コーディネーションとコラボレーション: その重要な違いを理解する

コーディネーションとコラボレーションは何が違うのでしょうか。いつどちらを重視するべきなのでしょうか。

チームのコラボレーション | 所要時間: 8分
コーディネーションとコラボレーションの違い

コーディネーションとコラボレーションの違い

音は似ていますが、コーディネーションとコラボレーションは別物です。特に職場ではその違いが顕著です。コーディネーションなくしてコラボレーションはあり得ませんが、コーディネーションにコラボレーションは必須ではありません。

ここで、コーディネーションとコラボレーションの定義を見てみましょう。

  • コーディネーション: プランやアクティビティに関わっているすべての人を組織的に協力させること。

  • コラボレーション: 2人以上の人が協力して1つのものを作ること、または達成すること。

何が違うのかというと、コーディネーションはタスクの計画段階に関わり、コラボレーションは実行段階に起きる点です。これは元の英語単語を見ると分かります。「coordination」の「ordinate」は「順序立てる」(つまり「計画を立てる」)の意で、「collaboration」の「labor」は「仕事」の意、そして「co」は「一緒に取り組む」を意味します。

このように定義を見てみると、もう1つ別のアプローチが浮かびます。そう、「コオペレーション(cooperation)」です。「他者と協力する」や「頼まれたことをする」を意味する言葉です。コオペレーションは、計画段階と実行段階のどちらにも関係し、コーディネーションとコラボレーションの両方を補う不変のものです。

適切なときに適切なアプローチを取らなかった場合、どうなるのでしょうか。その答えはシンプルです。必要ないタイミングでのコラボレーションは、進行を遅らせ、意思決定を妨げる原因になります。コーディネーションが欠けていると、2人が同じタスクに取りかかってしまったり、同僚の決定や成果物を待つ間にタスクが遅れたりする可能性があります。どちらの場合も、時間を無駄にし、リソースの使い方を誤り、損失を出すことになります。そこにさらに、締切や取引先への影響が加わります。

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職場でのコーディネーションが重要になる場面

職場でのコーディネーションが重要になる場面

コーディネーションがプロジェクトの計画段階で求められることは分かっています。タスクを段取りよく進めるには、まず、必要な仕事をすべて綿密に計画しなければならないからです。

だからと言って、コーディネーションは何も単純なプロジェクトに限った話ではありません。実際、計画を立ててから取り組む手法は、依存関係の多い複雑なプロジェクトや、遂行前にほかのタスクの完了を待たなければならないタスクの管理に特に有効です。部門横断チーム間で発生する仕事がその典型です。

コーディネーションは、予測可能なタスク、つまり遂行過程で目新しい学びがありそうにないタスクの段取りをつけるのにも有効です。プロセスとその成果が直線的な経路をたどる場合、プロジェクトマネージャは自信を持って仕事を他者に任せることができます。

とはいえ、いくら先の見通しのきくプロジェクトであっても、想定外の事態や脱線が皆無ということはありません。よって、職場でのコーディネーションを継続的なプロセスと捉え、定期的に成果物やその締切を確認し、プロジェクトのほかの部分への影響を把握することが重要になります。

コーディネーションは、他者に知恵を借りたり指示を仰いだりせずとも自律的に仕事を進めてよいという許可をチームに与えるものです。これにより、自律的かつ同時並行的に仕事を進めてもらえます。また、コーディネートされたタスクは、人を増やすことで作業のスピードアップを図れます(コラボレーションの場合、そうは行きません)。

最後のポイントとして、コーディネーションは繰り返し発生するタスクに効果的です。同じタスクを何度も遂行してそこから学びを得れば、今後発生しそうなあらゆる問題に対して組織として計画を立てられるようになります。

職場でのコラボレーションが重要になる場面

職場でのコラボレーションが重要になる場面

コラボレーションは学びを得るための手段と捉えましょう。これは、新しいことに取り組むときに最も意味を持つアプローチです。多様な人を集め、その人たちの知識と視点を結集すれば、問題を解決し、互いを補い合ってより良い結果を成し遂げることができます。不測の事態やリスクが生じる可能性はありますが、協働することで、プロジェクトで「知らなかった」が発生するのを最小限に抑えられます。

協働的なアプローチが特に効果を発揮するのは、ゴールは分かっているがそこにどうやってたどり着けばいいか分からないというメンバーが1人でもいる場合です。コーディネーションするときにコラボレーションが役に立つ理由の1つはここにあります。同僚とともにプロジェクトの計画を立てることは、タスクに関わるものをもれなく把握するのに有効で、決定を下すときに効いてきます。

コラボレーションの大きな利点の1つは、即応性です。2人で同時にドキュメントを編集するといった場合には、フィードバックや修正をほとんど即座に行えます。これは、不明点をつぶすだけでなく、仕事の質を上げるのにも有効です。

