フロントラインマネージャとつながることがビジネスにとって有益な理由

最新の調査によって、ビジネスに欠かせないフロントラインマネージャが組織から軽視されている実態が判明しました。調査から得られたデータの分析を行い、コミュニケーションの問題を解決してフロントラインマネージャとつながるための5つの方法を検証します。

ビジネスコミュニケーション | 所要時間: 8分
frontline managers - Workplace from Meta

フロントライン社員は、デスクを持たない社員または分散している社員とも呼ばれます。こうした社員の職種は多岐にわたり、ショップ店員、調理スタッフ、トラック運転手、看護師、パイロット、セールスチーム、工場作業員などが含まれます。

過去数年で、テクノロジーによってフロントラインワーカーとのつながりを構築しサポートを提供する方法に、大きな注目が集まるようになりました。適切なビジネスコミュニケーションツールを使用することで、フロントラインワーカーに発言の機会を与え、企業内のコミュニケーションに参加できるようにする方法が検討されてきました。しかし、ここで見過ごされがちな問題が1つあります。それは、フロントラインマネージャという役割です。

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フロントラインマネージャをつなげるべき理由

多くの企業においてフロントラインマネージャは管理職の最下層に位置するため、経営幹部が限られた時間を割いてその存在に注目することはほとんどありません。しかし、データを見ればこれは明らかに間違いだとわかります。

フロントラインマネージャの割合は管理職の約60%を占め、最大で全社員の80%を管理しています。これは、フロントラインマネージャが大きな影響力を持っていることを意味します。ところが、Coleman ParkesがWorkplaceの代理で実施した最近の調査から、フロントラインマネージャの59%が本社によるキャリア育成が行われていないと感じていることがわかりました。また、日常的な顧客対応を直接担当するチームの管理者の中で、顧客に影響があるビジネスの意思決定に関して上位者と話し合う機会が定期的に設けられていると回答したのは43%のみでした。

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簡単な方法で社員とつながり、サポートするための7つのステップ

多くの企業では、本社とフロントラインとの間には紙一枚でつながっているような弱い関係しかありません。これは文字どおりのことを意味しており、ビジネスコミュニケーションの主な手段として、いまだに掲示板やポスターが使用されているのが現状です。上級管理職が毎月店舗や工場に足を運ぶ場合もありますが、従業員の頭痛の種を山ほど作り出すだけで、それ以上のことを達成できているかは疑問です。

調査では、新型コロナウイルス感染症に対応する形でビジネスコミュニケーション戦略が改善されていることが示されてはいるものの(組織内のコミュニケーションギャップがあると考えるフロントラインマネージャがパンデミック前後で60%から25%に減少)、フロントライン社員と本社社員との間にはいまだに根本的な隔たりがあります。

このことは、いくつかの重要な点に表れています。まず、本社社員とフロント社員が会話に使用するツールが違うことが問題です。本社管理職社員のうち90%がロックダウン中にメールを使用してコミュニケーションを行っていたのに対し、同様にメールを使用していた担当部署のフロントライン社員は全体のわずか4分の1でした。半数以上のフロントラインマネージャは、メールの代わりに個人用デバイスのメッセージアプリを使用するようになっています。

しかし、さらに問題と思われるのは、フロントラインマネージャとオフィス勤務のマネージャでは所属する職場の文化が違うという認識があることです。パンデミック中にフロントライン社員に対する共感が深まったと回答した本社管理職社員は全体のわずか25%でした。この結果は、自分が抱えている問題について以前よりも本社担当者の理解を得られるようになったと回答した59%のフロントラインマネージャにとって予想外のものでしょう。

フロントラインマネージャは、本社社員とのつながりの欠如についてはそれほど深刻な問題と感じてはおらず、主要な任務であるチームの運営、問題の解決、顧客のサポートに集中さえできればよいということでしょうか。ただし、これは実情とは異なります。マッキンゼーの調査によれば、フロントラインマネージャは多い時で勤務時間の60%を管理業務に費やし、実際の運営業務に割く時間は10%程度しかありません。

こうした状況は、個人のモチベーションに悪影響を与えるだけではありません。80%の社員を管理しているフロントラインマネージャ一人ひとりのストレスがたまれば、あっという間に会社全体に影響を及ぼす問題に発展しかねません。

