チェンジリーダーシップ: 定義、秘訣、戦略

変化が加速するなかで、成功するチェンジリーダーシップの重要な要素とは何でしょうか。そして優れたチェンジリーダーになるにはどうすればよいでしょうか。

リーダーシップ | 所要時間: 8分
Change Leadership

「変化こそこの世で唯一不変のものである」。2,000年以上も前の言葉ですが、ギリシャの哲学者ヘラクレイトスのこの格言は、現代にも通用します。この数年はビジネスリーダーにとって極めて重要な時期でした。多くのリーダーは、素早く適応することの必要性を実感してきました。

ここでは、チェンジリーダーシップのコンセプトと、それが重要である理由、またチェンジリーダーシップと変更管理との重要な違いを学んでいきましょう。

変化と不確実さのなかでリードする

変化と不確実さのなかでリードする

パンデミックによる広範囲な経済的ショックに続き、進化し続ける組織変革によって、職場は常に流動的な状態のように感じられます。今日の破壊的なビジネス環境では、今までにないスピードで変化が起こっています。

マッキンゼーの調査によると、企業変革に向けたアクションが多ければ多いほど、成功するチャンスは大きくなるという結果が出ています。とはいえ、世界中の3分の2以上の企業にとって、組織のパフォーマンスを改善させること(とそれを維持すること)は、いまだに困難です。

パンデミックによって私たちが学んだことは、外的要因をコントロールすることはできなくても、変化を通して組織をリードする方法はコントロールできるということです。常に課題はつきものですが、明確な戦略とポジティブな考え方があれば、組織はより強くなり、より早く立ち直ることができます。

大きな変化の時代のなかで、社員がリーダーに求めるのは安心感と方向性です。従来のリーダーシップ手法では、現在の多様性に満ちた仕事の世界を動かすことはできません。人は、明確なビジョンを持ち、包括的で、とりわけ背中を押してくれる、共感力のあるリーダーを求めています。

優れたリーダーは、恐怖や不安を抱いて後退するのではなく、時の変化を利用して、人々を前進させていきます。単に変化を乗り越えるだけでなく、積極的に組織内から成長する機会をもたらすよう心がけましょう。

テクノロジーの進歩により時間に余裕が生まれ、イノベーションを起こし、考え、人とのつながりを作ることができるようになります。変化に怯えるのではなく、楽しむことによって、仲間を次のレベルへとリードしていくことができます。

動画を見る

動画を見る

Simerjeet Singh氏は、受賞歴のある基調講演のプレゼンター、リーダーシップのエキスパート、マインドセットコーチです。成長型マインドセットを取り入れ、リーダーが変化に対応できるよう支援しています。変化する時代のリーダーシップについて、インタビュー動画全体をこちらからご視聴いただけます。

チェンジリーダーシップとは?

チェンジリーダーシップとは?

チェンジリーダーシップとは、現状に挑み、他者に影響を与え、行動喚起する能力を持つことです。積極的なアプローチで、人々を中心に据えて意思決定を行います。過渡期のリーダーシップには、トップダウン型組織の変革も含まれます。チェンジリーダーは、強制するのではなく、管理者やチームメンバーと一緒に変化を統一することで、この変革を促進します。

組織的なイニシアティブであれ、市場の変動であれ、コントロールできない不測の事態であれ、変化への対応は困難がつきものです。特に、外的変化への対応は特に厄介です。たとえば、ハイブリッドワークの導入や供給問題に対処するためのプロバイダーの変更など、リーダーの機敏な対応が必要になります。

チェンジリーダシップは通常、反動的に行われる変更管理とは異なります。短期的な成功を目指して行われる変化の管理には限度がある一方、チェンジリーダーシップは、はるかに破壊的で長期的な取り組みとなります。

ハーバードビジネススクールは、長期的な影響を与える変化をリードするうえで、採るべき3つの役割を明確に定義しています。

  • アジテーター – 個人やグループの不満意識を高め、論議を巻き起こす役割です。アジテーターは現状に対する意見を述べ、変化を起こす必要性があることを他者に納得させます。

  • イノベーター – アジテーターが不満の声を上げるのに対し、イノベーターは、その不満に対処する実用的なソリューションを開発します。この状況では、プランナーの役割を果たします。

  • オーケストレーター – イノベーターのプランを用いて、グループや組織、さらに部門を超えて、規模を拡大して実行します。効果的なチェンジリーダーシップにおいて、その取り組みが最も目に見える役割です。

優れたチェンジリーダーは、この3つの役割をすべて果たす必要があります。つまり、イノベーションがなければアジテーションは前進のない単なる不満の列挙に留まり、オーケストレーションのないイノベーションは、影響を及ぼすことのない潜在的な素晴らしいアイデアで終わってしまいます。