それだけではありません。Zippiaによれば、75%の人が職場でのコラボレーションを「非常に重要」なものと位置づけています。共同で作業することから生まれる仲間意識と、社員の離職率が50%減ることとの関係が指摘されていることは、何も不思議ではありません。

職場でのコーディネーションを成功させるための5つのポイント

職場でのコーディネーションを成功させるための5つのポイント

1.トレーニングを提供する

職場でのコーディネーションを向上させるには、トレーニングが確実です。例えば、任せたいタスクについて学べる基本コースを受けさせたり、最新のプロジェクト管理スキルを身につけさせたりしましょう。組織の業務遂行能力や段取り力を高めれば、仕事への新しい取り組み方を見つけ、効率化を達成できる可能性が高まります。

2.役割を明確にする

自分の役割を明確に把握している社員は53%にすぎないという調査結果もあります。ここは大いに改善の余地ありです。改善できれば、コーディネート力の向上に直結します。同じ調査では、役割を明確に把握している社員のうちの86%が、効果的に働けていると回答しています。そのうえ、役割を明確に把握している社員のうちの84%が、現職に留まる意向が高いと回答しています。

3.目標を明確にする

Forbes誌の記事の中で、「明確さの女王」ことAnn Latham氏は、社員の時間の最大80%が非生産的な活動や混乱に吸い取られていると述べています。対策はシンプルなものでいいのです。例えば、「用語を共有する」「優先事項を最小限に抑える」「進捗を見える化する」などをすれば、何を目指しているのかを社員が把握しやすくなります。

4.フィードバックを促す

プロジェクトのコーディネーションは継続的なプロセスです。どれほど綿密に計画されたタスクであっても、遂行中と完了後に注意を向ける必要があります。プロジェクトに対して継続的にフィードバックできるようにしておけば、リソースや、締切超過などの問題が発生するリスクに目を光らせることができます。何より、次回に向けて一段と強固で効率のよい計画を立て始めることができます。

5.コストを監視する

どのプロジェクトでも最重要事項の1つですが、チームで1つの目標に向かって動いていると予算のことが脇に置かれてしまうことがあります。プロジェクトリードを任命し、成果物を細分化すれば、必要なリソースに見当を付け、タイムラインを作り、情報に基づいてコストを予測することができるようになります。予算を作ってそれを守るということをしないと、タスクが未完のままになり、収益に悪影響が及びかねません。

職場でのコラボレーションを成功させるための5つのポイント

職場でのコラボレーションを成功させるための5つのポイント

1.慎重にチームを選ぶ

チームを編成するのは簡単なことではありません。各人の強み、知識、行動を考慮に入れ、そうした要素がどのように補完し合うのか、あるいは衝突しかねないのかを考える必要があります。チームメイトの働き方を一人ひとりに聞いて回れば、コラボレーションを成功させやすくなります。

2.コミュニケーションチャンネルを設ける

仕事の中でデジタルコミュニケーションツールを使う時間は、1週間に平均20時間にも上ります。知識、スキル、視点の多様さを活かしきるには、組織に適したプラットフォームを見つけることが欠かせません。アイデアの共有や議論をシームレスに行えるチャンネルなら、最高の結果を達成できる可能性を最大限に高めることができます。

3.目的を明確にする

キックオフミーティングを実施して、最初から強い目的意識を植え付けましょう。十分に時間をかけて役割をはっきりと定め、一人ひとりに明確な役割を割り当ててください。これを対話的に行い、チームメンバーが自由に質問や意見を言えるようにすることで当事者意識の醸成を図ります。全体目標に対する自分の仕事の価値に疑問を感じた場合にそれを表明できる手段を用意しておきましょう。コラボレーションで大きな成果を上げている人は皆、これを実行しています。

4.信頼を築く

コラボレーションは互いの信頼がなければ成り立ちません。リーダーが「このチームメンバーなら高い水準の仕事をしてくれる」と信頼し、チームメンバーが「このリーダーは組織に適した決断を下している」と信頼している必要があります。おそらく何よりも重要なのは、協働する者同士(特に部署が違う者同士)が、「この人はベストを尽くしてくれる」と互いに信頼し合っていることでしょう。信頼が組織の重要課題であると考える被雇用者が41%に留まっている現状では、社員間の信頼を築くことで大きな競争力を得られるかもしれません。

5.成功を称える

計画したことを成し遂げたら、成功を称えましょう。仕事の結果だけでなくコラボレーションのスキルを高く評価していることを社員に伝えれば、「当社はこうあるべき」というメッセージが伝わります。社員の個人目標にコラボレーション関連の目標を含めることで、将来の成功へとつながる文化を育むことができます。

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