すべての社員がやる気に満ち、仕事に満足し、組織の成功のために全力を尽くしていると思いたいところですが、エンゲージメントは魔法で起こるものではありません。そのために大きな役割を果たすのが、社員エンゲージメントの取り組みです。

Workplaceを使って業務を簡素化

オフィス勤務再開の周知からハイブリッドワークの導入まで、Workplaceは業務を簡素化します。

2020年の調査によれば、米国の労働者のうち仕事に意欲を感じている人の割合はわずか36%に留まっており、社員の心をつかむには無料ランチを何度か配るだけでは不十分なようです。

社員エンゲージメントが上がらず、出口の見えないトンネルに迷い込んだような気がしているなら、今こそ行動を起こすべき時かもしれません。ここでは、社員エンゲージメントの取り組みが組織にもたらす効果について解説します。

社員エンゲージメントの取り組みとは?

社員エンゲージメントの取り組みというと、おそらく多くの人が、無料の果物やジムの会員権といった特典や福利厚生を思い浮かべるでしょう。しかし、実際には、社員の能力を最大限に引き出して、仕事で基本的に要求されること以上の働きをしたいと思わせるものであれば、何でもかまいません。

社員エンゲージメントの取り組みは通常、社員の育成、業績向上、職場での満足度の向上を支えるよう設計された広範な計画の一部を構成するものです。一般的な例として、以下が挙げられます。

  • 成長の機会を提供する構造化されたキャリアパス
  • 月ごとの社員表彰や成績優秀社員へのギフトカード進呈などのインセンティブ
  • 社内コミュニケーションプラットフォームへの週次投稿で、その週に活躍した社員を紹介
  • 疎外感や情報不足を感じる社員が出ないよう、最新の社内ニュースについてのブリーフィングを定期的に実施
  • 業務の改善や経費節約のアイデアを提案できるバーチャル意見箱
  • スタッフから対処すべき問題を聞き上げるための、定期的なラインマネージャーミーティング
  • 表彰式と親睦会を年次開催
社員エンゲージメントの取り組みが企業にもたらすメリットとは?

社員エンゲージメントの取り組みが企業にもたらすメリットとは?

社員エンゲージメントの取り組みは、あらゆる事業に付加価値を与え、具体的な成果を生み出します。

高い生産性と収益性を実現する

エンゲージメントの高い社員が、そうでない社員よりも優れたパフォーマンスを発揮するのは驚くことではありません。そのような社員は自分の仕事に真摯に取り組むため、概して仕事が早く、ミスも少ないのです。さらに、上司から大切にされている実感があれば、常にベストを尽くさなければという責任感も生まれます。これらがすべて生産性に、ひいては収益性につながるのです。全体として、社員エンゲージメントの高い組織は、生産性が17%高く、収益性が21%高いことがわかっています。

社員定着率の向上

社員が自分の仕事を楽しめない、またはやりがいを感じられない場合、離職の可能性が高くなります。定期的に建設的なフィードバックを受け、目標を持ち、良い仕事をしたときに認められる社員は、放任された状態の社員よりもエンゲージメントが高いことが多くの研究で示されています。社員の離職率が低ければ、リソースの大幅な浪費となり得る、採用、研修、退職の悪循環を避けることができます。

仕事への満足度の向上

自分の仕事に満足していない社員は、エネルギーや熱意に欠け、しばしば職場に対して否定的な見方をするものです。それが周囲の人に伝われば、士気が下がり、全体的な生産性が低下します。キャリアと自己啓発の両方を促進する取り組みは、社員とその勤務先である企業との結びつきを強めることになります。これは仕事の質を上げることにつながり、顧客満足度にもプラスに働きます。

欠勤率の低下

チームの一員であることを楽しみ、仕事を雑用とみなさない社員は、仕事に行きたいと思うものです。Gallup社の調査では、エンゲージメントの高い職場は、欠勤率が41%低いとの結果が出ています。

社員が自分の仕事にしっかりと取り組んでいない場合、自社の事業に対する責任感も低く、仕事を休むことをあまり躊躇しません。これはチームの他のメンバーに負担をかけ、作業負荷を増やすことになり、ストレスや不満を招きます。

リモートワーク中のエンゲージメント維持
リモートワーク中のエンゲージメント維持

新型コロナウイルス感染症の世界的流行を受け、数百万人もの人々が在宅で仕事をし、リモートワークが急速に世界のトレンドになりました。また、一部の企業は、パンデミック後もこの方式を恒久化する計画をすでに発表しています。そのような状況において、職場のエンゲージメントに対する取り組みの効果を持続させるにはどうすればいいのでしょうか。

