測定と改善が必要な分野の評価が必要になります。これを行うために、社員エンゲージメントの向上につながる主な要因に基づいて、定期的な従業員満足度調査を実施することも1つの方法です。

雇用主は、社員エンゲージメント調査の結果を分析することで、データの中に潜むパターンを明らかにできます。この調査により、社内でエンゲージメントの高いポイントと低いポイント、またそれと相関するその他の要因(職場環境、マネジメントのスタイル、フィードバックの頻度など)が何なのかが示される可能性があります。これらの洞察を活かしてさらに探求していくと、社員エンゲージメント戦略の開発や改良に役立ちます。

結果は2つの観点から見ることができます。1つは相対的なエンゲージメントの観点からであり、性別、民族性、年齢などの個人の特性によるものです。もう1つは、職務や勤務形態などの職務上の特性による観点です。

データを詳細に調査するほど、社員エンゲージメントのプログラムのターゲットがより絞られていきます。例えば、特定の部署でウェルネスが特に良くないことが明らかになったり、特定の年齢層のスタッフが現在よりも高い報酬や評価を必要と感じていることが判明することがあります。その場合は、その課題を解決するための目標を設定し、取り組んでいくことができます。最初の調査をベンチマークとして、一定期間後に再度調査を行い、改善の有無を確認できます。

オンライン調査を利用すると、結果の集計や分析が容易になり、ミスや管理上の労力を減じるという点で明確なメリットがあります。また、携帯電話やタブレット端末に配信できるデジタルアンケートを利用すると、フロントラインのデスクを持たない社員に簡単にアプローチし、つながることができます。

社員エンゲージメント調査アンケートはどのようなものか?

社員エンゲージメント調査アンケートはどのようなものか?

社員エンゲージメント調査では、一般的にリッカート尺度による質問形式が採用されます。この調査では、一文とともに、「強くそう思う/そう思う/どちらとも言えない/そう思わない/まったくそう思わない」の5段階評価の回答が設定されています。

リッカート尺度の場合、社員がそれほど労せず自分の思いを表現できるため、社員エンゲージメント調査に適しています。また、個々の回答はすべて同一のフォーマットで提示されることから、測定や分析も簡単です。

社員エンゲージメント調査の質問例となるものをいくつかここで紹介します。

  • 「自分の勤務先の会社で働くことを誇りに思う」
  • 「自分の勤務先の会社を働きやすい職場として人に勧められる」
  • 「上司は目をかけてくれ、話をよく聞いてくれると感じる」
  • 「2年後、5年後、10年後にこの会社にいる自分の姿を想像できる」
  • 「事業の大きな変化については、常に情報提供されている」
  • 「会社のビジョンを知っており、支持している」
  • 「今の会社は、自分のキャリアにプラスになる研修やチャンスを提供してくれる」
  • 「システムやプロセスが整備されているため、自分にとってベストな仕事ができる」
  • 「仕事ぶりが良ければ認めてもらっていると認識し、やりがいを感じる」

社員エンゲージメントの測定について詳しくはこちらをご覧ください。

社員エンゲージメント戦略の責任者とは?

社員エンゲージメント戦略の責任者とは?

人事部門は、給与や福利厚生、研修、ウェルネスプログラム、有給休暇などの重要な要素を直接に管理する場であるため、戦略的な計画を策定し、従業員のエンゲージメントを維持する上で非常に重要な役割を担っています。また、組織全体のリーダー、部門、個人をつなぐ重要な機能もあります。

人事部には、社員エンゲージメントの基準を設定し、それをサポートする戦略を設計する責任があります。また、組織全体の指針となる、従業員体験の基準やベストプラクティス、社員エンゲージメントのベンチマークを示すことが出来るのも人事部です。

しかし、人事がすべてではありません。Forresterの調査 によると、「あなたの会社の従業員体験を最も左右する人は誰ですか?」という質問に対して、一般的には人事部という回答が最も多いはずですが、そのように回答した社員は30%未満でした。その代わり、体験の責任は会社全体に分散されていました。