フロントラインマネージャの能力を引き出せるようサポートする方法

フロントラインマネージャの能力を引き出せるようサポートする方法

フロントラインマネージャが軽視されているのは、なぜなのでしょうか。特に企業の中心的なビジネスプロセスにフロントラインマネージャが深く関わっている場合には、このことが問題になります。忘れてはならないのは、多くの場合、顧客にとってはフロントラインマネージャが企業の顔になるという点です。顧客に最良のエクスペリエンスを提供するために、企業の顔となる社員がポジティブな状態でいられるようにする必要があります。

フロントラインマネージャの役割に関する古い考え方も、つながりの構築について切迫感が欠けている理由の1つとなっています。従来、フロントラインマネージャは、管理職側と従業員側をつなぐ役割にすぎないと考えられてきました。トップからの情報を伝えたり、会社のポリシーに基づいて措置を講じたりすることだけが任務とされてきたのです。

ここでは、ビジネスにおいてはるかに重要な役割を担うことができるフロントラインマネージャの能力が見落とされています。前述のように、フロントラインマネージャは顧客と日常的に接するチームを管理しています。つまり、顧客のインサイトやフィードバックにアクセスできる独自の立場にあるということです。フロントラインマネージャは効果を出していることとそうでないことを把握しており、おそらくその理由も理解していますが、本社がこの情報を得るのはずっと後になってからです。

企業はこの役割が持つ可能性を活かすことができるよう、フロントラインマネージャが自分だけが知りえる機会をとらえて決定を下したり行動したりできるよう、サポートするべきなのです。それなのに、意思決定を任されていると感じているフロントラインマネージャの割合がパンデミック中に64%から50%に減少してしまったのは残念なことです。反対に、意思決定を任されていると回答した本社管理職社員は71%から78%に増加しました。フロントラインマネージャの自己決定権を推進するどころか、企業は今、かつてないほど中央集権化の傾向を強めています。

フロントラインマネージャとつながり、サポートするためのアドバイスについては、 こちらのガイドをダウンロードして7つの重要な戦略をご確認ください

この傾向を覆すには、どうすればよいのでしょうか。

企業は戦略を立てることにより、フロントラインマネージャとつながり、育成と意見の反映を継続して行う必要があります。この取り組みは、フロントラインマネージャを本社(経営幹部を含む)、部下、同僚とつなげることから始まります。企業がフロントラインマネージャとつながることが、その能力を活かすために必要な情報、ツール、トレーニングを提供するための唯一の方法です。

これが実現すれば、トップの決定が堅固な階層構造を通じて下に向かって徐々に浸透していく企業から、組織の下層部が獲得したインサイトや知見を次々と上層部に伝えて正確な情報に基づいた決定を行う企業へと変化を遂げることができます。

  1. 上級管理職からの情報収集は、直接かつ速やかに行いましょう
  2. 質問を投げかけ、フィードバックしましょう
  3. 企業にとっての優先順位を把握しましょう
  4. フロントラインマネージャの同僚とコミュニケーションをとりましょう
  5. フロントラインマネージャのチームとコミュニケーションをとりましょう

こうしたことを実行することで、フロントラインマネージャ個人にとってのメリットだけではなく、より広い意味での企業にとってのメリットも得られます。

フロントラインマネージャとつながることの5つのメリット

フロントラインマネージャとつながることの5つのメリット

1: マネージャのモチベーションが高まることで、顧客満足度が改善される

1: マネージャのモチベーションが高まることで、顧客満足度が改善される

フロントラインマネージャが本社とつながると、ビジネスゴールと戦略に関する情報にアクセスしやすくなります。これにより、企業の目標に対する自分のチームの貢献度と全体的な戦略における役割を容易に把握できるようになるため、マネージャのモチベーションが高まります。

企業全体として見ると、フロントラインマネージャは従業員のモチベーションとエンゲージメントに大きな影響を与えます(先に述べたように、フロントラインマネージャは最大で全社員の80%を管理しています)。つまり、マネージャのモチベーションが上がればチームのエンゲージメントが高まり、結果として社員の意識も顧客体験も向上するのです。