リモートワークは、上手に管理できれば、社員エンゲージメントを向上させることができます。多くの場合、社員は自分に合った時間で勤務することができ、自分の裁量で業務を行うことについて、上司が信頼を寄せてくれることに感謝の念を抱きます。また、毎日の通勤から生じるストレスが軽減されるとともに、オフィスでの雑務や非生産的な会議も減ります。

しかし、リモートワークに課題がないわけではありません。社員が孤立感や孤独感、また同僚との距離感を感じる可能性があります。上司との連絡が少なくなり、支給されるテクノロジーが旧式のものであったり、非効率的なものである場合もあります。在宅勤務者はオンとオフの切り替えが難しく、燃え尽き症候群になるおそれもあります。これらすべてが、企業の文化、コアバリュー、社員エンゲージメントの維持を難しくする要因となり得ます。

コミュニケーション

リモートワークが定着すると、効果的なコミュニケーションが不可欠となります。例えば、それぞれのチームがオフィスの中で隣り合って仕事をすることがなくなるため、互いに質問をするための迅速かつ簡単な方法が必要になります。また、各タスクの開始時に社員に明確なブリーフィングを行い、その後も定期的なビデオ会議を開催して、直接対話する機会を設けることも非常に重要です。

テクノロジー

頻繁にクラッシュするコンピューターや速度の遅いインターネット接続ほど、イライラするものはありません。チームが効率的に仕事をするには、信頼できるノートパソコンと高速ブロードバンドへのアクセスが必要です。また、ダウンロードに時間のかかるメール添付よりも、プロジェクト管理プラットフォーム、ビデオチャット、インスタントメッセージといった効率的なリモートワークツールを使う方が有益です。

オフィス文化

リモートワークをしていると、オフィスでの人との交流がなくなったことを寂しく思う時もあるかもしれません。社員エンゲージメントを維持するには、人との交流や、オフィス文化がもつ楽しい面を取り入れることも必要です。ビデオ通話の開始時には、週末の過ごし方や子どもの様子を尋ねるなど、近況報告の時間を設けましょう。また、オンラインコンテストや架空のスポーツリーグ、仕事を手伝ってくれるペットの写真掲示板など、楽しい企画を用意することもできます。

企業における社員エンゲージメントの9つの取り組み

企業における社員エンゲージメントの9つの取り組み

社員の意欲を高める社員エンゲージメントの取り組みはいくつでも導入できるものですが、効果的の高いものをいくつか考えてみましょう。

1. 正式なオンボーディング

経験者なら分かると思いますが、新しい仕事を始めるときにはナーバスになるものです。新しい同僚と出会ったり、社内ソフトウェアの使い方に慣れたり、自分の置かれている立場を把握したりと、気を遣うことは多々あります。正式なオンボーディングプロセスがあれば、勤務初日、あるいはそれ以前から教育を行うことができ、歓迎の気持ちを伝えるとともに必要なサポートを提供できるので、新規採用者が落ち着いて仕事を始められます。企業に効果的なオンボーディングプロセスがある場合、新入社員の定着率が82%向上します。

2. メンタリングとコーチング

先輩と後輩のマッチングを行うメンター制度は、コラボレーションと個人の成長を促します。これはつまり、たとえオンラインであっても、質問や相談ができる相手がいるということです。キャリアアップや昇進の余地があるとわかれば、社員が会社に留まる可能性も高くなります。社員が定期的なコーチングを受けている企業では、業績が21%高くなることが分かっています。

3. 表彰プログラム

社員の功績を認め、褒めるべきところで褒めることが重要です。自分の勤勉さが高く評価され感謝されていると感じられれば、社員は雇用主のために良い仕事をし続けたいと思うものです。Deloitteによると、しっかりとした表彰制度がある企業は、報酬なしで高い業績を求める企業よりも離職率が30%低いとのことです。

ただし、人はそれぞれ異なるため、適切な褒め方を見つけるのは簡単なことではありません。多くの人に認められることを望む社員もいれば、目立つのが苦手でプライベートなメッセージや贈り物の方がよいという社員もいます。大切なことは、過度に競争の激しい環境を作るのではなく、チームメンバーのモチベーションを高めることです。

4. 離職防止のための面談

退職面談は、社員の退職理由を知るうえでは良い方法ですが、退職を考えている可能性のある人をつなぎとめる助けにはなりません。離職防止のための面談により、手遅れになる前に介入し、人材流出を防止する方法を知ることができます。自分のキャリア目標や、その目標を達成するために何が必要かを、社員に聞いてみましょう。これにより、本人のモチベーションを理解し、前進するために必要なサポートを提供することができます。