つまり、戦略を立てるのは人事部ですが、それを実行に移すのはほとんどの場合は管理職の責任なのです。Gallup社の調査によると、チームのエンゲージメントのばらつきの70%は、1人の管理職の行動に起因していることが示唆されています。また現実的には、エンゲージメントの責任の一端は従業員本人にもあります。Organizational Journal of Behaviorに掲載されたある研究によると、エンゲージメントのばらつきの48%は社員の性格的な特徴の違いに起因しています

特に効果が高い4つの社員エンゲージメント戦略

特に効果が高い4つの社員エンゲージメント戦略

効果的な社員エンゲージメント戦略を作り出すために適用できるいくつかの基本原則があります。

1.コミュニケーションをとり、話を聞くこと

KangとSungによる最近の論文では、社員エンゲージメントと双方向コミュニケーションの関連性が明らかになりました。社員への明確なメッセージだけではなく、社員の声に耳を傾け、フィードバックの機会を多く設けていることも、社員エンゲージメントの高い企業であることを表しています。

2.研修と能力開発

社員エンゲージメントは個人的な充実感や長期的なコミットメントを必要とするため、キャリア開発や研修を提供することはプラスの効果があるとされます。従業員に投資し、本人がその能力を発揮できるようにすることで、社員が会社にコミットするのと同様、会社側も社員にコミットしていることを示すことができます。

3.職場のアイデンティティに縛られない

社員エンゲージメントは総体的で、仕事上の役割だけでなく、完全な個人としての社員を対象にしています。ワークライフバランスやウェルネスプログラムは、誕生日や結婚、出産などのライフイベントを職場で祝うことと同様に、社員エンゲージメントにおいて重要な役割が担っています。Workhumanの2019年の研究によると、職場でのライフイベントの祝い方に満足している社員の場合、自分の会社は働きやすい職場であると回答する割合が約2倍になります。

4.エンゲージメントを促すためのテクノロジーの利用

現代のビジネスは、特に新型コロナウイルス感染症の影響から、人々が仕事をこなし、互いにコミュニケーションをとるための職場のテクノロジーへの依存度が高まっています。アクセスや利用がしやすく、人と人が簡単につながって容易にイノベーションを起こすことができるテクノロジーを選択している組織では、エンゲージメントが向上するチャンスがあります。

ミレニアル世代のための社員エンゲージメント戦略の策定

ミレニアル世代のための社員エンゲージメント戦略の策定

1980年以降に生まれた人々、すなわちミレニアル世代(Y世代とも呼ばれています)とZ世代の社員は、今後10年間で労働力の半分以上を占めると予測されています。これらの世代は、企業への忠誠心、リモートワーク、仕事のやりがいといった問題に対して、年上の世代とはまったく異なる考え方を持っているというエビデンスもあります。

例えば、PWCの調査では、職場の福利厚生に関して、ミレニアル世代はキャッシュ以上に本人の学びや柔軟な働き方を重視していることが明らかにされています。Gallup社によると、米国の労働者の中でも最もエンゲージメントの低い層に相当するのがこの世代であり、エンゲージメントが示されているのはわずか29%で、16%は会社と距離を置いていると明確に述べています。

では、ミレニアル世代には特別に社員エンゲージメント戦略が必要なのでしょうか?プランを立てる際にミレニアル世代特有の悩みを考慮に入れることは意味があるかもしれません。しかし、組織が自社の労働力に注目し、エビデンスを集め、それに基づいて対処することもまた重要です。

社員エンゲージメント戦略のメリット

社員エンゲージメント戦略のメリット

社員エンゲージメントの重点化、測定、最適化を体系的かつ念入りに行うことにより、ビジネスにとっての即時的なメリットと長期的なメリットの両方がもたらされます。

こうした方法により、生産性を向上させ、チーム内の関係を強化し、管理職による働きかけの効果を高めながら、ストレスの多い時期にはレジリエンスを育むことができます。エンゲージメントの高い社員は、より良い顧客体験を提供し、より革新的なアイデアを生み出すことができます。

また、質の高い従業員体験は口コミで広がったり企業に関する評価で紹介されたりすることが多いため、エンゲージメントが高くなることで人材の獲得と定着にも役立ちます。エンゲージメントを重視することは、企業における強力なコミュニケーションチャネルとベストプラクティスの構築につながり、結果として将来の成功にも結び付きます。

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