社員がつながり合う会社を導くには

eBookをダウンロードして、新世代のCEOが目的、信用、信頼、誠実さを尊重している理由をご覧ください。

優れたチェンジリーダーになるためのヒント

優れたチェンジリーダーになる秘訣

変化をリードするためには、ユニークなスキルセットと性格特性が必要となります。効果的なチェンジリーダーになるには、次の重要な点に長ける必要があるでしょう。

  • 他者を感化する

    リーダーは、変化の時に明確なビジョンを示し、人々を導いていくことが求められます。誰にとってもこのプロセスは怖いものですが、大事なことは、変化に対する恐怖心を好奇心に変えて、賛同が得られないような冒険的事業に時間とエネルギーを投資することを納得させることです。

    優れたリーダーは、誰もがこの変化に加わりたいと思わせるような説得力のある議論から開始します。

  • コミュニケーション

    前述のように、変化には抵抗がつきものです。人々の不安を和らげるには、なぜそれが必要なのかをあらゆる点で説明することが重要になります。マッキンゼーによれば、変化についてCEOが説得力のある話を伝える組織では、変革は5倍以上の確率で成功するということです。

    ただし、コミュニケーションは双方向で行わなければなりません。社員には、変化やその影響について質問したり、フィードバックを提供したりする権限が与えられていると感じてもらう必要があります。今日のハイブリッドの世界では、ビデオチャットや1対1のミーティングなど、多種多様なチャネルの使用は欠かせません。

  • あらゆるレベルのリーダーの育成

    雇用主の83%が、組織のあらゆるレベルのリーダーの育成は極めて重要であると回答していることから、有能な人材を育てるためのコーチングやメンタリングに投資する価値は十分にあります。各部門が独自の文化と責任を確立できるインフラの構築は、生産性からコラボレーションまで、あらゆる面での改善につながります。

    リーダーとして果たせる最も重要な役割は、人とその才能を開花させる環境を創り出すことです。

  • プランニング

    変化で成功するには、戦略的なプランをもってビジョンを現実のものにする必要があります。非常に大まかに言うと、できるだけシンプルにすることです。期待されることを定義し、各自の責任分野、変更を実施するまでのタイムライン、日常業務にどう影響するかなどを明確にします。そうすれば、社員は全体像を捉えることができ、それに向かって明確な目標を持つことができます。

  • 問題解決

    職場にはささいな問題から重大な問題、またはなかなか解決しない問題など、数多くの問題があります。良いリーダーは、落とし穴を見つけるのがうまく、クリエイティブな方法を見つけて解決します。しかし、社員がすべての解決策をリーダーに任せるのは望ましくありません。真の変化を引き起こすには、社員自ら考え、より機敏に、より賢く問題に対処できるようにする必要があります。

  • アイデアの実行

    プランをアクションに移したら、進捗状況を注意深くモニタリングする必要があります。戦略がどう進んでいるか、ワークフローの改善がどのような違いを生んでいるか具体的な証拠を示すには、指標を使うことをお勧めします。

    一部のリーダーは、定期的に意識アンケート調査を実施すると、社員がどう考えているかを追跡でき、起こり得る困難や抵抗に対して前向きに対処できると考えています。

  • 一貫したサポートの提供

    変化には不確実さが伴うため、リーダーは思いやりと理解をもって、チームのそばでサポートする必要があります。リーダーのバックアップを信頼し、意見を聞いてくれると感じたとき、人々はより変化を受け入れるようになります。

    日常的なサポートと社員が懸念を共有できる機会を提供することで、変化によるインパクトを和らげることができます。たとえば、効率よく作業するために必要なツールやテクノロジーはあるか、変化によって彼らの健康にどんな影響を与えているか、などです。

変化を受け入れる組織は、進化と成長を続けるのに適切な位置にいます。一方、変化に抵抗する組織は、停滞あるいは完全な失敗に陥る危険性があります。変化を積極的に追求するには、変化が起こったときに単に反応するのではなく、強く、大胆で、人を感化するリーダーシップとともに、変化を恐れるのではなく、成功するチャンスと捉える社員の積極的な参加が必要となります。

関連情報

社員がつながり合う会社を導くには

今すぐダウンロード
この記事は役に立ちましたか?
ご協力ありがとうございました。

最近の投稿

リーダーシップ | 所要時間: 11分

リーダーシップとは何か?なぜ重要なのか?

リーダーとはどのような存在でしょう?マネージャとリーダーは同じですか?学習を通じてリーダーになることはできるのでしょうか?リーダーになるための要素は何か、良いリーダーシップがビジネスにとって重要なのはなぜかを考えます。

リーダーシップ | 所要時間: 7分

協働型のリーダーシップとは何か、それによってどうチームをまとめるのか

協働型のリーダーは、多様性のあるチームをまとめることで、組織の目標達成や問題の解決、情報共有が可能になると信じています。しかし、リーダーがより協働的になるには、実のところ何が必要でしょうか?さっそく見てみましょう。

リーダーシップ | 所要時間: 4分

リーダーが人生から学んだ3つの教訓

人となりやリーダーとしての振る舞いを形作るのは、実生活でのリアルな体験です。その好例を3つご紹介します。