2: マネージャに自己決定権を与えることで、企業のフットワークが軽くなる

2: マネージャに自己決定権を与えることで、企業のフットワークが軽くなる

マネージャをつなげると、その役割はただ情報を伝えるだけにとどまらなくなります。企業の戦略における自分の役割を把握できるので、自分で意思決定を行い、自発的に問題を解決できるようになります。単に問題の対応を上位者に引き継いだり、問題に対処せずそのままにしてしまうようなことはなくなります。

企業にとっては、組織全体のフットワークが軽くなるというメリットがあります。問題の特定と解決をすばやく行うことができるようになるため、事態が悪化して他の部署に影響が及ぶような状況を防ぐことができます。長期的には、これが企業のつながりの強化と生産性の向上につながります。

3: マネージャの影響力が増すことで、より的確な判断ができるようになる

3: マネージャの影響力が増すことで、より的確な判断ができるようになる

企業の最前線で働くマネージャは、従来は経営幹部と接触する機会がほとんどありませんでした。フロントラインマネージャとのつながりを作ることによって、他では得られない生の意見を聞き、会社全体の改善につながる意思決定に活かすことができます。

これは企業の経営方法を大きく変えることになります。経営陣が役員室に集まって、工場での生産性が下降していることを示すチャートを分析している光景を思い浮かべてみてください。数字を説明するために、いくつもの理屈を並べることはできます。しかし、ライン監督者から実際に話を聞けば、他の方法では知りえない現場レベルの意見を得られるのです。これにより、より迅速で的確な意思決定が可能になります。

4: マネージャのエンゲージメントが高まることで、職場文化が醸成される

4: マネージャのエンゲージメントが高まることで、職場文化が醸成される

CEOや最高人事責任者(CHRO)は、多くの時間を費やして企業文化を改善するための戦略を練ります。しかし、こうした戦略は現場で実行されるものであり、その戦略の重要な理解者となるのがフロントラインマネージャです。企業とつながったマネージャは、企業文化を体現する存在となる可能性が高く、時間をかけて意欲的にその文化をチームに伝えようとします。

企業はこの点に注目すべきです。なぜなら、ビジネスの長期的な健全性にとって、利益だけではなく人材が極めて重要だという認識が高まっているためです。もちろん、CHROがすべての職場を管理することは不可能です。フロントラインマネージャを企業文化の担い手として活用することで、人材育成プログラムの規模を飛躍的に拡大して大きな成功を収めることができるようになります。

5: マネージャが十分なトレーニングを受けることで、長期的なパフォーマンスが向上する

5: マネージャが十分なトレーニングを受けることで、長期的なパフォーマンスが向上する

これまで、多くの企業はフロントラインマネージャのトレーニングに多額の費用を投じてきませんでした。同僚同士がつながっていれば、ベストプラクティスを共有したり、質問をしたりすることで、日常的なトレーニングを簡単に行えるため、めったに(またはまったく)実施されることのない授業形式のトレーニングの機会を待つ必要はありません。

十分なトレーニングを受けた社員が企業に与える影響は明らかで、生産性と顧客サービスが向上し、解雇率が低下します。さらに、長期的には、公式・非公式を問わずトレーニングに費用を投じることにより、現代の職場における中心的存在としてフロントラインマネージャに期待される役割について、より根本的な意識変革を促して定着させることが可能になります。

まとめ

まとめ

フロントラインマネージャは、組織の中で非常に重要な役割を担っているにもかかわらず、最も軽視されている存在だと言えます。従来は、会社のポリシーに基づいて措置を講じたり、トップからの情報を下に伝えることがその任務とされてきました。しかし、テクノロジーによってフロントラインマネージャが経営幹部や自分のチーム、同僚とつながることで、企業がフロントラインマネージャに意思決定や問題解決を任せることができるようになり、さらにその効果が下層部から上層部へと波及するようになります。

企業とつながったフロントラインマネージャは、モチベーションが向上し、自律的に行動できるようになり、影響力も大きくなります。さらに、十分なトレーニングを受けることで、企業文化の変革に寄与することもできます。こうしたメリットはすべて、ビジネスに直接大きな影響を及ぼします。

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