職場におけるアライシップ

アライシップとは何でしょうか。アライシップは組織にどのようなメリットをもたらすのでしょうか。この記事では、企業文化に影響を与える方法と、本当のアライとなる方法をご紹介します。

カルチャー | 所要時間: 6分

あなたの組織には詳細なDE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)ポリシーがあります。あなたは、多様な人材の採用に努め、外部のトレーナーと協力してインクルージョンの推進に取り組んでいます。しかし、職場の誰もが意思決定の場に参加できるわけではないことも承知しています。

真のインクルージョンを実現するのに足りないのはアライシップなのかもしれません。ここでは、アライシップが企業文化にとってどのような意味を持つのかを考察し、アライ(社会的に虐げられている集団を理解、支援する人)同士がつながるためのコミュニティである「Allyship」の創設者、Chikere Igbokwe氏に専門家としてのアドバイスを伺います。

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アライシップとは

アライシップとは

Forbes誌は、アライシップを「ダイバーシティの力を解き放つための鍵」と表現しています。職場でのアライシップとは、自分自身はそこに属していなくても、社会的に疎外されている集団に属している人びとの擁護者になることです。同僚たちがダイバーシティとインクルージョンの実現を助け、DE&Iの原則を実用的かつ日常的な方法で行動に移すことができるようになるので、アライシップは非常に効果的です。

アライシップが極めて重要なのは、インクルージョンがリテンション、イノベーション、エンゲージメントの実現に役立つ一方で、偏見や排除は企業とその文化にダメージを与えかねないためでもあります。Centre for Talent Innovationのレポートによると、職場で偏見にさらされている社員の33%が疎外感を感じています。これでは、士気が下がるのは確実です。

これには、アライシップの文化で対抗することができます。

「アライは、自分の力、影響力、特権を使って、自分のような力を持たない人びとを擁護します」とChikere氏は言います。「でもそれがすべてではありません。アライシップとは、会話をすること、話を聞くこと、自ら学ぶこと、そして関わり続けることです。」

Chikere氏には、ロンドンで人材採用を担当していた経歴があります。「すぐに利用できる多様な人材のプール」であるその国際都市で働いていた彼女は、特権や影響力がある地位に有色人種がいないのは言うまでもなく、人事の上級職には女性もいないことに困惑しました。

「私は、常にこのことを不思議に思っていました。なぜなら、私が担当していた世界的企業の多くは、ダイバーシティを重要課題と位置づけていたからです」と振り返ります。そして、George Floyd氏の殺害後、彼女は自分のプラットフォームを使って変化を起こすことを決意し、アライシップのコミュニティを立ち上げました。

「ここは安心して勇気を示せる場所です。アライが集まって難しい話をし、アライになることの意味を学んでいます。」と彼女は説明します。このような場所でこのような話し合いを持つことが、アライシップの概念とそれが組織にとってどのように役立つかを理解するための鍵となります。

アライになるには

アライになるには

アライシップは継続的なものであり、一過性のものではありません。Deloitteの調査「The Bias Barrier」では、「日常の行動の一部」とされています。しかし、アライになる方法はどうしたらわかるのでしょうか。そして、何から始めればいいのでしょう。ここでは、いくつかのアドバイスをご紹介します。

自分自身を教育する

アライシップを身につけるための取り組みは、差別について、また自分が持っているあらゆる権限と力について学ぶことから始まります。世の中には多くの資料があるので、まだアライシップに関する議論の準備ができていない組織にいる人でも学ぶことができます。

「書籍、ポッドキャスト、TED Talksなど、手始めに参考にできるものはたくさんあります」とChikere氏は言います。ただし、これは継続的なプロセスであることに注意してください。「常に学習を繰り返し、話し合い、失敗し、気を取り直してはまた続けます。これは生涯続けることです。短距離走ではなくマラソンなのです。」

最も困難だと思うことから始める

真の変化を実現するには、ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョンについて、自分が賛成と思う要素だけでなく、すべての要素について話し合い、行動することが不可欠です。

「DE&Iのあらゆる側面に関する話し合いを受け入れないで、有色人種の同僚、LGBTQ+コミュニティの一員である同僚、女性の同僚の強い味方になることができるでしょうか。」とChikere氏は問いかけます。多くの組織が現在直面している課題は、ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョンの面倒な部分に目を向けることの難しさだと彼女は考えています。

そして、組織は気が進まないこの作業に正面から取り組む必要があります。「何から始めればいいかと聞かれたら、いつも『最も面倒だと思うことは何ですか』と尋ねます。そう、そこから始める必要があるのです。」

安全な場所を見つける・安全な場所を作る

アライシップ実現の最も大きな障壁の1つは、組織と個人の両方が間違った発言をするのを恐れることですが、それもまったく無理からぬことです。キャンセルカルチャー(過去の言動を告発し、それに批判が殺到することで社会的地位を失わしめる社会現象)は現実のものであり、いかなる善意から発した取り組みであっても、失敗したら企業は苦境に陥る可能性があるのですから。

しかし、変化を起こすには、この恐れを克服することが不可欠です。その達成の鍵となるのは、社員が影響を受けることなくアライシップについて話し合える場を作ることです。

「私たちが学びを得るには、集まり、意見を述べ、耳を傾け、会話をする必要があります」とChikere氏は説明します。「そして、その唯一の手段は安全な場所で行うことなのです。」