5. 社員の意見

社員の意欲を高める簡単な方法の一つが、ストレスの度合いや仕事に適したツールを備えているかなどについて、定期的に社員の意見を聞くことです。全社員にアンケートを配布すると、チームのエンゲージメントレベルを即座に把握できます。定量化が可能な形で社員のエンゲージメントを測定することは、簡単ではありません。しかし、社員満足度調査やスナップ投票は、組織全体の雰囲気をリアルタイムで測定する優れた方法です。

6. コラボレーションツール

メールやイントラネットなどの面倒なシステムの代わりにインスタントコミュニケーションツールを利用することで、社員がどこにいてもつながりを維持できます。これは全社的な発表に最適で、チームが一緒にプロジェクトに取り組みやすくなります。社員の72%が、テクノロジーは全体的な生産性にとって重要であると答えており、適切なツールを持つことがエンゲージメントレベルを大きく変える要因となり得ます。

7. 知識の共有

知識の共有をサポートするオープンで透明性の高い文化は、社員のエンゲージメントとモチベーションを高める鍵となります。多くのチームが、自分たちのプロジェクトとワークスペースのみに目を向け、社内の他の人たちが何をしているかについてはあまり知る機会がありません。コンテンツやテクノロジー関連のヒント、そして新しいアイデアを共有できているチームは、はるかに速く進化することができます。他の人のアイデアを糧にすることは、さらに多くのことを成し遂げるための刺激になるのです。

8. 社員の心と体の健康を改善

心身ともに健康な社員は、生産性が高く、欠勤も少ないため、事業の時間とコストを節約することができます。心と体の健康を奨励する制度により、社員は十分な休息を取り、集中力と注意力が高い状態で仕事に取り組むことができます。また、仕事以外でも健康的な生活を送るよう社員に働きかけることもできます。米国の労働者の61%が、会社のウェルネスプログラムのおかげで、より健康的なライフスタイルを選択できたと回答しています。実施できる取り組みとして、定期的なヘルスクリニックの開設、自転車通勤制度、健康的な軽食の無料提供などがあります。

9. ワークライフバランスの改善

特にロックダウン中は、柔軟性のある働き方やリモートワークを認める企業が増えたことで、多くの人がワークライフバランスのメリットを享受できるようになっています。一方で、長時間労働をこなしながら子どもに家庭学習をさせようとして、燃え尽き症候群になる人もいます。そのため、企業は、仕事と家庭の両立に悩む社員を支援するための施策を検討する必要があります。仕事は、柔軟性のある働き方ができればもっと楽しくなります。

社員エンゲージメントの取り組みの進め方

社員エンゲージメントの取り組みの進め方

社員エンゲージメントの取り組みに万能のアプローチはありません。自社の事業に最適なものを見つけ、それに応じてポリシーを変えていく必要があります。週刊ニュースレターの創刊など、すぐに成果が出るものがある一方、より戦略的なレベルでの社員エンゲージメントの一環として実施すべき取り組みもあります。ウェルネスプログラム、人事考課、オンボーディングプロセスなどの制度は、結果を測定し、長期的にその影響を確認できるよう、人事部の意見を取り入れて決定する必要があります。

いずれの場合も、社員が自身をプロセスの重要な一部分であると感じられる文化を作ることが重要です。社員が望むことがわかっていると思い込まないようにしましょう。また、理想を言えば、会社全体の事業目標、チームの目標、そして個人の目標の間に整合性があることも必要です。

人事部、ラインマネージャー、上級社員など、誰が取り組みの進捗状況を追跡するのかを明確にします。社員エンゲージメント委員会を設置する、社員エンゲージメントの専門家を雇用して戦略を監督してもらう、などの方法も考えられます。

社員エンゲージメントの取り組みを最大限に活用するには

社員エンゲージメントの取り組みを最大限に活用するには

社員エンゲージメントのプログラムは、一度決めたら変えられないものではありません。社員に変化があった場合や、特定の取り組みが受け入れられなくなった場合など、状況に応じて進化する継続的なプロセスであることが求められます。

プロセスの再評価を継続的に行い、リモートワークやオフィス勤務の社員の声を集めてプロセスの改善点を特定します。社員エンゲージメントを定期的に測定し、データを分析し、社員にとって何が効果的かを判断しましょう。また、特定の目標を設定することも有益です。例えば、スタッフの定着率が問題になっている場合、今後12か月で離職率を10%削減するという目標を立てることができます。

社員を刺激する要因を理解できるようになると、社員エンゲージメントの取り組みをよりパーソナライズすることができます。

社員の「ペインポイント」、つまり高いエンゲージメントレベルを維持するために対策が必要となる時点を分析するには、社員のジャーニーマップ(社員が会社に勤めているときに経験するさまざまな段階を視覚化したもの)を使うこともできます。

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