自分の不完全さを認める

リーダーは上層部からアライシップを推進する大きな役割を担っていますが、そんなリーダーもまた、間違いを犯すかもしれないという恐れを抱きやすいものです。鍵となるのは透明性だとChikere氏は考えています。「リーダーには、『私は人間で、その上これは初めての経験です。自分が専門家だとは言いませんし、多分間違いも犯すでしょう』と言ってほしいのです。本当に正直なリーダーがいれば、より多くの変化が実現するでしょう。」

話を聞く

熱心な聞き手になるということは、自分の考えや周りで起きていることに気を取られずに、相手の話に全神経を集中させることです。また、先入観を最小限に抑えて相手の話を聞けるように、決めつけをしないことも必要です。

遠慮なく意見を述べる

いわゆる「行動する傍観者」でいることが、アライになるための不可欠な要素です。それは、誰かが、例えば無意識の差別のような失礼な対応や差別的な対応をされていたり、何らかの偏見にさらされているのを見たら行動を起こすことを意味します。

それは、必ずしも簡単なことではありません。Deloitteの調査によると、社員のほぼ3人に1人が偏見を目撃したり体験したりしたときに気づかないふりをしたことがあると答えています。行動する傍観者は、社員に明確な手本を示し、他の社員が声を上げたらサポートするという文化の醸成にも貢献します。

“アライは、自分の力、影響力、特権を使って、自分のような力を持たない人びとを擁護します。でもそれがすべてではありません。アライシップとは、会話をすること、話を聞くこと、自ら学ぶこと、そして関わり続けることです。 ”

アライシップを職場に浸透させるには

アライシップを職場に浸透させるには

組織内でのアライシップの擁護について、リーダーには明確な役割があります。ただし、それを実行するにはまず、アライシップの概念とその重要性を理解する必要があります。「リーダーは、まず自分自身を教育することから始める必要があります」とChikere氏は述べています。

またリーダーには、インクルージョンが確保された環境と文化を作り上げ、誰もが十分に安心して質問や議論を行えるようにする責任もあります。

ここで重要となるのがリーダーシップのスタイルです。Boston Consulting Groupの調査では、ダイバーシティを発展させるには参加型のリーダーシップが必須だとされています。マネージャが社員の貢献や、新しいアイデアを積極的に受け入れる姿勢を評価するスタイルのリーダーシップです。

またリーダーとして、すべての答えがわかっているわけではないと認めることも重要です。部下の声に耳を傾けることは不可欠ですが、組織でのアライシップの文化の醸成を促すため、恐れずに外部の専門家を招きましょう。

パフォーマンスだけのアライシップとは

パフォーマンスだけのアライシップとは

アライシップは実践的なものです。変化をもたらすために、学び、話を聞き、サポートすることです。一方、パフォーマンスだけのアライシップは単なるうわべの行動です。私たちは皆、実際には組織の行動と関係のないハッシュタグキャンペーンが行われているのを見たことがあります。LGBTQ+の社員のためのプライドフラッグは6月にだけ掲げられ、それ以外の期間は目を向けられません。黒人の歴史に注目するのは、きっかり1か月間だけです。このような演出は確かに不快かもしれませんが、何が問題なのでしょうか。

Chikere氏は、パフォーマンスだけのアライシップは危険だと確信しています。「積極的な真のアライになるためにしていることではない」と言います。「重要なのは、より積極的なアライが必要だという点です。権力や影響力のあるより多くの人に、その特権を利用して変化を生み出してもらう必要があります。それが変化を起こす唯一の方法なのです。」

アライシップが単なるパフォーマンスだと、ビジネスリーダーが問題に対処していないように見えかねません。またそうでないにもかかわらず、組織がよりインクルーシブな場所になりつつあるという間違った印象を与える可能性もあります。

アライシップがインクルージョンを後押しするしくみ

アライシップがインクルージョンを後押しするしくみ

アライシップは、職場におけるインクルージョンの主な推進力の1つです。Sheree Atcheson氏はForbes誌で、「アライとは、人びと全体に利益をもたらす意図的、積極的、かつ意識的な取り組みを通じて、インクルージョンの文化を前向きに促進し、その発展を熱望する人」だとしています。

広く見受けられるように、社員のダイバーシティが進んでも、必ずしもよりインクルーシブになるとは限りません。社会的に疎外されている集団に属する人びとが、組織の下層部と中層部に不自然なほど多く、上層部にはまったくいないことに気がつくこともあるかもしれません。

また、違いは賞賛されるものではなく無視されるものだとする組織文化のもとでは、社員は自分らしくいられないと感じるかもしれません。さらに深刻な場合は、インクルージョンの欠如が高い離職率につながり、コストや士気に悪影響が及ぶこともあります。

「問題は、採用ですべてが解決すると思われていることです」とChikere氏は言います。「しかし、多様な人材を組織に迎え入れたら、その次も考えなくてはなりません。どのような方法で人材を育成し、どのような方法で帰属感を与え、どのような方法で、ありのままの自分でいられるようにすればいいのでしょう。」

これらは、すべての組織が抱えている問題ですが、アライシップはそのいくつかを解決します。自分自身の教育をリーダーにも社員にも同じように奨励することで、積極的に認め合い、指導し合い、助け合う連帯の文化を築き、すべての社員にとってより良い職場を実現することができます。

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